月別アーカイブ: 2020年11月

移転します

今月末に、引っ越しします。

今までの場所は8階ということで、部屋からの見晴らしもよかったのですが、3つ前の恵比須苑以来久し振りに2階の部屋になります。

自分の中身やワークがアップデートしてくれば、当然しっくりする場所も変わってくるので、めんどくせ〜し、お金もかかりますが、空間身体学を探究する者としては、一貫性がなければ、説得力に欠けてしまいます。8割方まあまあよくても、タイミングがきたのなら、致し方ない。

介護のため、親父の近くにオフィスも構えるか考えていましたが、結果的にそういう流れにはなってないようです。

これまでより、やや広め、家賃も少し高めですが、滞在してみてその部屋が自分にしっくりくるのであれば、流れも自然になるはずで、なんとかなるでしょう。

ファッシャとは?

先日インタビューを受けたのですが、その時にロルフィングは筋膜に働きかけるんですよね?って話になるんですが、そもそもファッシャは筋膜を越えたものであると再検討〜再定義が進んでいる最中でもあります。

ロルファーとしても、ファッシャをどう認識しているのか?ということが、重要だと思っています。

それは、Principlesの Wholismとも関連してきます。Rolfingを始めたばかりの頃は、働きかける対象をマイオファッシャとして、主に筋肉を介してファッシャを捉えていました。関節の動きは、基本的に骨とマイオファッシャを扱っていればこと足りるのですが、内臓や頭蓋を扱うことになると、内臓筋膜や堤靱帯、大脳鎌や小脳テントといった深部結合組織を扱うのみならず、それらが、movementよりさらに組織固有の微細な動き=motilityを持っていることを学ぶことがセットになってきます。

これらの深部結合組織も全体のファッシャのネットワークの一部ということになります。
細胞の外全体とつながっていて、細胞接着因子を介して、細胞内骨格ともシームレスにつながっています。
そして、その微細な動きが、目に見える関節の動きの根底にあることが理解できると、ワークが繊細となって身体に対する認識も変わってきます。高い統合状態を探究していくと、motilityが変わるだけに留まらず、それがしっかりmovementに還元されるような微細な働きかけが求められます。

結局、細胞以外の空間は、ファッシャで充填され、細胞の中にも細胞骨格とシームレスにつながっているファッシャのネットワークとして身体全体を認識するようになると、受け手の反応もワークの質も変わってくるに違いありません。

生化学でも酵素などの生理活性物質で知られていることは、「構造が機能を決定する。」

変化には積み重ねが大切

当初かなり、前傾姿勢だったクライアントが10回シリーズを終えられた。ご本人曰く、セッションルームで、短い距離を歩いても息が上がってしまい、50メートルも歩けない状態だった。

第4セッションまでは、セッション直後での姿勢変化が保てずにいた。

上の写真のように、セッション直後から、徐々に前傾傾向が戻ったが、

第5セッションで腹部のコア空間を扱うことによって、一週間後も前傾傾向に戻ることはなかった。この頃から歩行が楽にできるようになり、食欲も上がったとのことだった。

その後も前傾に戻る傾向はなくなり、安定した変化の持続が観察された。

では、最初から腹部空間を広げるような働きかけをすればそれで十分なのかというとそうではない。5回目のセッションに至る、1から4回目までのセッションの積み重ねが、変化の土台になっていることを忘れてはいけない。骨盤が内臓を支えるには足が土台となり、そこから骨盤という内臓の容器が変化する準備ができる。容れ物がしっかりすれば、それが台座となって、内臓が収まるべきところに落ち着きやすくなる。

その準備なくして、内臓にいきなり働きかけても、持続するような意味のある変化にはつながらない。

変化の下地を作ること、それができていれば、身体は安心して変化を内側から起こすことができる。そして、実のある変化には、必要な回数と時間が必要です。

最終的に、息も上がらず200メートルまで歩行距離が伸びたとのことでした。