ココロのバランスボード」タグアーカイブ

ココロのバランスボード (その2)

小関勲さんの開発したココロのバランスボードにのっていて、急に思い出したことがある。それは、かつて酷い左膝の痛みに悩まされていたこと。

中学3年の夏に歩行中自家用車にはねられた影響で、事故後数ヶ月経ってから、左膝に体重をかけると、膝が抜けるような感覚と共に、激痛が走るようになった。うかつに体重をかけるととんでもないことになることにビクついて、恐る恐るしか歩けなくなった時期が暫く続いた。数年後膝が痛くなくなった後、暫くして今度は腰に負担がくるようになって、年に一度くらいの頻度でギックリ腰が起きるようになった。それからは、ロルフィングを受けたりいろんなことをしているうちにギックリ腰からも解放され、しばらく膝のことは忘れていた。

昨日、ココロのバランスボードにのっている時に、ふとその記憶が蘇った。膝で悩まれたことのある方にはお分かりと思うが、違和感が断続的にある上に、膝への体重の乗せ方によって突然、電気ショックのような激痛が膝にやってくる。それがいつ来るのか読めないために、常にどこか構えたように立っていたことが思い出された。

そこで、ココロのバランスボードにのりながら、ゆっくり左の膝に体重をかけてみた。すると、左膝の内側には負荷がかかるのに対して、外側にはあまりかけようとしない癖・パターンがあることに気がつく。これは注意深く感じないと見逃してしまうレベルで、それまでのパターンと違う外側に荷重をかけようするとわずかに不安定になる。そこで少しだけ左膝の中央寄りに荷重がかかるようにバランスをシフトしてみる。すると、腰椎のあたりが反応する。おそらく、当時膝のサポートが足りないところを腰椎側が担っていたのかもしれない。その位置のままじっとしていると、膝の力がふっと抜けて、腰椎の微かな違和感も消えた。歩いてみると、膝が軽く出やすくなっている。しばらくじわっとした左膝にかすかな違和感と四頭筋の筋緊張が少し変わっている。膝をつなぐ筋肉の使い方・状態が変化したということだろう。

しばらく、この状態を観察しようと思って、外を歩いてみたところ、右膝にちょっとした違和感を感じた。戻って再びココロのバランスボードにのってみる。こんどは右の膝に今までより内側に荷重がかかっていることに気づく。ボード上でゆっくり荷重を中央寄りにシフトさせたと同時に鼻中隔の内側で、ぴきっと小さな音がして、全体がすっと落ち着いた。

まるで短いムーブメントセッションを受けたようで、足・脚の支え方がよりしっかりするのを感じた。

これは偶然たまたま起きたというより、ボードが安定した足場を提供してくれたことがきっかけになったに違いない。身体の自己調整能は、身体が(頭ではなく)、今とりあえず安全な環境に居ると認識して初めて、必要なプロセスを進めることができる。

ボードにのるだけなのに、いろんな気づきが生まれて面白いです。


ココロのバランスボード

ヒモトレ発案者小関勲さんのところで開発されたココロのバランスボードを最近使い始めた。クライアントの方で、立位や歩行が困難な体幹性のジストニアと診断された方に、セッションの後このボードに乗ってもらった。すると、理由はわからないが、安定感が得られるという。普段立つことに支障がない人間にとっては、すごく大きな差としては感じにくいかもしれないが、こうした体幹を支えるのが困難な方にとってはその差も大きく感じられるのだろう。

自分がこのボードに乗ってみると、足元・床に対しての信頼感が増す。この感じは、例えば即効的にどこかの緊張や痛みがすぐさま消えるというような急激な変化ではない。今ある状態でそこそこうまくいっているとさらにちょっとだけその質が変わることに、ヒトはその変化を感じ取りにくい。しかし、身体感覚がある程度育っている人間なら、その違いを感じ取れるだろう。

身体感覚がまだ育っていない場合でも、それを毎日ちょっとづつ継続してボードにのってみる。すると、小さな変化が積み重なって、やがて自覚できるレベルまで違いがでてくるに違いない。

理由はともあれ、なんだかココロのバランスボードにのると安心する。地面に対してより親和性が増すということである。それは、ロルフィングが目指していること、重力との調和に向かうことに他ならない。シンプルにのるという動作だけで、安心するという感覚につながれるということには大きな意味がある。

セッションの後に、何か気をつけることとか、した方がいいことはあるか?とよくクライアントの方に尋ねられる。注意しなげればならないのは、役に立たないアドバイス – 身体にとって決してプラスになっていない情報で、頭が一杯になっている例は少なくない。そういう場合は、あえて、何かこれまで課してきたこと、腑に落ちたわけではないけど鵜呑みにしてどこかで仕入れたことをとりあえず、「やめてみる」ことにむしろ意味がある。ジャンクなアプリをスマホから削除するように。 一方、このバランスボードにのるという行為は、実のところ本人の身体に役立っていない”何か”を過剰にやり過ぎて混乱している状況から、一旦離れる手助けをしてくれる。

ボードの説明を読むと、なでしこジャパンなど一流の選手がこのボードを利用しているという。彼等は、インスタントで意味のないものに時間を割くヒマはないので、本当に意味のあることであれば、地道にそれを採用する。そうしたスタンスの人々に支持されていることにはきちんとした理由がある。

ロルフィングのセッション後、家で何かできることの一つに、「ココロのバランスボードに毎日乗ってみる。」ことをお勧めしたい。