左半身につっぱりを感じ、左右の骨盤がねじれる感覚があり、左肩のこり、右膝の痛みあり、疲労しやすく、長時間椅子に座ることができないということで、ロルフィングにお越しになりました。

セッション1

10代の半ば頃から、長い間身体の不調を感じていました。左の胴体の前側がつねに突っ張る感覚があり、腰痛、片頭痛、慢性疲労、皮膚の炎症などが生じ、整体などに行くと数日は改善するものの、またしばらくすると体調を崩すパターンを繰り返していました。整体、針治療、理学療法、ヨガのようなボディーワーク、他にも漢方治療など試しましたが、今日まで根本的な解消にはいたりませんでした。

2年ほど前に能楽師の安田登さんの著書で田畑さんのロルフィングのことを知り、以前から気になっていたものの、費用も時間も相応にかかりそうだと思い、セッションを受ける踏ん切りはつきませんでした。

そのような中、今年7月に第一子が生まれました。妻と一緒に育児をするにあたり、子どもを抱えてミルクをあげる動作だけで私はすぐに疲れて動けなくなってしまい、改めて自分の体力のなさを痛感しました。子供と十分に向き合える状態へと身体を変えたいと思いました。そこで、田畑さんのセッションを受けようと決断しました。

セッション1回目、田畑さんにお会いしてみての第一印象は、とにかく自然体の方だということでした。向かい合っているだけで、こちらの余計な力みがなくなって楽になるような感覚を持ちました。

セッションでは、田畑さんはまずとにかく施術を受ける私がどれだけ楽にその場にいられるか、に着目されているように思えました。ベッドに寝た私に対し声掛けをしながら、施術するご自身の立つ場所を変え、私に圧がかかりにくい場所を選んだ後、実際のセッションに入りました。そのような微細な点に配慮されるのが経験になく、新鮮でした。

今回は呼吸に意識を向ける時間が多かったですが、ロルフィングが解剖学、生理学に根差しているということで、施術を受ける側の身体をある程度大きく動かすのかと思っていました。ところが実際に受けてみると、ときにミリ単位で繊細に身体を扱うことを知りました。私が仰向けの状態で、田畑さんから途中、「呼吸はどのような感覚ですか」と聞かれ、あまり普段呼吸に意識が向けられていないことに気づきました。そこでゆっくり、丁寧に呼吸を見つめると、左の肋骨のあたりにもやもやとした違和感がたまって呼吸を邪魔しているのがわかりました。

それが、田畑さんが私の左腕を少し動かしたする間に違和感が次第に胸の中央に移動し、やがて身体の外側に抜けていくのがわかりました。途中から心地良いまどろみが訪れ意識が薄れていったため確かな記憶ではないのですが、田畑さんは私の左肩から手にかけて布のようなものを置き、感覚をそちらに移行していたように思います。

また、違和感のある身体の左側と逆の右膝を立て、そこを丁寧に、わずかな動きで動かしていた記憶もあります。

徐々に霧が晴れていくような心地よい感覚の中で今回のセッションの終了が告げられました。ベッドから再び2本足で立った時、右足の上に骨盤が乗っているのがはっきりと感じられました。

最後に私の左体側に起きる突っ張りについて、種明かしのような助言がありました。身体の右側を痛めた場合にその代わりに左側が頑張って張ってしまうことが多い、とのことでした。中学時代に柔道をして右膝を痛めた時期がありました。たしかに、そのあたりの時期から身体の不調感が始まった記憶があるので、それが不調の大きな原因のように思えました。

セッションから数日経つと、少しづつ左胴体の前側に張りが戻ってきています。回復に向けまだ知っていくことがありそうです。2回目以降の発見を楽しみにしています。

セッション2

前回のセッションから2週間弱が経過しました。セッション後5~6日ほど経過したあたりから、徐々に身体の左側の緊張が強まってきました。緊張が増すに合わせて、疲労も蓄積してきていました。そんな中、ようやく本日のセッションの日を迎えられた、という気持ちでした。

本日のセッションの初めはベッドで右半身を下に横向きになりました。

寝そべった時、田畑さんから「今の感覚はどうですか?」と聞かれました。身体の緊張で感覚が鈍っているのか、うまく答えることができませんでした。ただ、直後施術がなくじっと置かれている時間帯があったので、その間、身体の感覚を探ってみました。横向きだと前回のような呼吸の違和感は感じませんでした。柔らかい右半身の上に木の丸太のような硬い左半身が乗っているようで、右と左で全く別々の身体のようでした。また、左のふくらはぎ、腕など部分部分がパンパンに張っていることに気づきました。

