10シリーズロルフィングを他のロルファーから受けた後、Rolf Movementワークショップに参加され、こちらでのセッションに興味を持たれ、Advanced 5シリーズを開始。

Advanced 5 series を終えて

この度はセッションしていただきありがとうございました。
体験記のご報告が大変遅くなってしまいましたが、セッション終了後から今までの間に、職場の同僚から「最近膝の事を話さなくなったよね」と言われました。職場でも交通機関でも、自然に階段を使うことが多くなりました。なぜか気が向くからそうする感じです。
右足関節脱臼骨折は今までの人生で一番の大怪我でした。整復手術は出来るだけのことをしていただいたと頭では理解出来ても、「もう二度と受傷前の足首には戻れない」という喪失感と屈辱感を抱き続け、「もう年なんだから日常生活に不自由がなければそれでいいでしょ」という医師の言葉に怒りを感じていました。トップアスリートでもパフォーマーでもない一般人は、いつもこのように扱われるしかないのか?個人の症状にお構いなく十把一絡げに片付けられてしまうのか?
田畑先生とのセッションで日々身体の変化を感じながら、怪我で休眠していた部分が復活して行く毎に喜びと深い感謝を覚えると共に、積年の恨み(改めて文字にすると恐ろしいですね)のようなわだかまりを手放していきました。おそらく私がこの体験記に愚痴のように綴った不具合もひとつひとつ掬い取って下さったのだと感じています。単純な表現ですが「いつも親切だった=身体がうまく使えるように誘導して下さった」という思いだけが残り、先生の他人に対する観察眼や姿勢、その佇まいに学ぶところが多かったです。医療処置を受けて私のような思いを抱いて生活している人は少なくないと思います。1人でも多くの方が田畑先生やロルフィングに出会って欲しいと思います。本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

セッション1回目

2018/9/1

ハードタッチの10 seriesを終えるとき、私にとって難しかったのがお腹を緩めて身体を上に伸ばすことでした。緩めれば気持ちよいバランスが得られることは体感できましたが、日々の仕事と生活で椅子に座っている時間が長くお腹を固める癖があり、歩行時は意識して脱力し、頭や胸を上げようとしていました。
今年の2月に先生の「心地よい間合いを見つける」ワークショップに参加し、先生のデモでワークを受けた帰り道、意識せずともお腹が緩んでいることに気付いて驚きました。鳩尾が楽に開いて、自然に胸が上がってしまう感覚でした。ずっと悩んでいた課題があっけなく解決してしまい、拍子抜けして笑いながら「何だこれは!」と叫んで歩いたことを覚えています。
そのワークショップで参加者同士でワークを交換している時に、「ここに意識を集中して」と施術者になった私の丹田とその背面の腰に先生が指1本で触れて下さったとき、「ああこのような触れ方があるのだ」と非常に感動し、その感覚が深く私の中に刻まれました。
以来先生のセッションを受けてみたいと考えていたことと、CS60に興味がありモニタープログラムのセッションを希望しました。以下感想です。
2018/9/1 1回目

