左半身につっぱりを感じ、左右の骨盤がねじれる感覚があり、左肩のこり、右膝の痛みあり、疲労しやすく、長時間椅子に座ることができないということで、ロルフィングにお越しになりました。
セッション1
10代の半ば頃から、長い間身体の不調を感じていました。左の胴体の前側がつねに突っ張る感覚があり、腰痛、片頭痛、慢性疲労、皮膚の炎症などが生じ、整体などに行くと数日は改善するものの、またしばらくすると体調を崩すパターンを繰り返していました。整体、針治療、理学療法、ヨガのようなボディーワーク、他にも漢方治療など試しましたが、今日まで根本的な解消にはいたりませんでした。
2年ほど前に能楽師の安田登さんの著書で田畑さんのロルフィングのことを知り、以前から気になっていたものの、費用も時間も相応にかかりそうだと思い、セッションを受ける踏ん切りはつきませんでした。
そのような中、今年7月に第一子が生まれました。妻と一緒に育児をするにあたり、子どもを抱えてミルクをあげる動作だけで私はすぐに疲れて動けなくなってしまい、改めて自分の体力のなさを痛感しました。子供と十分に向き合える状態へと身体を変えたいと思いました。そこで、田畑さんのセッションを受けようと決断しました。
セッション1回目、田畑さんにお会いしてみての第一印象は、とにかく自然体の方だということでした。向かい合っているだけで、こちらの余計な力みがなくなって楽になるような感覚を持ちました。
セッションでは、田畑さんはまずとにかく施術を受ける私がどれだけ楽にその場にいられるか、に着目されているように思えました。ベッドに寝た私に対し声掛けをしながら、施術するご自身の立つ場所を変え、私に圧がかかりにくい場所を選んだ後、実際のセッションに入りました。そのような微細な点に配慮されるのが経験になく、新鮮でした。
今回は呼吸に意識を向ける時間が多かったですが、ロルフィングが解剖学、生理学に根差しているということで、施術を受ける側の身体をある程度大きく動かすのかと思っていました。ところが実際に受けてみると、ときにミリ単位で繊細に身体を扱うことを知りました。私が仰向けの状態で、田畑さんから途中、「呼吸はどのような感覚ですか」と聞かれ、あまり普段呼吸に意識が向けられていないことに気づきました。そこでゆっくり、丁寧に呼吸を見つめると、左の肋骨のあたりにもやもやとした違和感がたまって呼吸を邪魔しているのがわかりました。
それが、田畑さんが私の左腕を少し動かしたする間に違和感が次第に胸の中央に移動し、やがて身体の外側に抜けていくのがわかりました。途中から心地良いまどろみが訪れ意識が薄れていったため確かな記憶ではないのですが、田畑さんは私の左肩から手にかけて布のようなものを置き、感覚をそちらに移行していたように思います。
また、違和感のある身体の左側と逆の右膝を立て、そこを丁寧に、わずかな動きで動かしていた記憶もあります。
徐々に霧が晴れていくような心地よい感覚の中で今回のセッションの終了が告げられました。ベッドから再び2本足で立った時、右足の上に骨盤が乗っているのがはっきりと感じられました。
最後に私の左体側に起きる突っ張りについて、種明かしのような助言がありました。身体の右側を痛めた場合にその代わりに左側が頑張って張ってしまうことが多い、とのことでした。中学時代に柔道をして右膝を痛めた時期がありました。たしかに、そのあたりの時期から身体の不調感が始まった記憶があるので、それが不調の大きな原因のように思えました。
セッションから数日経つと、少しづつ左胴体の前側に張りが戻ってきています。回復に向けまだ知っていくことがありそうです。2回目以降の発見を楽しみにしています。
セッション2
前回のセッションから2週間弱が経過しました。セッション後5~6日ほど経過したあたりから、徐々に身体の左側の緊張が強まってきました。緊張が増すに合わせて、疲労も蓄積してきていました。そんな中、ようやく本日のセッションの日を迎えられた、という気持ちでした。
本日のセッションの初めはベッドで右半身を下に横向きになりました。
寝そべった時、田畑さんから「今の感覚はどうですか?」と聞かれました。身体の緊張で感覚が鈍っているのか、うまく答えることができませんでした。ただ、直後施術がなくじっと置かれている時間帯があったので、その間、身体の感覚を探ってみました。横向きだと前回のような呼吸の違和感は感じませんでした。柔らかい右半身の上に木の丸太のような硬い左半身が乗っているようで、右と左で全く別々の身体のようでした。また、左のふくらはぎ、腕など部分部分がパンパンに張っていることに気づきました。