その後、田畑さんが私の頭の場所をわずかに動かしました。すぐに頭の緊張がとれ、頭部がベッドにしずむ感覚が得られました。すると頭部の緊張が取れた半面、胴体、下半身の張りがより明確になりました。足の位置も調整を受けました。その内に、いつの間にかそれまで分離していた左半身と右半身が、一つの身体の感覚にまとまってきました。2つの別々の物体が一つのゼリー状の個体に統合されていくような不思議な感じでした。

次に、逆に右半身を下の横向きの姿勢に変わりました。

今度は緊張している左半身が下なので、よりずっしりと重くベッドに接するような違和感がありました。田畑さんが前回セッションと同様に、私の足に手を置き、わずかな動きで少しづつ擦るように動かしました。その動きを感じているうちに、頭がぼんやりとし、身体もリラックスしていきました。途中少しの時間記憶がないため、おそらく心地よさで寝てしまっていたと思います。

左右横向きの姿勢が終わると。次はベッドに仰向けになりました。両膝を立て、古傷の右膝に触れるかどうかの強さで手を当てられたと思います。その後、私が違和感を感じる場所を見通しているように、張りが残る左肩に触れられました。次に左肋骨の一部に指を当てられ、そこに吸う息を当てるように呼吸するよう言われました。吐くときもまたそこから息が抜けるように、と言われました。この動きの後は肋骨の硬さがフワッとほどけて、ベッド一面に身体が広がるような感覚を覚えました。

一連のセッションが終わった後、部屋の中を歩行し、身体の感覚を再確認しました。最初と比べ、首が長くなり、目線が2~3㎝ほど上がったような気がしました。

ただ田畑さんの目からは私の肋骨の動きに違和感があったのでしょうか、田畑さんが私の後ろに立ち、肋骨を軽く抑えられた状態でしゃがみ動作をするよう指示を受けました。その後、再度部屋の中を歩きました。すると今度は目線の高さは元に戻り、その代わりに足が地面をどっしりと捉える感じが生まれました。

最後に、日常生活でできるワークがないか、と田畑さんに質問してみました。

田畑さんからは「とにかく楽に姿勢をとること」との指摘がありました。姿勢を決めるのは自分の意思で動かす随意筋ではなく、身体の深層にある不随意筋であり、努力して姿勢を変えられるものではないとのことでした。また、無理に良い姿勢をとろうとすると、余計な筋肉が働いて緊張が生まれてしまうとのことでした。

次回約1週間後のセッションまで、いただいたアドバイスを元にちょうどいい塩梅で生活できるか、自分で観察しながら過ごしたいと思います。

セッション3

前回のセッションから9日が経過し、今日はセッション3回目です。身体に疲れは溜まっているものの、1回目のセッション後と比較すると、左半身の緊張はほとんど感じていません。前回の施術後に田畑さんから紐を身体に巻く「ヒモトレ」を紹介され試しているのですが、その効果もあるのかもしれません。

毎回セッションに入る前に部屋の中を歩くのですが、これも前回までは左半身の前側に重心が大きくかかる感覚があったのですが、今日はそうした違和感はありませんでした。

本日のセッションはベッドにうつぶせの状態からスタートしました。田畑さんから首を左右どちらか楽な方に向けるよう促されました。私は首を左向きにし、右の頬がベッドに着く状態にしました。私は目視で確認はしませんでしたが、田畑さんは私の左肩の下にボールを入れたとのことでした。

「どんな感じがしますか?」と聞かれましたが今日は大きな違和感がないため、上手く身体の感覚を伝えることはできませんでした。しばらくそのままの姿勢でいる時間がありました。すると左腕に小さな張りがあることに気づき、田畑さんに伝えました。またそのままの姿勢の時間が続きました。じきに左腕の張りは次第に和らぎ、今度は次第に仙骨付近に硬さを感じ始めました。何も触れられなくても身体の感覚が変わっていき、不思議に感じられました。

そのままの姿勢で5分ほど経過したのでしょうか。その後田畑さんがそっと私の後頭部を指で触り、動かしました。私は疲れがたまっており、意識が心地よく薄らいでいったためはっきりとは分かりませんが、ミリ単位の指の動かし方だったように思います。

