ココロのバランスボード

ヒモトレ発案者小関勲さんのところで開発されたココロのバランスボードを最近使い始めた。クライアントの方で、立位や歩行が困難な体幹性のジストニアと診断された方に、セッションの後このボードに乗ってもらった。すると、理由はわからないが、安定感が得られるという。普段立つことに支障がない人間にとっては、すごく大きな差としては感じにくいかもしれないが、こうした体幹を支えるのが困難な方にとってはその差も大きく感じられるのだろう。

自分がこのボードに乗ってみると、足元・床に対しての信頼感が増す。この感じは、例えば即効的にどこかの緊張や痛みがすぐさま消えるというような急激な変化ではない。今ある状態でそこそこうまくいっているとさらにちょっとだけその質が変わることに、ヒトはその変化を感じ取りにくい。しかし、身体感覚がある程度育っている人間なら、その違いを感じ取れるだろう。

身体感覚がまだ育っていない場合でも、それを毎日ちょっとづつ継続してボードにのってみる。すると、小さな変化が積み重なって、やがて自覚できるレベルまで違いがでてくるに違いない。

理由はともあれ、なんだかココロのバランスボードにのると安心する。地面に対してより親和性が増すということである。それは、ロルフィングが目指していること、重力との調和に向かうことに他ならない。シンプルにのるという動作だけで、安心するという感覚につながれるということには大きな意味がある。

セッションの後に、何か気をつけることとか、した方がいいことはあるか?とよくクライアントの方に尋ねられる。注意しなげればならないのは、役に立たないアドバイス – 身体にとって決してプラスになっていない情報で、頭が一杯になっている例は少なくない。そういう場合は、あえて、何かこれまで課してきたこと、腑に落ちたわけではないけど鵜呑みにしてどこかで仕入れたことをとりあえず、「やめてみる」ことにむしろ意味がある。ジャンクなアプリをスマホから削除するように。 一方、このバランスボードにのるという行為は、実のところ本人の身体に役立っていない”何か”を過剰にやり過ぎて混乱している状況から、一旦離れる手助けをしてくれる。

ボードの説明を読むと、なでしこジャパンなど一流の選手がこのボードを利用しているという。彼等は、インスタントで意味のないものに時間を割くヒマはないので、本当に意味のあることであれば、地道にそれを採用する。そうしたスタンスの人々に支持されていることにはきちんとした理由がある。

ロルフィングのセッション後、家で何かできることの一つに、「ココロのバランスボードに毎日乗ってみる。」ことをお勧めしたい。