その後、田畑さんが私の頭の場所をわずかに動かしました。すぐに頭の緊張がとれ、頭部がベッドにしずむ感覚が得られました。すると頭部の緊張が取れた半面、胴体、下半身の張りがより明確になりました。足の位置も調整を受けました。その内に、いつの間にかそれまで分離していた左半身と右半身が、一つの身体の感覚にまとまってきました。2つの別々の物体が一つのゼリー状の個体に統合されていくような不思議な感じでした。
次に、逆に右半身を下の横向きの姿勢に変わりました。
今度は緊張している左半身が下なので、よりずっしりと重くベッドに接するような違和感がありました。田畑さんが前回セッションと同様に、私の足に手を置き、わずかな動きで少しづつ擦るように動かしました。その動きを感じているうちに、頭がぼんやりとし、身体もリラックスしていきました。途中少しの時間記憶がないため、おそらく心地よさで寝てしまっていたと思います。
左右横向きの姿勢が終わると。次はベッドに仰向けになりました。両膝を立て、古傷の右膝に触れるかどうかの強さで手を当てられたと思います。その後、私が違和感を感じる場所を見通しているように、張りが残る左肩に触れられました。次に左肋骨の一部に指を当てられ、そこに吸う息を当てるように呼吸するよう言われました。吐くときもまたそこから息が抜けるように、と言われました。この動きの後は肋骨の硬さがフワッとほどけて、ベッド一面に身体が広がるような感覚を覚えました。
一連のセッションが終わった後、部屋の中を歩行し、身体の感覚を再確認しました。最初と比べ、首が長くなり、目線が2~3㎝ほど上がったような気がしました。
ただ田畑さんの目からは私の肋骨の動きに違和感があったのでしょうか、田畑さんが私の後ろに立ち、肋骨を軽く抑えられた状態でしゃがみ動作をするよう指示を受けました。その後、再度部屋の中を歩きました。すると今度は目線の高さは元に戻り、その代わりに足が地面をどっしりと捉える感じが生まれました。
最後に、日常生活でできるワークがないか、と田畑さんに質問してみました。
田畑さんからは「とにかく楽に姿勢をとること」との指摘がありました。姿勢を決めるのは自分の意思で動かす随意筋ではなく、身体の深層にある不随意筋であり、努力して姿勢を変えられるものではないとのことでした。また、無理に良い姿勢をとろうとすると、余計な筋肉が働いて緊張が生まれてしまうとのことでした。
次回約1週間後のセッションまで、いただいたアドバイスを元にちょうどいい塩梅で生活できるか、自分で観察しながら過ごしたいと思います。
セッション3
前回のセッションから9日が経過し、今日はセッション3回目です。身体に疲れは溜まっているものの、1回目のセッション後と比較すると、左半身の緊張はほとんど感じていません。前回の施術後に田畑さんから紐を身体に巻く「ヒモトレ」を紹介され試しているのですが、その効果もあるのかもしれません。
毎回セッションに入る前に部屋の中を歩くのですが、これも前回までは左半身の前側に重心が大きくかかる感覚があったのですが、今日はそうした違和感はありませんでした。
本日のセッションはベッドにうつぶせの状態からスタートしました。田畑さんから首を左右どちらか楽な方に向けるよう促されました。私は首を左向きにし、右の頬がベッドに着く状態にしました。私は目視で確認はしませんでしたが、田畑さんは私の左肩の下にボールを入れたとのことでした。
「どんな感じがしますか?」と聞かれましたが今日は大きな違和感がないため、上手く身体の感覚を伝えることはできませんでした。しばらくそのままの姿勢でいる時間がありました。すると左腕に小さな張りがあることに気づき、田畑さんに伝えました。またそのままの姿勢の時間が続きました。じきに左腕の張りは次第に和らぎ、今度は次第に仙骨付近に硬さを感じ始めました。何も触れられなくても身体の感覚が変わっていき、不思議に感じられました。
そのままの姿勢で5分ほど経過したのでしょうか。その後田畑さんがそっと私の後頭部を指で触り、動かしました。私は疲れがたまっており、意識が心地よく薄らいでいったためはっきりとは分かりませんが、ミリ単位の指の動かし方だったように思います。
次に、うつぶせのまま首を反対の右向きにするよう促されました。また「どんな感じがしますか」と問われました。張りをほとんど感じなくなったため、上手く答えることはできませんでした。
今度は仰向けになり、膝立ちの状態になりました。田畑さんは私の足首あたりを指で触り、わずかに動かすのが感じられました。