カウンセリング 既往症をお伝えしながら、私の痛めている左膝、以前脱臼した右肩と右足首、尾骨などに先生が着目されているのかなと思う。

歩行する様子を見ていただく。私は室内と戸外の歩行では歩幅や足に込める力がかなり違うため、靴を履いて戸外で歩行のチェックをしたいといつも思う。10 seriesより慣れてきたが、気恥ずかしくて苦手な時間。
マッサージテーブルに顔を右に向けてうつ伏せになる。右肩の下に半球形につぶした柔らかいボールをあてがう。当然右肩の下に異物感がある。緊張しているつもりはないのに、テーブルに触れている左耳の中で心拍音が大きく聞こえる。深く呼吸することに集中する。
田畑先生が立ち位置を変えて声をかけながら、私と心地よい場所を探していく。最初に立って下さった右側から、私の右半身の表面に暖かいものが流れてきたように感じたので迷うことなくその位置を選ぶ。
身体に触れない、何もしないワーク。見守って、待って下さる。次第に呼吸が深くなってきて、背中や臀部、身体全体が緊張していることに気付く。少し経つと呼吸が更に深く入るようになり、緊張が解けてテーブルに身体を預け始めたと感じる。深呼吸を続けながら、気持ちが良くてこのまま寝てしまいたいと思う。
左右中殿筋辺りの緊張を解くことができない。自分で気付いて緩めたり、先生に声をかけられて緩めることを繰り返すが、気付くとまた緊張させている。
またしばらく経って、深呼吸を吐き切ったとき、先生に右肩はどうですかと聞かれ、右肩が楽に緩んでいて、ボールをあてがっている感覚がほどんど無いことに気付く。
右太腿の後ろ側からワークが始まり、先生が私の右脚に触れているはずなのに、とても人の手の感触とは思えないような感覚を味わう。脚が微電流のような穏やかな刺激に包まれて痺れるような、あるいは固くごわついたタオルや、ちくちくする麻布などでそっと包んで触れられているようだ。先生には「痺れる・・・」と伝える。
身体の右側、右脚にワークしているのに、なぜか左手指と左足指がわずかに開いたり閉じたりと動く。左足首がわずかに伸び縮みする。ごくたまに、右手指も反応して動く。止めることができない。何かが解放され続けているような気がするのでそのままにする。
足元から、膝、腿、腰、肩など、私の身体の下に先生がそっと手を差し入れて引いていく(イールドタッチ)。身体が緩んで更にテーブルに密着していくのを感じる。
この辺から気持ちよさであまり良く覚えていないが、うつぶせの顔の向きを左に変えて、身体の左側、肩、左脚にも同じようにワーク。身体がさらに緩んでいく。煩く聞こえていた心拍音は感じなくなっている。
左脚にワークを受けているとき、足首の方からかすかに暖かい感覚が膝の方へ移動してきて、腿の方へ抜けて行った。
先生に「今はどんな感じですか」と聞かれ、両膝から骨盤あたりにかけて、テーブルに接している部分がどんどんが温かくなっていることを伝える。暑いと感じるくらい。
再度右脚にワークが始まり、「今度は人の温かい手が触れている」と感じる。11年前に事故で右足首を脱臼して腓骨を骨折し、内側、外側の踝が折れてボルトやプレートを入れたままの足首に先生が触れていく。怪我して以来、自分で触れるのも嫌だし、他人に触れられるのはなおさら嫌だった傷跡に、これほど慈しみを持って、全く圧力もなく、ただ触れられるのは初めてだと思う。これには泣きたいほど感動した。
脚のワークが終わり、頭に両手でそっと触れて、右に、左に静かに首を回して動かす。首の緊張が緩む気がする。
うつ伏せのまま、仙骨にCS60を当てる。移動して、右側の座骨に当ててゆく。身体は、掌全体で強く圧を加えられるよりも、1本の指先や、CS60の先端など、1点で触れられる方が体の感覚がそばだつような気がする。CS60を左の座骨に当てられた時、堪らず身体が仰け反って、バチっ!と強めのデコピン?を当てられたような衝撃と痛みとともに、身体から何かが抜けて行った。このセッションの3週間位前から左のふくらはぎに張りを感じ、膝や腿の裏、腰まで張りが移動していた。それが抜けた気がする。
仰向けでもワークを受け(たような気が)、テーブルの上に座って、先生に頭を支えられながら骨盤を前屈、後屈させる。
最後に歩行のチェック。両耳の下の胸鎖乳突筋に触れられて「力を抜いてみて」と言われる。今まで無駄に力を入れて顎を引いていたのだと気付く。
帰り道 2月のワークショップの後のように、身体が緩んで楽なのを感じながら帰宅。
9/2 日曜(1日目)夕方近所へ買い物に出ると、頭と骨盤の位置関係、バランスが変化していることに気付く。セッション前より頭が↗前に移動して、骨盤の上方に気持ちよく浮かんでいる。私は今まで首を緊張させて顎を引いていたのだ。歩いていると前後左右上下、特に後背面の空間が大きく広がったと感じる。
9/3 月曜(2日目)前日と同様に気持ちの良い感覚。自宅で視界が明るいと感じる。職場で、近視が改善したように感じる。
9/4 火曜(3日目)職場を退勤して歩き始めると、昨日よりさらに足腰が軽くなっている。突然の進化に驚く。歩行中、背中(肩甲骨の間)と骨盤を後ろから支えられているように感じる。胸骨から足が動いている感じ。
9/5 水曜(4日目)就寝中、右足首を脱臼骨折した時に消防防災ヘリ(山岳救助)に搬送してもらったことや、自宅で這いまわりながら入院の支度を整え、満開の桜並木の中をタクシーで病院に向かった時の嫌な気持ちを突然思い出して泣いた。受傷後3~4年の間、ヘリの音を聞いては泣き、満開の桜を見ては泣いていた。PTSDのようなものか。
9/8 土曜(7日目)友人と9時間工程のドライブに出かけた。後部座席に座っていると、左側の坐骨がしんどい。何度も座りなおして我慢する。
9/10 月曜(9日目) 左坐骨のしんどさが消えている。
9/11 火曜(10日目)職場の椅子に、坐骨、両足の3点でバランスよく座れている。
9/13 木曜(12日目)前の晩充分に睡眠が取れ、翌朝はロルフィングセッション直後のように身体が軽い。
10 series より進化できたと感じること
・背中が解放された。胸骨、肩甲骨の間から脚が動いていると感じる。
・身体が十分に休息出来た時、軽々としたロルフィングのバランスが復活すること。
・左膝はまだ痛むことは痛むが、痛みが軽減している箇所も感じること。