次に、うつぶせのまま首を反対の右向きにするよう促されました。また「どんな感じがしますか」と問われました。張りをほとんど感じなくなったため、上手く答えることはできませんでした。

今度は仰向けになり、膝立ちの状態になりました。田畑さんは私の足首あたりを指で触り、わずかに動かすのが感じられました。

そしてセッションの終わりが告げられました。起き上がるよう言われた時、今日はあっという間に終わってしまった感覚がありました。そこでようやく意識が遠のいている時間が長かったことに気づきました。精神的には心地よかったものの、せっかくなのでもう少し意識を留めて身体の感覚を追うことができればよかったかな、と少し後悔しました。

ベッドから立ち上がり、セッション開始前と同じように部屋の中をしばらく歩きました。今日も右足の感覚が変わっていることに気づきました。右半身が横に広がり、右足全体で床を踏めている感覚がありました。普段の生活では右膝の古傷の影響で、右足に力を入れることを躊躇しその分左半身に過剰な負荷をかけているのかもしれない、と思いました。

毎回、セッション開始前とセッション後に田畑さんが私の立ち姿勢の写真を前、横、後ろから撮っています。1回目の開始前の写真と今回のセッション後とを見比べると、一目見てだいぶ左半身の緊張が抜け、また前傾姿勢が改善していることがわかりました。身体の使い方の癖が変わりつつあるのかな、と実感しました。

次は一週間後です。さらなる変化が現れるのを期待します。

セッション4

前回のセッションからちょうど1週間が経ち、本日はセッション4回目です。前回同様、身体の疲れの自覚はあまりなく、昨日あたりから左半身がわずかに張ってきた程度です。

今日のセッションは、ベッドに左半身下の横向き状態からスタートしました。

田畑さんは今日も最初は私から離れたところに立っていました。「どんな感じですか」と感覚を問われました。私は直立時にはあまり意識しませんでしたが、やはり、左半身は右よりも固く、ベッドに接触している身体の左側が上手くなじんでいないことに気づきました。

田畑さんにそのことを伝えると、田畑さんは私の頭の側に移動しました。またどんな感じか問われると、私はなぜか頭の周辺がベッドに沈んでなじんできていることに気づきました。

田畑さんはまた立ち位置を変えました。田畑さんが私の背面側にくると、今度は背中に薄い膜が張ったように少し緊張を感じました。無防備な背面をとられることに対し生物としての危機感のようなものを感じたのでしょうか。田畑さんのわずかな立ち位置で私の感覚が大きく変わるのがとても不思議に思えました。

田畑さんはおそらく緊張の少ない頭側から施術を開始するようでした。最初私の頭の上に軽く手を置きました。その後、首の下あたりにも手を置きました。次第に首の左側の緊張が取れるのを感じました。セッション開始時と比較すると、左半身と右半身の間の差がなくなってきたようです。

次に、反対の右半身が下の横向きになりました。

田畑さんは私の左の座骨にあたりに触れ、わずかに押しました。座骨を押されている時間の中で左足に様々な感覚が生じました。まずは鼠径部のあたりにかすかにビリビリとした刺激が走りました。その後、ふくらはぎの外側あたりが暖かくなりました。ふくらはぎ全体が痺れるような感覚もありました。そして、左足全体が柔らかくなるにつれ、左膝の内側に軽い痛みも感じました。田畑さんが私の座骨から手を放すと、それらの感覚は去っていきました。

仙骨のあたりも触れられました。左の骨盤の硬さが和らぎ、だんだんとマットに沈み込みました。

その後、前回と同じく上向きで膝立ちの姿勢も取りました。田畑さんは私の足首のあたりを抑え、わずかに動かしました。抑えられていない膝が多少揺れましたが、悪い感じはなく、足全体の重さがとれた感がありました。

また「どんな感じですか」と聞かれ、左の上腕とふくらはぎに張りが残っていることを伝えました。すると田畑さんは私の左の眼球の下あたりを抑え、「重さを感じてください」と言いました。言われたように感じようとしてみると、次第に左上腕とふくらはぎの張りも和らいできました。

セッションの終わりが告げられ、また部屋の中を歩きました。今日は左半身はさほど張っていないつもりでしたが、セッション開始前と比較すると鈍っていた身体感覚が戻っているようです。やはり筋肉の緊張で感覚が鈍くなっていたようでした。