そしてセッションの終わりが告げられました。起き上がるよう言われた時、今日はあっという間に終わってしまった感覚がありました。そこでようやく意識が遠のいている時間が長かったことに気づきました。精神的には心地よかったものの、せっかくなのでもう少し意識を留めて身体の感覚を追うことができればよかったかな、と少し後悔しました。
ベッドから立ち上がり、セッション開始前と同じように部屋の中をしばらく歩きました。今日も右足の感覚が変わっていることに気づきました。右半身が横に広がり、右足全体で床を踏めている感覚がありました。普段の生活では右膝の古傷の影響で、右足に力を入れることを躊躇しその分左半身に過剰な負荷をかけているのかもしれない、と思いました。
毎回、セッション開始前とセッション後に田畑さんが私の立ち姿勢の写真を前、横、後ろから撮っています。1回目の開始前の写真と今回のセッション後とを見比べると、一目見てだいぶ左半身の緊張が抜け、また前傾姿勢が改善していることがわかりました。身体の使い方の癖が変わりつつあるのかな、と実感しました。
次は一週間後です。さらなる変化が現れるのを期待します。
セッション4
前回のセッションからちょうど1週間が経ち、本日はセッション4回目です。前回同様、身体の疲れの自覚はあまりなく、昨日あたりから左半身がわずかに張ってきた程度です。
今日のセッションは、ベッドに左半身下の横向き状態からスタートしました。
田畑さんは今日も最初は私から離れたところに立っていました。「どんな感じですか」と感覚を問われました。私は直立時にはあまり意識しませんでしたが、やはり、左半身は右よりも固く、ベッドに接触している身体の左側が上手くなじんでいないことに気づきました。
田畑さんにそのことを伝えると、田畑さんは私の頭の側に移動しました。またどんな感じか問われると、私はなぜか頭の周辺がベッドに沈んでなじんできていることに気づきました。
田畑さんはまた立ち位置を変えました。田畑さんが私の背面側にくると、今度は背中に薄い膜が張ったように少し緊張を感じました。無防備な背面をとられることに対し生物としての危機感のようなものを感じたのでしょうか。田畑さんのわずかな立ち位置で私の感覚が大きく変わるのがとても不思議に思えました。
田畑さんはおそらく緊張の少ない頭側から施術を開始するようでした。最初私の頭の上に軽く手を置きました。その後、首の下あたりにも手を置きました。次第に首の左側の緊張が取れるのを感じました。セッション開始時と比較すると、左半身と右半身の間の差がなくなってきたようです。
次に、反対の右半身が下の横向きになりました。
田畑さんは私の左の座骨にあたりに触れ、わずかに押しました。座骨を押されている時間の中で左足に様々な感覚が生じました。まずは鼠径部のあたりにかすかにビリビリとした刺激が走りました。その後、ふくらはぎの外側あたりが暖かくなりました。ふくらはぎ全体が痺れるような感覚もありました。そして、左足全体が柔らかくなるにつれ、左膝の内側に軽い痛みも感じました。田畑さんが私の座骨から手を放すと、それらの感覚は去っていきました。
仙骨のあたりも触れられました。左の骨盤の硬さが和らぎ、だんだんとマットに沈み込みました。
その後、前回と同じく上向きで膝立ちの姿勢も取りました。田畑さんは私の足首のあたりを抑え、わずかに動かしました。抑えられていない膝が多少揺れましたが、悪い感じはなく、足全体の重さがとれた感がありました。
また「どんな感じですか」と聞かれ、左の上腕とふくらはぎに張りが残っていることを伝えました。すると田畑さんは私の左の眼球の下あたりを抑え、「重さを感じてください」と言いました。言われたように感じようとしてみると、次第に左上腕とふくらはぎの張りも和らいできました。
セッションの終わりが告げられ、また部屋の中を歩きました。今日は左半身はさほど張っていないつもりでしたが、セッション開始前と比較すると鈍っていた身体感覚が戻っているようです。やはり筋肉の緊張で感覚が鈍くなっていたようでした。
セッション前後を写真で比較すると、骨盤の左側が高くなっていたのが水平にそろっていました。やはりまだ普段の生活のなかで左側の筋肉を緊張させる癖は残っているようですが、以前ほど強い張りはなくなっています。前々回に紹介された「ヒモトレ」も続けていますが、少し身体の癖が変わってきている気がします。次回のセッションまで、また変化を観察したく思います。
セッション5
前回のセッションから6日が経過し、セッション5回目です。座り仕事をしていて以前は15時以降は疲れて集中できなかったのが、ここ2週間は夕方になってもあまり疲れを感じない日が増えてきました。セッションと日常「ヒモトレ」を継続している成果かもしれません。
