月別アーカイブ: 2015年8月

ロルフ・ムーブメント認定プログラム

Rolf Instituteの新しい方針の一つとして,Rolf Movementプラクティショナーのための認定プログラムをロルフィングトレーニングとは独立させることがすでに決定しています。

本拠地である米国のMovementの教授会でもそのカリキュラムについて検討が進んでいて,2017年から施行されることになりそうです。教授会から意見を求められつつ,日本での導入についてもゆっくり検討段階に入っています。

数年経つと,ロルファーではないけれども,認定ロルフ・ムーブメントプラクティショナーとして活動する方々が出てくることになり,その流れもまた楽しみです。

ちょっと前に,ムーブメントのプログラムが更新されて,18日間のコースから,計30日間のプログラムに更新されたばかりですが,さらに大きな流れがやってきています。 この大きな変革の時期にカリキュラムの編成に関わることができてとても光栄です。

インドにいってみたところ

7月末にインドのバンガロールに行ってきました。

インドにはあまり縁がないと思っていたのですが,いってみたら,いいところでした。いいな,と思ったのは,第2外国語であるところの英語を,日本人と違って堂々と話しているところ,日本人に対して差別的なところが全くないところ,あと,時間の流れ方でしょうか。

戻ってから,セッションしてみて違いに気がついたのですが,すごく待てるようになった,ということ。

セッション中に,こちらがどんな感じか尋ねると,内側から言葉が湧いてくるまでじっくり待ってからフィードバックするクライアントの方がいるんですが,その待つ時間を意味を感じながら共有する余裕が感じられたのが新鮮でした。

思わぬインド効果にちょっとうれしい驚きです。

ホ ・ポノポノとロルフィング

先日、平良アイリーンさんの新書、ホ ・ポノポノ ジャーニーの出版記念会にいってきました。私たちにできることは、記憶の再生、言い換えるとパターン化していること、これは潜在意識に刷り込まれていることから、自由になるために、記憶をクリーニングする、ということ。無意識に語りかけ、諭すように、4つの言葉を繰り返す、それがホ ・ポノポノの基本です。 記憶という制限/滞りを外していくと、可能性が開いていく、というのは、ロルフィングも同じだと思いました。

無意識の表れである身体を変えるというのは、無意識にダイレクトに働きかけるのと一緒です。その滞りが減ることで、身体を通して人間の可能性が開くのを邪魔しているものを取り去る作業は、ホ ・ポノポノと共通です。

そこで話された、いろんなことに因果関係はない、という話も印象的でした。物事には一見、因果関係があるように見えることがあるけれども、実際に何が起きているかはわからない。身体への介入によって、何が起こっているのかは、正確には誰にもわからない、無意識の中のプロセスと身体というブラッックボックス内で起こることは、実は誰も追跡しきれないし、その必要もない。だから、つい上手に説明やプレゼンができるとなんとなくうまくいった気になりがちなのだけれども、そのことにはほとんど意味がないことになります。受け手の気休めにはなっていると思いますが。。

本当の自分、言い換えると、囚われていない自由さを取り戻すには、いいと感じているものも制限と感じているものも含めて、まとわりついているものをまず手放してリセットする必要がありそうです。

 

心臓弁手術を受けた方へのワーク 

今,心臓弁が先天的に不全だった方が,手術を受けられて,その回復の目的でロルフィングのセッションを受けにいらしています。4年程前に10シリーズを終了されていたのですが,ずっと気になっていた心臓手術を思い切って受けたとのことでした。

心臓の拍動を感じるとそれが不規則になったりするのを感じて不安な感じになるため,以前は心臓に意識を向けるのが嫌だったそうです。

思い切って手術を受けて,その影響はあるものの,心臓を感じることに抵抗がなく,健康に自信がついてきたとのことです。開胸したことで,肩の可動性も減って,手術以後,しっかり休息することが難しくなっていたようですが,それもロルフィングで肩も楽になってきて,ちゃんと深く眠れるようになってきたそうです。

なにより,ロルフィングを回復に役立てようと思ってきてくれたことや,10シリーズを終えたときより,自信がついてきていることが彼の表情から伺えるのもまたうれしいです。

必要な手術は受けて,ロルフィングでしっかり回復する。うまくかみ合っている感じがします。

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つながりから離れる自由

とかく現代は,SNSなどのネットワークを通じてたやすく人とつながりやすいです。

必要があればつながるのも大切ですが,簡単につながりから離れる自由が元にないと,つながりはかえって制限となって機能しなくなる要因になってしまいます。動的につながって動的に離れることで,次に出会うべき新しい人やモノに巡り会うことができます。

