たいてい材料は揃っている

やれ、この筋肉が落ちているから、お金を出して鍛えましょう!とか、どこかで言われたり、仕入れましたというクライアントの話をよく耳にする。

筋肉が落ちるというのは、寝たままの生活が長くなっていくと、重力の負荷がかからないので、筋肉は自己解体の方向に向かって、確かに落ちることはある。父の晩年は、筋肉は細く薄くなってしまったが、それでも、補助器具を使いながら、部屋の中での移動を続けていた。この激減した筋肉量でも身体を支えられるというのは、驚異的だったが、人間の可能性を示してくれた。要は、筋肉量ではなく、使い方とバランスなのだ。

筋肉が落ちていると言われたという方の筋肉をみると、父の晩年の筋肉量と比較して、少なく見積もっても10倍以上ある。そう、材料は揃っているので、「落ちている」という表現は適切ではない。他の筋肉と比べると多少「機能していない」「連携がとれていない」ということになるだろう。

通常の生活での活動、立ったり座ったり、歩いたり、掃除したり、という動きの中で、お金を払わずとも、重力という負荷がかかり、必要な筋肉量は維持される。

筋肉が落ちているといった側の、頭の筋肉?が落ちているに違いない。