本日のセッションはベッドに仰向けの姿勢から開始しました。田畑さんは最初、私の右足先のそばに立っているようでした。いつも通り「どんな感じですか」と感覚を尋ねられました。「左側の肋骨のあたりにつまりを感じます」を答えました。1回目のセッションでも仰向けで呼吸を確かめる時間がありましたが、その時と似た身体の感覚です。私が答えると、田畑さんは私の左足側に位置を変えたようでした。すると、少し肋骨のつまりが和らぐように思えました。つまりが和らいだことを田畑さんに伝えると、今度は私の頭の側に位置を変えました。ここでは肋骨の感覚は変わりませんが、上半身、とくに肩の辺りがほぐれる感じがしました。田畑さんにそのことを伝えると、田畑さんは私の左肩に上に手を置き、しばらくゆっくりとその状態を保っていました。おそらくまた指で押しながら、少しづつミリ単位で指を動かしていたと思います。私が明確に認識できないくらい、ゆっくりかつ微細な動きでした。どれくらいの時間かはわかりませんが、しばらく肩におかれた指の感覚を感じていました。どこかのタイミングで、また「どんな感じですか」と尋ねられました。身体の感覚に耳を傾けてみると、肋骨のつまりがなくなり、代わりに鳩尾のあたりにモヤモヤした感じを覚えました。これも1回目のセッションの時に似た感覚です。また、じわりと左の骨盤が開いていく感覚も感じました。開く過程で一瞬熱感を伴う痛みを感じましたが、すぐに去っていきました。
次に左膝だけを立てるよう言われました。空気が半分くらい入ったボールがそっとお腹に当てられました。当てられている間は変化がわかりませんでしたが、しばらくしてお腹から離された後、お腹の緊張がほどけた感じがありました。胴体がベッドの上に溶けて広がるような心地良さを覚えました。
そして、右膝も立てるように言われました。田畑さんは私の左右両足の足首あたりに手を置き、またその位置で少しづつ微細に指を動かしているようでした。しばらくして田畑さんが手を放し、どんな感じか尋ねられました。身体の感覚を探ってみると、胸のあたりのモヤモヤは消えていました。胴体部の違和感が抜け、左の上腕と左の足首の前側に張りを感じました。そのことを告げると、田畑さんは私の二の腕を軽く押さえました。しばらくして放すと二の腕の張りも抜け、腕全体がベッドに沈みました。
ベッドから起き、いつも通り部屋の中を歩きました。今日は首の上にしっかりと頭が乗り、安定して前に歩ける感じがしました。なぜか目線の高さはセッション開始時より低くなった気がしました。毎回セッション後に歩くときの身体感覚が違うのが不思議に思えました。そのことを田畑さんに尋ねると、毎回セッションのアプローチが異なり、これといった身体の青写真的な形があるわけではないとのことでした。
帰り道で左足の薬指の周辺にジンジンとした刺激がありました。ただ嫌な感覚というわけではありません。左足の薬指は高校時代にラグビーで強く打撲した場所です。セッションを受けたことにより、古傷がある箇所に反応が起きているように思えました。
身体全体の感じ方だけでなく、身体の扱い方も変わってきました。以前は知らない間に左半身の前側が硬く張っていました。今は身体に緊張が起きる過程が感じ取れるようになってきました。感じ取ることで、必要だと判断した時に意識して休息をとるなど、対処の仕方も変わってきました。対処の仕方を変えることによっても身体の疲れの度合いは減るかと思います。
10回のセッションもあっという間に半分の5回が終了しましたが、引き続き日々自分の身体の声を聴きながら、次回に臨みたいと思います。
セッション6
前回のセッションから1週間日が経過し、計10回セッションの内6回目、あっという間に折り返し点を迎えました。
いつものように立位で前面、側面、背面からの写真を撮った後、部屋の中を歩行しました。歩いている間に田畑さんから今日の調子を尋ねられました。疲労感、身体の左前側の突っ張りは軽減しています。一方で、以前は突っ張ることで身体を支えていたのが無くなったためなのか、ここ2週間は骨盤の右側上部に痛みを感じる時がありました。そのことを田畑さんに伝えると、立位で止まった状態で、左右片足づつ、交互に重心をかける動きをするよう促されました。そして重心をかけた時、左右どちらの足の方が安定するか尋ねられました。試してみると、左足には身体が乗る感覚がするのに対し、右足側は十分に体重を預けることができません。そのことを伝えました。