シンプルに,その関係性やその人物を思い浮かべて,なにか重い感じがしたり,窮屈な身体感覚があるのなら,そこから離れるべきです。

必要のない関係性にしがみついて,無駄な時間を過ごす程,暇ではないはずです。

一貫性を持つ

最近, self-consistancy という言葉が意識されます。

矛盾のない一貫性のある状態を指すのだと思いますが,偏っているなら偏っているなりに,一貫性がある方が見てきてスッキリします。

何かといろんなことに噛みついていく大学時代からの親友がいますけど,見た目もそのままで矛盾がなかったせいか,近くにいても全然違和感がなかった。一貫性があれば,それはそれで問題ない気がします。見せかけようとする外見と内側の矛盾があると,内側に向けば身体に負担になるだろうし,外に向けば,周囲に負担をかけるか,のどちらかでしょう。

他人のことはともかく,自分のワークがより空間との関係性を大切にしたり,快適さを重視するようになってきたので,身の回りのものや居住空間,ワークルームについてもその感覚に一致するように整えるようにしてみました。空間や場所は,厳密には誰の所有物でもないけれども,それを確保するためにある程度投資せざるを得ません。それが最終的にRolfingのセッションに影響するとすれば,必要なことです。

統合やバランスをテーマにしている限り,自分に一貫性をもたせていかざるを得ませんが,そうすることで流れも変わるような気がします。

 

教えるということ

いろんなタイプの教え方があると思います。

自分の場合に当てはめてしか,考えられませんが,自分が受けてきた教育の中で,意味があったこと,つまらなくて役立たなかったこと,いろいろあります。

まず,無駄だったなと思うのは,その先生がまず教える内容に興味を持ってなくて,もはやルーチンをこなすようになっている授業。それから教える”べき”教える”ことになっている”項目を相互の関連性を伝えることもなく羅列するだけの授業。これもひどく退屈でした。これは反面教師になってくれます。私が倣った中学・高校の先生の8割はこのタイプでした。

一方,役立った,或いは意味がちゃんとあった授業とは,先生自身がそのことに好奇心を実際に持っていることを伝えてくれた場合。それに加えて,その対象の前後や他の項目との関連性を示してくれた場合は最高です。いろいろな項目が抜けていても,その時なんだかよくわからなくても。とにかくインスパイアされれば,それでOKだと思います。

その教えをとっかかりとして興味が湧いて,自分で調べ学ぶ過程に入っていく。この点火するようなきっかけを与えてくれるのが,教師の役割ではないかと思っています。

単に項目の羅列や情報だけだったら,人間は必要ないわけで,教師と生徒,生徒間のダイナミックな相互作用でクラスは意味をなしてきます。この相互作用と生徒のユニークな芽を育もうとする恩師Carol Agneessens先生の姿勢からはまだまだ学ぶものがたくさんあります。

Rolfingに対する情熱と好奇心を失わず,常にアップグレードしながら,生徒さんがインスパイアされるような授業を心がけたいと思っています。

 

ロルファー以外の方にもRolf Movement認定トレーニングが

米国Rolf Instituteの新しいプランが発表され,ロルファー以外のプラクティショナーにもロルフ・ムーブメント™認定コースが受講できることになります。

これまで,ロルフ・ムーブメント™認定コースは,Rolfingトレーニングを終了してはじめて受講できる条件がありましたが,それが変更される予定です。

といっても1990年くらいまで,Rolf Movement 認定はロルファー認定トレーニングと独立して存在していたのですが,今回また元の体制を復活させることになります。

今,Rolf Movementの教授会を中心にそのカリキュラムの枠組を作っている最中です。

Rolf Movementは,知覚をフルにつかう繊細なワークですので日本人向きともいえます。

私もファカルティとして,アイディアを出しながら,日本でもそれが可能となるよう進めたいと思います。

まだまだ,体制も整っておらず,検討しなければいけない項目も多く,お問合せ頂いた際に対応できる段階ではありませんが,時期,内容について固まってきたら,お知らせしたいと思います。

 

Rolf Journalに私のインタビュー記事が

一昨年から今年の米国でのワークショップに参加してくれたロルファーの一人が,インタビュー記事を書いてくれています。Rolf Instituteの機関誌に掲載予定ですが,生徒側の立場から,私が行っている技法,The Art of Yieldを体験を通して解説してくれる模様です。

その過程で,The Art of Yieldの成り立ちについて質問されて,いろいろ記憶を辿って,その過程を思い出すことに意外と時間がかかりました。正直に答えてしまうと,差し障りがあることも思い出したのですが,せっかくの機会なので,なるべく全部を表現することにしました。

よくこのワークで変化するけど,どうやって作ったの?と聞かれることもしばしばあるのですが,十年以上かけて作ってきたこともあって,記憶が散らばっていたのですが,今回まとめるいい機会をもらったと思っています。

Yieldingワークを実践する上で参考にして頂ければと思います。

今年の7月の引越が終わった後,インド滞在時も含めて,ほとんどそれに費やしたけど,充実した時間でした。

そこには,偉大なロルファー達との交流やそのタイミングでお越し頂いたクライアントの方々との個人セッションの体験の蓄積が,The Art of Yieldの形成に大きく影響を与えています。

ベイエリアで活動しているKathyがどんな記述をしてくれるのか,今から楽しみです。