 

セッション2回目

1回目セッション後の感想補足:
深呼吸して両肺の動きを感じてみるとき、背中側、骨盤の上まで息が入るよう。今回のセッション前まで右の肩甲骨の下にどうしても動かない、開かない場所があったが、そこが開いた。
全身の動き、特に両足の関節の動きが今までに比べて軋みや引っかかる感じがなく、とてもスムーズに動かすことができる。まるで油を注した機械のような軽やかさ。
1回目セッション後に出かけたドライブで友人が撮ってくれた写真を見たら、頭を保つ位置が変化したことで写真映り(姿勢)が変わっていた。幼少時に左眼を失明後、私は右眼が身体の中心に来るよう頭を傾ける癖があり、写真に映ると常に顎の位置が首や身体の中心からずれていた。10代から気になっており、長い間姿勢を修正できずにいたが、今は身体の中心に真っ直ぐ頭が乗っている。数十年の悩みが1回のセッションで解決。私は先生が触れた首の力を抜いただけだ。
2018/9/15 2回目
歩行チェックで身体の他の箇所に比べて左脚が不調であることを田畑先生に伝える。股関節、膝関節の違和感、10 series セッションを受ける前までは冷えを感じ血色が悪く、それが改善した今でも動く身体に左脚がついてこないと感じること。
先生の指示通り両足を肩幅に開いて立ち、両腕を左右に開いて、または両腕を前に伸ばして上下させた感覚を聞かれ、脱臼した右肩には左肩より負荷がかかっていることを伝える。腕を動かしながら「この動きが脚にも関係しているのだろうか」と思う。
身体の左側を下にして横になり、右膝曲げてをクッションに乗せ、左膝も少し曲げた状態でセッションが始まる。右膝のクッションの高さが足りなくてすぐに足して下さった。私の体勢に無理が出てきそうなのを、本人より先に気づかれてしまう。前回のセッションでもそうだったが、先生の観察力や気配りに感動し、今まで他人と接して何かをするのにこういう経験をしたことがなかったなと思う。私と先生の心地よい場所が若干異なり、互いに調整する。私は体の表面に温かいものを感じると、ただ直感でそこが良い、と思う。
今回は私にとっては複雑なセッションで、終わった直後もあまりよく思い出せないくらいだったが、右脚と左脚に交互に様々なワークをして下さった。つぶした柔らかいボールや、布で右足裏にそっと指を置いて触れる。足首から膝、腰と少しずつ場所を移動していって少し時間が経つと、身体の中で何かが引き出されたような、体内の繋がりが以前より確かになるような感覚を得る。左脚を同じようにワークしていただいた後は、足から頭まで全てが一つにまとまって温かく、まるで繭玉の中に寝ているような気分になった。
身体にCS60を当てていくとき、所々で当てた箇所から身体中の他の箇所まであちこちに響いてきて「あっ」と思うと同時に身体の感覚が変わることがある。しかもその瞬間を田畑先生がすかさずとらえてさらにその箇所にワークしていると思う。
右足の腓骨のボルトやプレートに丁寧にCS60を当てているとき、一箇所だけ甲から薬指、小指の先までビリビリと響いた箇所があった。
仰向けになって両膝を立て、踵に脚の重さを預けて立つ準備をしているとき、突然右脚の中で膝の辺りから力が湧いて、さっきビリビリと響いた右の薬指、小指に力が入って動いた。
立ち上がって歩行してみると、身体のバランスの変化が大きく、私には受け止めきれずかなりふらついた。両脚の感覚が離れてしまったような、常に肩幅位に足を開いて歩いているようになった。田畑先生が両膝のお皿の辺りに少し触れて、右膝は外側へ、左膝は内側へ回すように抑えて下さり、ゆっくり屈伸すると、なぜか重心が身体の中心に戻ってきた。
再び両腕を上げ下げすると、右肩の負荷がほどんどなくなっていた。
帰り道、電車の座席に座っていると、腰の左側、大転子の辺りから太腿、痛めている膝の内側が、じんわりと内側に移動するのを感じる。歩行するとき、しっかりと足裏が地面について、フットプリントを押しているようなイメージが頭の中に浮かぶ。
2018/9/16 翌日
田畑先生のワークショップに参加し、友人からワークを受けていたら、再び右足の薬指と小指に力が入って動いた。 胸筋が大きくゆるんで両肩の方へ伸びていった。
帰宅して洗面台の前で右腕を上げたら、突然緩んで以前より可動域が広がった。
数日経って、右足指が動いた理由に突然気付いた。右足関節を骨折後は足底のアーチが崩れて偏平足に近い状態になっている。足指で床をつかもうとすると全く使えないのが薬指と小指だった。わずかだがそこに力が入って動かせるようになったと思う。
セッションで右膝を外側に回していただいたことで、骨折の手術で右足首が少し外旋して整復されており、足を正面に向けて置くと右膝が内側に向いてしまうことも久しぶりに思い出した。田畑先生には事前に何も告げていないが、今まで整形外科医等に訴えても取り上げてもらえなかった不調を、初めて汲み取っていただいた。こういう方が実際にいらっしゃるのだ、と心の底から有難く思う。