田畑さんから最初はベッドにうつ伏せになるように言われました。意外ですが、これまでの5回のセッションでうつ伏せの姿勢になった記憶がありません。田畑さんは私の左足側に立ちました。いつも通り「どんな感じですか」と尋ねられました。私は自分の身体感覚を探ってみると、身体の左半身には質量があり、ベッドに沈み込むことに対して抵抗しているようでした。一方で右半身は柔らかくベッドに沈みはするのですが、身体として感覚が頼りなく、弱々しく思えました。そのことを告げた後、田畑さんは私の右足側に移動しました。また感覚を尋ねられました。すると左半身の抵抗感が薄れ、身体の左右の差が少し無くなった気がします。
その後、田畑さんは右足側の下に板のようなものを挟み込み、高さを作ったと思います。そしてボールを私の足に当てました。その後私は頭の周辺に軽く手を触れられた記憶もあります。私はうつ伏せの姿勢の施術が快適だったのか、すぐに気持ちがまどろみ、いつの間にか意識が遠のいていました。
どのくらいの時間が経ったのか定かではありませんですが、意識が戻っても、田畑さんは私の頭の周辺に手を置いていたと思います。「どんな感じですか」と尋ねられました。最初より左半身はだいぶ柔らかになり、右半身は充実感が増し、左右の違いがあまり無くなり一体の身体としてつり合いが取れたように感じられました。
次はベッドに仰向けになるよう告げられました。両膝を立てた状態を作ったところで、「呼吸はどんな感じですか」と尋ねられました。今日は前回までの仰向けの時に感じたような左肋骨の違和感はなく、胸のつかえ、呼吸の苦しさもありませんでした。そのことを伝えると、田畑さんは私の左背中とベッドの間に手を入れ、左の胸の裏側、おそらく肺の裏側に手を当て、しばらく押さえました。胸部の硬さが徐々に和らいでくるのを感じました。
ベッドから起き上がるよう告げられ、また、部屋の中を歩きました。セッション開始時よりも右肩、右足、右半身全体の動きがしっかりと感じられました。動きを止めた後、田畑さんは私の右膝の上、前ももを押さえ、その状態でゆっくりしゃがむように言われました。そして膝の真ん中を感じるようにと言われました。そう言われて、私は改めて右膝がある、という存在を感じました。次に、田畑さんは私の右のお腹に手を当て、「ここを締めるように」と言いました。意識してみると、右膝を曲げるのと連動してお腹の筋肉が締まるのを実感しました。私は「これが身体を使う、ということなのか」とちょっとした感動を覚えました。
セッションの後、私は先ほどの右膝と腹筋の連動を日常でも再現したいと思い、田畑さんに動きを日々感じるのがよいものかと質問してみました。田畑さんからは姿勢を決めるのは意識的な部分ではない、との返答でした。以前も同じ趣旨のことを言われていますが、どうも私は「努力によって姿勢を作り出す」ということにフォーカスしがちのようです。田畑さんは、私の既存の物事の捉え方とは別の視点からアドバイスをくれている気がします。努力をしないでよいとなると個人として何をすべきか迷いますが、以前紹介された「ヒモトレ」は効果を感じているので、しばらく続けようと思います。
次のセッションは頭部に対するアプローチとのことです。頭部は左肩の緊張が高まった時に左側に片頭痛を感じることはあります。ですが身体の緊張度が高くない時はあまり意識しないで済んでいるため、いまだ理解が乏しい箇所です。今回の10シリーズセッションで今までにない感覚を味わえているので、可能な限り、先入観にあまり捉われずにありのままに受けてみたいと思います。
セッション7
前回のセッションから8日が経過しました。前回の右足で地面を踏む感覚を思い出し、身体全体の感覚を感じながら動いてみたいと思い、前日に50分ほどゆっくりランニングをしました。身体の感覚を感じながら、左右の足でバランス良く地面を蹴ることを意識してみました。走った直後は汗をかいて爽快でしたが、次の日セッション当日にはやはり左半身に硬さが生じました。意識で身体のバランスをコントロールするのはやはり難しいと思いました。
今日のセッションはベッドに仰向けの姿勢から始まりました。田畑さんは最初私の右足側に立ちました。「どんな感じですか」と問われました。仰向けでもやはり左半身は硬く、かつ身体の外から細い糸で引っ張られているような突っ張り感がありました。田畑さんは私の右足側に立ち、そのまま頭側に移りました。しばらくすると頭の近くがスーッと和らぐ感覚があったため、そのことを田畑に伝えました。すると頭側から施術を開始するとのことでした。
