パフォーマンス」カテゴリーアーカイブ

コア(芯となる内臓空間)の重要性

言うまでも無く、姿勢は骨格だけから成り立っているわけではない。内臓空間が萎んでいれば、身体は支えにくくなる。

その典型が以下のケースである。

These Rolfing sessions helped his A-P balance temporarily.

Rolphoto Galleryさんの投稿 2020年8月26日水曜日

セッション直後は、写真で示されるような前傾傾向が改善されるものの、10シリーズの4回目までは、再び前傾してしまう傾向が残った。しかし、5回目で内臓空間を広げる介入後、以下のように前傾する傾向はなくなり、それは一週間経過した後も継続していた。それ以降も、もはや前傾傾向を示すことはなくなり、ご本人曰く、50メートル歩くと息切れしていたが、100メートル歩いても息切れ無く歩けるようになったとのこと。 背骨はあくまでバックボーンであって、すべてを支えているわけではない。背骨の前の構造もまた「支え」に重要なのである。

The client got core stability after the 5th hr of Rolfing session.It is sustainable on his A-P balance.

Rolphoto Galleryさんの投稿 2020年8月28日金曜日

内臓空間が広がるというのは正面から見るとこんな感じです。

See his core space.

Rolphoto Galleryさんの投稿 2020年9月12日土曜日

個人セッション提供について – パンデミック状況下での考え

COVID-19感染のパンデミックが宣言され、政府から自粛要請が出されている状況下で、個人セッションの提供についての田畑の考えを述べたいと思います。

プラクティショナー自身及びクライアントの健康に不安がないことを条件として、個人セッションは、これまで通り実施することとします。

その根拠になるのが、京都大学レジリエンス実践ユニットによる報告です。それによると、

国内感染者数が仮に5000人のとき 一人当たりの感染率 0.0040%

(2020年4月2日時点で感染者数2500人)

したがって、2人でワークを行う場合の感染率は0.008%ということになります。マスメディアにより自覚がなくともウイルスを放出する可能性が伝えられていますが、その可能性があったとしても、個人セッションによる感染率が0.008%であるなら、クライアントが持病がなく高齢者でもない場合には、ほとんど心配する必要はなくなります。上記報告では、50歳未満で感染した場合の死亡リスクは、0.3%と算出されています。

さらに、感染の可能性を回避するための衛生に留意するのであれば、さらに感染リスクも下がります。

このような状況では、感染者への差別や、生活に対する不安が増大し、場合によっては孤立し、本来の自然免疫も低下する傾向が強くなります。したがって、このような状況だからこそ、身体を通して、周囲との関係性や身体内部の連携を思い出し、エンパワーメントにつながるワークが生活の向上に役立ちます。個人セッションによる感染のリスクは、全くゼロではないとしても、それは過剰に怖れ、漠然と何かを控えることより、セッションを受けることで、ホメオスタシスを向上させ、少しでもクオリティの高い状態に持っていくこと、そのメリットは計り知れないと思います。ウイルスと接する機会はゼロにできない現状では、いかに自然免疫を高めることができるかにかかってくるわけで、セッションはそこに役立ちます。

自粛により、何となく見えない不安に覆われている今こそ、セッションを通して、本来の自分を思い出すお手伝いをしたいと考えています。

衛生について)

当セッションルームで衛生への配慮として取り組んできたことは、以下の通りです。クリーニングされたシーツをセッションごとに変える、皮膚に直接接したバランスボールやダイセムシート等に、逆性石けん液(塩化ベンザルコニウム(商品名オスバン)または、クロルヘキシジングルコン酸塩液(商品名ヒビテン)による消毒。これらは、ウイルス粒子を包んでいる膜タンパク質を変性させ、ウイルスを不活性化する働きがあります。換気については、セッションごとに行っていますが、常時行うと室温が低下してしまうため、空気清浄機:HEPAフィルターによる空気中微粒子の除去に有効なDyson空気清浄機とイオン放出型のLightAirの2機をセッション中に稼働させています。

追記)

プラクティショナーとして、田畑は現在月に一度、バイ-ディジタルO-リングテストの下津浦医師にビデオ診断により、コロナウイルス感染の有無をチェックしてもらっています。

身体を自分が思ったように動かす

中高生の野球で投球数規制が話題になっている。そもそもスポーツは、楽しみと健康のためにあると思っているが、本人の身体の健康が優先されずに故障することがあるのは残念なことだ。なぜ、肘のみならず。、故障してしまうかというと、スポーツ選手が自分の中のイメージの身体の使い方と、実際の動きとの間にズレがあることが原因である。身体と意識(頭)が一致していないという言い方もできる。専門用語でいうとプロプリオセプション -固有受容、位置覚とも訳されるが、つまりは、身体のパーツがどこにあるのかを感じ取る感覚で、目をつぶっても立っていられるのは、筋肉や腱などに埋め込まれたプロプリオセプターというセンサーの働きのお陰なのだ。