セッション3回目

歩行チェック。

今回のセッションを受けていて嬉しいことの一つが、日常生活でお腹を固めるような姿勢が続いてしまった後でも歩き出すとすぐに緩んできて胸が上がり、楽な姿勢を取り戻せるようになったことだ。勤務中に3時間以上座り続けたり、ランチで入った店の、何とも座り心地の悪い椅子でお腹が固まり(まずいな、これは・・・)と思いつつ我慢した後でも、数十メートルも歩くとお腹や股関節が緩んでくる。以前は身体が緊張してバランスを失うと、時間をとって集中して歩行したり、やみくもにストレッチをして 肋骨と骨盤を切り離そうとしていた。

毎日歩きながら、左膝が痛くなる原因は自分の歩き方、痛くなるような歩き方をしているのかもしれないと次第に感じ始めている。痛いことは痛い、だた常にではなくて、思い切って左足を放り出して踏み込んでみると痛くない時がある。左足裏の外側を使い、先生に言われた通り親指を意識して歩いてみると、痛みが和らぐように感じる。左膝が継続して痛むようになって3年弱、昨年10月に念願のロルフィングセッションを受け始めてから未だに自分の左脚が信頼できなくて、身構えて身体の不要な箇所に体重をかけ、痛みから逃げようとしているのかもしれない。

今回も身体の左側を下にして横向きに寝てセッション開始。
セッションを重ねる毎に田畑先生がどこに立っても安心していられる範囲が広くなる。初めて頭の近くに立って下さったとき(今年2月のワークショップ)、先生が掌を私の頭に向けて「待った」か「お断り」のような仕草で突き出し、それが顔の横まで来ているような圧迫感があった。今はそれが無くなっている。立つ場所を移動すると近いと感じることはあるが、それもほとんど大丈夫だ。

下にした左脚の膝の内側から座骨、仙骨にかけて指先でをそっと置くように触れながら、骨盤をテーブルに預けるように促すワーク。こんなところにも力が入っていたのかと内心驚き、本当にわずかだが確実に身体が緩むのを感じ骨盤がテーブルに落ち着いていく。座骨にCS60を当て始めると脚に響いてきて、皮膚の表面がざわざわとして暖かくなり、脚の中へ何か流れ込んでいるように感じる。頭の中に浮かぶのは、身体の中に刷毛か筆を走らせて掠れるような、または微粒子の集まりが自在に変形しながらサーっと移動するようなイメージだ。2回目のセッションでは右足首に当てると温かいざわざわ感がお腹の辺りでUターンして左脚に巡って行ったこともあった。とても不思議で、おもしろい。時折、左の大転子周辺が緩んで脚がテーブルに落ち着いていく。