田畑さんは私の左右の胸のちょうど中央あたりにそっと手を置いたようでした。そのまましばらく手を動かさなかったと思います。徐々に左の骨盤がジワーっと開いていくのを感じました。ベッドに反発していたお尻が段々と沈んでいくのを感じました。私はセッション中に意識が遠のくことが多いため、今日こそは目を開いて意識を保とうと思いしっかりと天井の光を見ていたのですが、いつもの通りいつの間にか意識が失われていました。しばらくして気が付いても田畑さんの手は私の胸の中央あたりにあったと思います。また「どんな感じですか」と問われました。身体の左半身全体の緊張はだいぶ和らぎ、お尻の一部分などにわずかな硬さが残る程度になっていました。田畑さんに「左右が一つの身体になった感じがします」と伝えました。
次に仰向けの姿勢のまま両膝を立てました。首・背中とベッドの間に薄い板状のものを挟まれました。すると、次第に呼吸の通りが良くなってきた気がしました。
そして、田畑さんから顎(の施術)に入ると告げられました。どんなことをするのかな、と思いましたが、田畑さんは紙かビニールのような素材の手袋を手にはめました。口をしっかり開けるように告げられ開けると、指を私の口の下顎の左側にいれました。そして「下顎の重さを感じてください」と言われました。様々な整体を受けてきましたが、これは初めての体験でした。一瞬、「歯医者かっ」と心の中で叫びました。ただ驚きはしたものの、とはいえ田畑さんは他の箇所と同じく、指を丁寧にゆっくりと動かす感じだったので、特に痛みなどはありませんでした。田畑さんは私の口に入れた指を出し、「どんな感じですか」と私に問いかけました。私は何ともいえない感じでしたが、顎の辺りが広がるような感覚を覚えました。次に田畑さんは私の口の下顎の右側にも指を入れました。左右の顎が終わると、下顎全体が顔の上でフワフワ浮いているような感じがしました。上顎も左右行いました。
そしてさらに、鼻にも指を入れるとのことでした。最初は左の鼻ですが、これは指が鼻に入る感覚がヌルっとして正直最初は違和感しかありませんでした。田畑さんは「鼻と口が呼吸でつながっているのを感じてください」「鼻から入る空気が肺に入るのを感じてください」などと私に伝えていたと思います。私は何とか言われた箇所を感じてみようと思いました。が、違和感の中で本当にその箇所を感じられたかはわかりません。続いて右の鼻にも指を入れられました。
左右終わって指が鼻から出た後、また感覚を尋ねられました。私の呼吸がかつてないほどにまっすぐ入るのがわかりました。鼻から入った呼吸が胴を伝ってまっすぐにお腹に届きます。そして、呼吸をするたびにさらに身体の先までつながっていくのを感じました。全身が呼吸で満たされるのがとても快適だったのを覚えています。
セッションの終わりが告げられ、部屋の中を歩きました。まだ呼吸の感覚が残っており、胴体を通る呼吸によって勝手に姿勢が保たれる感じがしました。呼吸の通りが良いと、その心地良さで身体の違和感など吹き飛ぶ感じがしました。歩く時の頭の位置、目線も自然にあるべき場所に定まる気がしました。呼吸が良くできていれば色々な問題が解消されるのかもしれないな、と思いました。
セッションの度に新鮮な経験を味わっていますが、今回はとくに衝撃的な体験を味わえました。次は8回目、終盤に差し掛かってきましたが、日常でも呼吸や身体の感覚を味いながら過ごしたいと思います。
セッション8
前回のセッションから1週間日が経過しました。今年は10月も暖かい日が続きましたが、今週は気温が下がり、寒さに反応する形で身体にも変化を感じます。例年気温が大きく変わるタイミングに不調になりやすく、今年は左肩こりと、それに伴い頭部左側に緊張性の片頭痛が出てきました。セッション前の歩行確認の際に田畑さんにそのことを伝えました。
今日のセッションはベッドにうつ伏せの姿勢からスタートしました。田畑さんは私の膝を左右交互に横に曲げ伸ばしました。平泳ぎの足を片足づつ行うような形です。そしてどの姿勢が落ち着くかを私に尋ねました。私は頭を左側に向け、右足は伸ばしたままで左膝を横に曲げる姿勢が安定したので、それを伝えました。その姿勢から行うとのことでした。田畑さんは私の両ひざを細い紐で軽くくるんで、左肩の下にクッションを挟みました。しばらくは私の足のそばで立ち位置を変えて確かめているようでした。「今どんな感じですか」と尋ねられました。私は左右非対称の姿勢のせいか、身体感覚が良くわかりませんでしたが、左頭部の片頭痛は残っていましたので、その旨を伝えました。田畑さんは私の左ふくらはぎのあたりに手を置き、しばらくそのままわずかに指の力を入れる程度で押さえました。いつもながら、このじっくりとしたペースでかつ微細な強さの指圧がよく身体に作用します。左殿筋の緊張がほどけ、骨盤が徐々に開いていくのが分かりました。その指圧が続いた後、右足のふくらはぎの辺りにも同じように手を置き、またしばらく押しました。