自分の身体のパーツがどこにあるのか、関節と関節との位置の関係性を時々刻々とモニターできれば、頭で思っている動きと実際の動きに差がなくなる。それができれば、痛めないような動きにもつながっていく。ロルフィングの大きな仕事の一つは、プロプリオセプションの働きを高めることによって、身体と一致するのをサポートすることである。

このことの重要性を武井壮氏が、彼の講演の中で語っている。

競技者が長くそのスポーツを楽しめるようにするには、様々な方法があるが、プロプリオセプションの能力を上げて、身体をできるだけ思ったように動かせる状態を土台にすることが不可欠だ。

競技者が、本当にそのスポーツを愛しているなら、競技寿命をできるだけ延ばしたいはず。怪我の予防にも使えるので、ヒモトレやロルフィングをはじめとした様々なソマティック・プラクティスを、もっとスポーツに取り入れることをお勧めする。

https://youtu.be/ol3HeIACFy0?t=625

声のパフォーマンス

身体を楽器に例えると、全体がよく響く方がいい。ロルフムーブメントの観点からは、身体にはいくつかの振動板〜ダイアフラム※構造がある。骨盤底や横隔膜もそれらの一つである。足底も含めて、ダイアフラム同士がよく響き合う状態をロルフムーブメントでは引き出す。それによって声のパフォーマンスが変わることはよく観察される。一方、水平面の共振はしばし注目されるが、垂直面の構造にも当然のことながら重要である。立位での位置関係になるが、上肢と下肢の骨間膜、胸郭内の縦隔、頭部の大脳鎌などの垂直面の振動板として捉えることができるので、これらの共鳴を引き出すと、さらに声のパフォーマンスが変化する。

しかしながら、実際に声を出す段階になると、さまざまな緊張のパターンが邪魔してパフォーマンスを上げる障害になる。たとえば、声を出そうとするあまり、喉や胸郭上腔をぎゅっと狭めてしまうパターンがあると、どんどん声帯に負担がかかってしまう。いかに空間を狭めず空気の通りを妨げないように響かせるかがポイントになってくる。

からだの内側での共鳴だけでは、実は足りない。周囲の空間に響かせる必要がある。そうなると、空間との関係性が鍵になってくる。スピーカー自体の性能がよくても、部屋の構造とその配置が大切なのと同じである。

声といっても、様々な音域があるので、響かせやすい音域がそれぞれ異なる。声というと声の出し方に注意がいきやすいが、声帯を通して、身体のどのダイアフラムと共振させて、空間にそれを響かせていくか、といういくつかの段階がある。「声を出す」と聞くと、出力の一方向性が強調されるが、響くためには、振動板間、からだと空間との間の双方向の共振が含まれることにきがついていると、それだけで声についての捉え方、響かせ方が変わってくる。

声のパフォーマンスを上げようとするとき、どの段階がネックになっているのか、どの振動板の共振がイマイチなのか?その制限のパターンがどこから生じるのか?見極める必要がある。

※ダイアフラム:ロルフムーブメントでは、身体内の空間を仕切る水平膜として機能する構造を指す。口腔底、骨盤底、足底などが含まれる。音響学では、振動板と訳されている。

そもそも股関節が得意なのかも

幼い時に股関節の固定具を装着した経験のある方が、最近いらしている。大人になって、かなり自覚的な記憶がないとしても、身体は覚えているもので、生育の初期に起きた装具による影響はかなり大きいようである。

股関節は、正にKing of jointで、身体の支えだけでなく、骨盤の水平性、内臓空間にも大きな役割を果たしている。大腿骨の大転子からDeep6と呼ばれる深層の筋肉は、閉鎖膜とつながっていて、骨盤底筋群と共に、真骨盤の空間に直接的に関わっている。それ程、重要な関節なので、ここが発達段階の初期に制限されるというのは、身体としては無視できない大事なのだ。

先日のセッションでは、股関節を解放する自発的な動きが内側からでてきて、それが完結し、身体が納得したことによって、劇的な解放感が心身に広がった

私自身、生まれてすぐに、最初に診てもらった医師からは、大腿骨頭を切断する股関節の手術が勧められたが、両親がセカンドオピニオンを求めた別の医師が、問題ない、といってくれたお陰で手術を免れた経緯がある。多少O脚だった程度に過ぎないはずが、その時期、医学会にはその手術が流行していて、最初の医師は、多分腕を試したかったのだろう。というようなこともあって、股関節には何か特別な思いがある。そのようなことも関係してか、股関節に纏わることについては、何か得意なのかもしれない。