同じ姿勢で、左耳の下にCS60を丁寧に当て、頭をテーブルに預けて行く。1回目のセッションで先生に触れられて緩んだ場所だ。私にとってこの箇所が意識できるようになったことは劇的な変化と言ってもいいくらいで、就寝中横になって枕に頭を乗せているときも「これは緊張してしまう」「これは楽だ」と感じて頭の位置を調節するようになった。CS60を当て続けていると、左脚に先ほどの微粒子の移動、流れのような感覚が起きる。CSの位置を少し移動すると、右脚にも同じように流れていく。

今度は身体をの右側を下にして横になる。右脚の内側から座骨、仙骨にかけて同じようにワーク。触れられながら、左脚より緊張が強く、緩みにくいと感じる。CS60を座骨に当て始めると、面白いことが起きた。座骨の下の方に当てているときは脚にざわざわと感じてくるのだが、ウエストに近い座骨の上の方に当てていると背中がふっと軽くなり、さらにCS60を移動したら今度は顔から何か剥がれ落ちて軽くなり、目の前が明るくなったように感じた。風が強い日に厚い雲が流れていて、自分に日光が当たったり陰ったりするとき、日光を感じると暖かくてすっと気持ちよくなる、そんな感じだ。
(先生には「ひもトレ」でたすき掛けしたときの微細な背中の軽さ、とお伝えした方が解りやすいかも知れません)
右耳の下にもCS60を充分に当てて、首から脚までを緩めて終了。

テーブルから立ち上がるとき、膝に体重を乗せるときの感覚を得るために膝や脛骨を軽く押さえてもらい上半身の前屈を繰り返す。

歩行してみると、今までより身体が軽くなったのが解るが、うまく表現できない。先生に骨盤周りはどんな感じかと聞かれたが、答えられなかった。今までの経験上、この変化が解るのはきっと明日の朝だなと思った。

セッションルームを辞して歩き始めた帰り道、やっと感覚の変化に気付いた。身体が無い! 脇腹、腰周りが無くなって、頭の中では自分の身体が1本の松葉のようになって、骨格も周囲の組織も何も感じることなく雲の上を歩いているようだ。 人人人人人人・・・(テキストはヒトですが、こんなイメージ)
やはり私は靴を履いて外に出ないと身体の変化を感じるのが難しいらしい。

9/29午後 4ヶ月ぶりにフラレッスンに行って踊ってみる。
割と楽に踊れて、周囲に30人くらい人がいることも全く気にならなかった。ロルフィングで右足関節が緩んだので、基本に忠実に低い姿勢がとれる。今までスローテンポの曲にシンクロしようとしてブルブル震えながら動かしていた腕や指先が、深い呼吸と共にすーっと伸ばしたり曲げたり出来るのも不思議だった。身体と気持ちに余裕があるので、何より心の底から笑顔でいられた。