次に、田畑さんは逆の姿勢をとるよう私に促しました。左足を伸ばし、右膝を横に向ける姿勢です。そして同じように両膝を紐でくるみ、右肩の下にクッションを置きました。その後は私の右ふくらはぎをじっくりとしたペースで押しました。左も同じようなペースで押しました。
足へのアプローチが終わった後、田畑さんは私の背中の中心あたりをかるく指で押し続けました。この時点で頭の片頭痛はほぼ消えており、そのことを田畑さんに伝えました。
その後、仰向けの姿勢になり、両膝を曲げるように促されました。田畑さんはまた「どんな感じですか」と私に問いました。仰向けで左右対称の姿勢になると、うつ伏せの時よりも左右差が感じられました。田畑さんに左肩のあたりにわずかに張りが残っていることを伝えました。田畑さんは私の左肋骨のあたりを抑えながら「息を吸う時にここを伸ばすように」と 言いました。そのまま3~4回程度のゆっくり呼吸を繰り返しました。田畑さんが手を離した後、左肩の張りがなくなりました。左骨盤部もより広がりを感じました。
ベッドから立ち上がり部屋の中を歩きました。セッション開始前の片頭痛はなくなり、左半身の微細な動きが感じられました。田畑さんから「左肋骨のあたりに怪我をしたことはありますか?」と問われました。記憶をたどってみると、柔道で投げられた際に肋骨を痛めたことはあります。右膝とは異なり後遺症はないと思っていたのですが、無意識のところで姿勢に影響を与えているのかもしれません。「ヒモトレ」で肋骨のあたりの姿勢を整える紐の巻き方を紹介いただきました。さっそく試してみようと思います。
今回で8回目が終わり、後2回で10シリーズのセッションは終了です。私見としては正直まだ「意識として気づくことで、自分で身体を変えられる部分があるのではないか」と思ってしまう部分があります。ですが田畑さんによると姿勢は意識によって変えられる部分は少ないとのことです。当面はまず10回のセッションを受けきって、その時の自分の変化を感じてみたいと思います。
セッション9
前回のセッションから6日が経過しました。
田畑さんから紹介された「ヒモトレ」で日々身体感覚を感じていて嬉しい発見がありました。思い付きで右足の腿をヒモで巻くのを試していたら、古傷の右膝の痛みを感じなくなりました。正確には、深く曲げたりすると多少の痛みを感じるのですが、歩行など日常生活の動作ではほぼ痛みを感じない状態になりました。右膝をかばわずに、きちんと足の上に骨盤が乗って立つ感覚をもてるようになりました。なぜヒモによって痛みを感じなくなるのかが不思議でしかたなかったのですが、今日のセッションの最後の田畑さんとの話で腑に落ちました。ヒモを巻くことによって無意識のうちに身体全体でバランスを取るようになり、膝の一部で支えていた負担が身体全体に分散されるようになったとのことです。
さて、今日のセッション内容ですが、今までにないアクロバットともいえる姿勢で始まりました。ベッドのやや左側にうつ伏せになり、左手を左側に伸ばしベッドの横置いた大きなバランスボールの上に手のひらを乗せます。二の腕の下あたりにクッションも置きました。右手は逆側に伸ばします。下半身は横向きになりました。腰のあたりで身体が左にねじれる形になります。いつものように田畑さんから「今どんな感じですか」と問われました。ねじれにより左体側がかなり伸ばされているため、左腰に突っ張りを感じるが、気持ちがいい伸びだと答えました。正確には、痛いと思う一歩手前の微妙な心地よさ、という感じでした。
田畑さんは私の首の後ろに手を置き、左手、右手を伸ばすと一緒に、呼吸で首の後ろの伸ばすように私を促しました。私は必死に言われた動作をして上手くいっているのかわかりませんでしたが、腰の突っ張りが和らぐのを感じました。突っ張りの場所自体も左から右腰に、そして左右の腰の中心へと移り変わりました。
次に同じ姿勢を左右反対でも取りました。右手側にバランスボールがあり、腰が右にねじれる形です。こちらの姿勢のほうが安定感はありました。ただ、腰の伸びという点では、最初の左ねじりのほうが高かった感覚がありました。同じように呼吸で首の後ろを伸ばす動作も行いました。これをすると身体の緊張がほどけ、身体がベッドに深く沈みました。