セッション前後を写真で比較すると、骨盤の左側が高くなっていたのが水平にそろっていました。やはりまだ普段の生活のなかで左側の筋肉を緊張させる癖は残っているようですが、以前ほど強い張りはなくなっています。前々回に紹介された「ヒモトレ」も続けていますが、少し身体の癖が変わってきている気がします。次回のセッションまで、また変化を観察したく思います。

セッション5

前回のセッションから6日が経過し、セッション5回目です。座り仕事をしていて以前は15時以降は疲れて集中できなかったのが、ここ2週間は夕方になってもあまり疲れを感じない日が増えてきました。セッションと日常「ヒモトレ」を継続している成果かもしれません。

本日のセッションはベッドに仰向けの姿勢から開始しました。田畑さんは最初、私の右足先のそばに立っているようでした。いつも通り「どんな感じですか」と感覚を尋ねられました。「左側の肋骨のあたりにつまりを感じます」を答えました。1回目のセッションでも仰向けで呼吸を確かめる時間がありましたが、その時と似た身体の感覚です。私が答えると、田畑さんは私の左足側に位置を変えたようでした。すると、少し肋骨のつまりが和らぐように思えました。つまりが和らいだことを田畑さんに伝えると、今度は私の頭の側に位置を変えました。ここでは肋骨の感覚は変わりませんが、上半身、とくに肩の辺りがほぐれる感じがしました。田畑さんにそのことを伝えると、田畑さんは私の左肩に上に手を置き、しばらくゆっくりとその状態を保っていました。おそらくまた指で押しながら、少しづつミリ単位で指を動かしていたと思います。私が明確に認識できないくらい、ゆっくりかつ微細な動きでした。どれくらいの時間かはわかりませんが、しばらく肩におかれた指の感覚を感じていました。どこかのタイミングで、また「どんな感じですか」と尋ねられました。身体の感覚に耳を傾けてみると、肋骨のつまりがなくなり、代わりに鳩尾のあたりにモヤモヤした感じを覚えました。これも1回目のセッションの時に似た感覚です。また、じわりと左の骨盤が開いていく感覚も感じました。開く過程で一瞬熱感を伴う痛みを感じましたが、すぐに去っていきました。

次に左膝だけを立てるよう言われました。空気が半分くらい入ったボールがそっとお腹に当てられました。当てられている間は変化がわかりませんでしたが、しばらくしてお腹から離された後、お腹の緊張がほどけた感じがありました。胴体がベッドの上に溶けて広がるような心地良さを覚えました。

そして、右膝も立てるように言われました。田畑さんは私の左右両足の足首あたりに手を置き、またその位置で少しづつ微細に指を動かしているようでした。しばらくして田畑さんが手を放し、どんな感じか尋ねられました。身体の感覚を探ってみると、胸のあたりのモヤモヤは消えていました。胴体部の違和感が抜け、左の上腕と左の足首の前側に張りを感じました。そのことを告げると、田畑さんは私の二の腕を軽く押さえました。しばらくして放すと二の腕の張りも抜け、腕全体がベッドに沈みました。

ベッドから起き、いつも通り部屋の中を歩きました。今日は首の上にしっかりと頭が乗り、安定して前に歩ける感じがしました。なぜか目線の高さはセッション開始時より低くなった気がしました。毎回セッション後に歩くときの身体感覚が違うのが不思議に思えました。そのことを田畑さんに尋ねると、毎回セッションのアプローチが異なり、これといった身体の青写真的な形があるわけではないとのことでした。

帰り道で左足の薬指の周辺にジンジンとした刺激がありました。ただ嫌な感覚というわけではありません。左足の薬指は高校時代にラグビーで強く打撲した場所です。セッションを受けたことにより、古傷がある箇所に反応が起きているように思えました。

身体全体の感じ方だけでなく、身体の扱い方も変わってきました。以前は知らない間に左半身の前側が硬く張っていました。今は身体に緊張が起きる過程が感じ取れるようになってきました。感じ取ることで、必要だと判断した時に意識して休息をとるなど、対処の仕方も変わってきました。対処の仕方を変えることによっても身体の疲れの度合いは減るかと思います。

10回のセッションもあっという間に半分の5回が終了しましたが、引き続き日々自分の身体の声を聴きながら、次回に臨みたいと思います。