その後の日々は就寝中の身体の落ち着きが、うれしい変化だった。体重が均等に分散されて、仰向けでも横向きでも、どんな姿勢で寝ても楽だった。

セッション4回目

10/6
歩行チェック。前回から全身の軽快さは変わりない。この1週間で本当にわずかずつだが、歩行中に左膝が痛まない足の着き方が解りかけてきた。
うつ伏せで、顔右向き、右肩の下に半球ボール、右肘、右膝を直角に曲げ、左肘から先をテーブルから下にぶら下げて開始。左足指が着地しているかのように半球ボールを置く。寝相としてあまり良くないと言われているが、私も時々やってしまう体勢だ。なんだか死体のようだなと余計なことを考えて噴き出しそうになるのを堪えて、神妙に田畑先生の立ち位置に意識を集中する。また左耳に心拍音が聞こえて多少緊張している。
膝、腿、腰、肩等の下に、今までとは異なる、本当にわずかなイールドタッチ  。次第に身体が緩んでいくので、緊張してテーブルに預けられていない場所が把握できる。緩む反応も前より早くなった。しばらく見守っていただきリラックス出来たところで腕のワークが始まった。
私からは見えていない左腕の外側、肩から下がって三角筋が終わる辺りに指1本が置かれ、先生に言われて深呼吸がそこへ伝わっているのを感じてみる。呼吸と、身体の感覚を十分に感じながらゆっくり時間が流れていく。肩関節を包み込むように両手が置かれる。なぜかとても安心して満たされた気分になった。私が呼吸を吐くのに合わせて、ほとんど分からない位の力でそっと腕を引いて肩を伸ばして行く。腕の1点と、大腿の1点に場所を移動しながら同時に触れていく。身体の中で脚から腕の感覚が繋がっていくのを感じる。
体勢を全て反対の左向きに変えて左腕や肩に同じようにワーク。同じうつ伏せのまま脚の後ろ側や外側からCS60を当てる、というより摩擦させて移動していく。私はCS60を当ててもほとんど痛みを感じることがない。右膝の外側で、小さなピリピリ感があり、先生に「痛いですか」と聞かれたがそれほどでもない。脹脛や足首の周囲も同様だ。仙骨から骨盤全体を終え、最後は頭全体に摩擦させた。両足から、膝、腿、腰、胸と、いつもの温かいざわざわ感、微粒子の集まりがゆっくり移動してきて、身体がテーブルにめり込むと思うくらい温かく重くなって密着し始めた。今腰まで来ました、今胸です、顔ですと思わず先生に実況した。テーブルに接した身体の重さが、ともすると重苦しさにも感じられて、もしかしてこれが痛み?とも思われた。
立ち上がって歩行すると、身体全体が今までの半分位に軽くなった気がした。先生に「頭はどんな感じですか」と聞かれたが、今日もうまくこたえられなかった。
セッション後職場へ寄って仕事をし、歩いて帰るときにやっと気がついた。肩や腕が軽くなって、前回同様組織が無くなってしまったように感じる。今まで仙骨を中心に身体の支えを感じてきたが、それが全身に広がって後ろから支えられているような気がする。仙骨周りを感じながら、ふと幼い頃に親に抱っこされてお尻を支えられていた感触を思い出し、抱かれて安心し満足していた子供の自分に戻ったような思いが湧きあがった。懐かしいな、そうだったよなと幸せな気分で帰宅した。
10/7 1日目
洗面台の前で右腕を挙げて肘を後頭部に付けるように動かすと、肩関節がバキ、バキ、バキ、と3回鳴ってまた可動域が広がった気がする。肩が動いた感覚が、脱臼後肩関節が固まってしまった時に受けた、ほとんど拷問のような柔道整復に似ていた(柔道整復師は痛みを非常に心配したが、私が「脱臼前の状態に戻りたい」と切望して処置をお願いした)。
10/8 2日目
目が覚めると右の胸から腕にかけて、肩甲骨周辺が筋肉痛のように痛い。右腕を付け替えられたのではないかと思うくらいだ。だが右肩は確実に以前より動くようになった。肘を曲げて、右手の甲を肩甲骨につけられるようになった。これが脱臼前の状態だ。言いようもなく感動して先生に早く伝えたいと思う。
10/11 4日目
徒歩で出勤した。今までにない軽さ、足から頭までの繋がり、連動。頭頂から足が出ている。正に松葉状態。出勤時に通り抜ける地下鉄の駅の40段の階段を駆け上がった、脱臼骨折以来なかったことだ。退勤して歩いているとき、左膝が痛まない歩き方がはっきり体得出来てきたと感じた。両足の踵にしっかりと体重が乗り、今まで繋がらなかった左足首、膝、股関節が駆動していると感じた。膝の痛みを感じる回数が半減した思う。