そして、よく以前のセッションからよく行うあお向けの膝立ちの姿勢になりました。今日はここまでで大きく身体をほぐす動作をしたためか、以前のセッション時のような身体の左右の差は感じなく、身体が左右合わせて一つの存在として感じられました。
ベッドでのセッションが終わり、いつものように部屋の中を歩きました。今日はなぜか歩くとふらふらと身体の軸が定まらない感覚がありました。そのことを田畑さんに告げると、田畑さんは私の肋骨あたりを手でサポートしながら、私に呼吸をするよう促しました。何度かこのような動作を繰り返し再び歩くと軸が定まり最後は安定した姿勢で歩けました。
冒頭のヒモトレの効果を感じているうちに、田畑さんのセッションの技術と大きな関連性があると思うようになりました。田畑さんが、立ち位置を変えるなどの微妙な動作で受け手の私の感覚的な心地よさが変わるのが、ヒモをつける場所や結び目の位置を変えて、快適な巻き方を探る行為に似ていると思います。ヒモの付け方を変えて心地良さのポイントを探るのは、大きな努力を要するものではなく、ちょっとしたアジャスト(調整)に近いと思います。これは頑張って根性で何事も達成しようというマインドとは異なる視点です。このことに気づけたのは、誇張ではなく今後の私の人生にとって大きな価値があると思います。
次でセッション最後の10回目ですが、日々頑張りすぎず、少しづつ自分にとって快と感じられる身体の部分を探り、次回を迎えたいと思います。
セッション10
前回のセッションから8日が経過し、10回目、最終回となりました。
のべ約2か月ですがあっという間でした。1回目セッション前に感じていた身体的な不調の内、膝の痛みはヒモトレで平常時ではほぼ解消され、左半身の緊張は2割程度、仕事中の疲労感も7割程度のレベルに軽減されました。
一方残る不安として、腰は大きな痛みはないものの若干骨盤の安定感に懸念は残っています。また、皮膚のかさつき、炎症はまだ出る時はあります。
総合的に見て、身体全体の症状は良い方法に向かっていると思います。
前回のセッションはかなりアクロバットな姿勢から始まったため、今回もどういう形になるかと、最初は内心そわそわしていました。しかし蓋を開けてみると、今回はシンプルにベッドにあお向けの姿勢から始まりました。いつも通り田畑さんは私の足の側で立ち位置を色々と変えていました。田畑さんは私に感覚を尋ね、それを元に場所を決めて開始するパターンが多かったのですが、今日は尋ねることなく、右足側からのアプローチに決めたようでした。
田畑さんは私に右膝だけ立てるよう促しました。そして珍しく、といっては失礼ですが「痛かったら言ってください」といって、脛の辺りに手を当てました。施術ではっきり痛みを感じたことはなかったので意外でした。が、やはり指で押す感覚は微細で、痛みは全く感じません。脛の後、膝、前ももの辺りと、田畑さんは少しづつ指で押さえる部位を移動していました。しばらくして「どんな感じですか」と問われました。田畑さんが押さえているのは私の右足ですが、左の骨盤が広がっていくのを感じていたため、そのことを伝えました。
次に左膝も立てて、同じように脛のあたりからいくつかの部位を指で押されました。
全身が柔らかく統合される感覚の中、心地良さで意識がまどろみ、途中は記憶が抜けてしまいました。たしか頭部のあたりを押さえられる時間もあったかと思います。胸の中央の緊張がほどけ、胸骨の間にスペースができた感覚も覚えました。
ベッドでの施術を終え、いつものように部屋の中を歩きました。開始前わずかにあった左半身の緊張が抜け、全身の微細な動きを感じて歩けました。その後両手を前後、左右に上げ下げの動作も行いました。私はいつも左手を挙げる時に左肩口にわずかに緊張を感じると伝えたところ、田畑さんは私の目を手で覆い、「左目の力を抜き、右目の視界に映るものを見つめるように」と言いました。私は言われた通りにするよう試みました。田畑さんが手を離した後、肩にあったわずかな緊張が抜けていました。目の動きがどう肩とつながりがあるかわかりませんでしたが、見事な変化に驚きました。
これで10シリーズのセッションが終わりました。ロルフィングは解剖学と生理学に根差しているとの事前知識を得ていましたが、今まで受けた整体のアプローチと全く異なり、正直、まだ現在の自分の身体の状態を整理しきれていません。ただ冒頭に記載したとおり、身体全体としての不調感が改善していることは間違いない、と思っています。田畑さんによるとこの後も身体に変化が生じうるとのことでしたので、しばらくは日々起こる身体の状態を観察しようと思います。
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