セッション5回目

10/13
いよいよ最終セッション。左足裏と左脚の外側を意識して体重移動する歩行が定着した。このseriesのセッションを開始するまで両膝を屈伸する度にガクガクと崩れていた左膝関節のまとまりを感じている。
今までの歩き方より足首が使えているようで、長時間歩くと脛の前面に少し疲労感が残る。丁度そこが頸骨と腓骨の間で、10 series セッション中に意識して使うよう助言を受けた箇所だった。左膝痛と曲げにくい右足関節のために屈むことを避けて生活しているので使いようがないと思っていたが、そこが使えていると感じる。
身体の左側を下にして横向き、左腕は身体の後ろに抜いて右手はテーブルの横に置いたバランスボールの上、左脚を直角に曲げ、右脚を少し曲げて左脚の後ろに置く体勢で開始。左の股関節が窮屈で右膝の下にクッションを置いていただく。左股関節とテーブルに接している腿の外側が気になり、これは重み?それともかすかな痛み?と少し散漫になりつつ見守っていただいた。
前回よりさらに小さなイールドタッチを膝、腿、腰、肩に施していく。1回目セッションのタッチを1とすると、4回目が1/4、今回が1/8位の感触だろうか。2回目のセッション同様、緩んでいく身体に布やボールや指で様々な触れ方をしていただいた。左大腿の外側から膝の内側にかけてワークが効いていると感じ、そこは左膝痛が始まって以来いつも張りや緊張が溜まり、緩めたい、伸ばしたいと思う場所だった。頭をシーツでそっと包み込んで触れる。右の眼窩に触れられて眼球の重みを意識してみる。顔の力が抜けて軽くなるように感じる。
身体が緩んだところで右腕と右脚を上下に伸ばす動作を休みを入れつつ繰り返した。左腕と左膝は各々伸ばしている右腕と右脚の反対方向へ引いているので、右体側が思い切り伸びた。私の動作が今一つで、先生がかなり手を添えて誘導して下さった。10 series の3回目セッションで立位で教わった体側伸ばしをテーブルの上でしているようだった。
身体の右側を下にして向き直り、同じようにワーク。今までのセッションと異なり右半身の反応が早く、すぐにテーブルに落ち着いていった。左の眼窩に触れていただいたとき「重みを感じたくても左眼はありませんが」と口答えし(ごめんなさい)、触れられた指が額に沿って抜けて行くとまた顔が軽くなるように感じた。左脚の外側にCS60を比較的強めに押し当てたような気がする(先生がセッションルームの中を歩いて色々な道具が出てくるのはわかるのだが私には見えず、何で触れているのかはわからない)。「痛いですか」と聞かれたが痛みは無かった。
最後に下になっている右脚の脹脛に両手を添えてわずかに外側へ回し始めた。脛に触れて動かしているのに、身体の中で一番はっきり感じるのは右肋骨に付いている細かい筋肉がピリピリしながら引っ張られて少しずつ伸びて行くことだった。身体はこうやって繋がっているのだと改めて感じながら、脱臼骨折以来ずれてしまっている右膝と爪先の向きを調整しようと働きかけてくださっているのかなと思った。
立ち上がって歩いてみる。体側伸ばしのおかげか、四肢がX状に繋がったと感じる。左足を踏み出す時にいつも「頭からの繋がりが足りない」と感じていたが、今までより強くなった。それは左膝関節のまとまりと関係があると感じる。セッション前後の写真を見せていただいているとき、「もうお腹は固まらなくなりました」と先生に伝えた。
セッション後
回を重ねる毎に身体の中が繋がって行くのを感じてきた。今は歩いていると背中や肩や首や頭の皮膚の動きを感じ、身体の表面全て繋がっていると感じる。セッション開始後に感じた脚の関節のスムーズさが全身に広がった。仙骨周辺の支えがさらに強くなって、腹腔ごと、体幹が浮き上がるように歩ける。下り坂を歩くのが面白くて、10 series後は胸で滞空しながら駆け下りていたが(一歩ずつ踏み止まると脚が疲れるのでしない)、今は仙骨で滞空しながら下りられる感覚になった。
1年以上休んでいるフラレッスンを再開しようかどうか逡巡している。洗面台の前で左膝を深く曲げてステップを踏んでみると、痛みを感じないときがあり感涙する。「薄紙を剥ぐように」という表現があるが、痛みの感覚が日を追って僅かずつ減少したり、遷移したりと変化している。
10月も終わろうというのに気温の高い日が続き、ビーチサンダルを履いて家の近所へ買い物に出た。偏平足気味で靴底の平らな履物で歩く時にいつも痛んでいた右足の薬指と小指の痛みを感じなくなっていた。2回目のセッション以降、どんどん力が湧いてきた場所だ。床に足を置いたとき、指の着き方も左足に近くなって、右足の甲の変形が少し改善した。