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rolfinger について

米国Rolf Institute認定ロルファー&ロルフムーブメントプラクティショナー。

一貫性を持つ

最近, self-consistancy という言葉が意識されます。

矛盾のない一貫性のある状態を指すのだと思いますが,偏っているなら偏っているなりに,一貫性がある方が見てきてスッキリします。

何かといろんなことに噛みついていく大学時代からの親友がいますけど,見た目もそのままで矛盾がなかったせいか,近くにいても全然違和感がなかった。一貫性があれば,それはそれで問題ない気がします。見せかけようとする外見と内側の矛盾があると,内側に向けば身体に負担になるだろうし,外に向けば,周囲に負担をかけるか,のどちらかでしょう。

他人のことはともかく,自分のワークがより空間との関係性を大切にしたり,快適さを重視するようになってきたので,身の回りのものや居住空間,ワークルームについてもその感覚に一致するように整えるようにしてみました。空間や場所は,厳密には誰の所有物でもないけれども,それを確保するためにある程度投資せざるを得ません。それが最終的にRolfingのセッションに影響するとすれば,必要なことです。

統合やバランスをテーマにしている限り,自分に一貫性をもたせていかざるを得ませんが,そうすることで流れも変わるような気がします。

 

教えるということ

いろんなタイプの教え方があると思います。

自分の場合に当てはめてしか,考えられませんが,自分が受けてきた教育の中で,意味があったこと,つまらなくて役立たなかったこと,いろいろあります。

まず,無駄だったなと思うのは,その先生がまず教える内容に興味を持ってなくて,もはやルーチンをこなすようになっている授業。それから教える”べき”教える”ことになっている”項目を相互の関連性を伝えることもなく羅列するだけの授業。これもひどく退屈でした。これは反面教師になってくれます。私が倣った中学・高校の先生の8割はこのタイプでした。

一方,役立った,或いは意味がちゃんとあった授業とは,先生自身がそのことに好奇心を実際に持っていることを伝えてくれた場合。それに加えて,その対象の前後や他の項目との関連性を示してくれた場合は最高です。いろいろな項目が抜けていても,その時なんだかよくわからなくても。とにかくインスパイアされれば,それでOKだと思います。

その教えをとっかかりとして興味が湧いて,自分で調べ学ぶ過程に入っていく。この点火するようなきっかけを与えてくれるのが,教師の役割ではないかと思っています。

単に項目の羅列や情報だけだったら,人間は必要ないわけで,教師と生徒,生徒間のダイナミックな相互作用でクラスは意味をなしてきます。この相互作用と生徒のユニークな芽を育もうとする恩師Carol Agneessens先生の姿勢からはまだまだ学ぶものがたくさんあります。

Rolfingに対する情熱と好奇心を失わず,常にアップグレードしながら,生徒さんがインスパイアされるような授業を心がけたいと思っています。

 

ロルファー以外の方にもRolf Movement認定トレーニングが

米国Rolf Instituteの新しいプランが発表され,ロルファー以外のプラクティショナーにもロルフ・ムーブメント™認定コースが受講できることになります。

これまで,ロルフ・ムーブメント™認定コースは,Rolfingトレーニングを終了してはじめて受講できる条件がありましたが,それが変更される予定です。

といっても1990年くらいまで,Rolf Movement 認定はロルファー認定トレーニングと独立して存在していたのですが,今回また元の体制を復活させることになります。

今,Rolf Movementの教授会を中心にそのカリキュラムの枠組を作っている最中です。

Rolf Movementは,知覚をフルにつかう繊細なワークですので日本人向きともいえます。

私もファカルティとして,アイディアを出しながら,日本でもそれが可能となるよう進めたいと思います。

まだまだ,体制も整っておらず,検討しなければいけない項目も多く,お問合せ頂いた際に対応できる段階ではありませんが,時期,内容について固まってきたら,お知らせしたいと思います。

 

Rolf Journalに私のインタビュー記事が

一昨年から今年の米国でのワークショップに参加してくれたロルファーの一人が,インタビュー記事を書いてくれています。Rolf Instituteの機関誌に掲載予定ですが,生徒側の立場から,私が行っている技法,The Art of Yieldを体験を通して解説してくれる模様です。

その過程で,The Art of Yieldの成り立ちについて質問されて,いろいろ記憶を辿って,その過程を思い出すことに意外と時間がかかりました。正直に答えてしまうと,差し障りがあることも思い出したのですが,せっかくの機会なので,なるべく全部を表現することにしました。

よくこのワークで変化するけど,どうやって作ったの?と聞かれることもしばしばあるのですが,十年以上かけて作ってきたこともあって,記憶が散らばっていたのですが,今回まとめるいい機会をもらったと思っています。

Yieldingワークを実践する上で参考にして頂ければと思います。

今年の7月の引越が終わった後,インド滞在時も含めて,ほとんどそれに費やしたけど,充実した時間でした。

そこには,偉大なロルファー達との交流やそのタイミングでお越し頂いたクライアントの方々との個人セッションの体験の蓄積が,The Art of Yieldの形成に大きく影響を与えています。

ベイエリアで活動しているKathyがどんな記述をしてくれるのか,今から楽しみです。

 

Rolf Instituteのサイトのリニューアル

米国The Rolf Instituteのサイトのリニューアルの準備が進んでいるようです。驚いたことに,そのフロントページのスライドショーに私の写真が使用される模様。昨年のアリゾナ州フェニックスで行ったセミナーで,上級教官のJeffery Maitland先生にワークしている写真です。

Carol先生に私のSigma DP1 merrelで撮って頂いたものですが,なんと光栄なことか,今年の秋には公開されるようです。

アファナシェフさんのピアノ演奏

トッパンホールでピアニストのアファナシェフさんのコンサートに行ってきました。

彼のプレイは特別で特徴的です。

動きは,指を立てることなく,鍵盤に水平に保っていることが多く,上体の動きも静的です。なのに,音が小さいわけでもなく,どこかが固まっているわけでもない。

観察していてわかったことは,指先にまでコアからのつながりがあること。空間に対しての広がりもあって,鍵盤にだけ集中したりむだな動きもありません。

筋肉をどう動かして,どうこうすることを超えていました。

感動しました。クラシックもいいものはいいです。

コミュニケーション力

もちろん,この能力は大切です。

けれど,黙して語らず,といいますか,そういう感じを大切にしたいと思っています。

とかく過度に表現優先傾向が強くなっているような風潮を感じるからでしょうか。

言葉によるコミュニケーションの底にあるのは,ジェスチャーだったり,顔の表情だったり,もっとその底にあるのは,身体の向きや距離の取り方が対面している人との関係性があります。

もっと元をたどると,対人ではなく,周囲の環境との関係性,空間に対する感覚,それと重力との関係性が,根深いパターンとして無意識に作用しています。

ここに変化が生まれる時,すべてがちょっとづついつの間にか変わってきます。

表にわかりやすくでている表現の底を支えているもの,ここに重点を置くのが,ここで提供しているプラクティスです。

 

 

ソマティックな領域では,言語化以前のものを大切にしています。はっきりと語られるメッセージの背景にあるものにアクセスすると,あまり言語を司っている領域ではないところに自分が入っていくため,無駄な言葉を発せずにワークに集中することが多くなります。

 

アーティストの方へのワーク

先日,転倒した後,ひどくバランスを崩した海外のアーティストの方にロルフィングする機会がありました。

久しぶりにお会いしたのですが,かなり印象が変わっていて,弱っているご様子。ねん挫を伴って,転倒直後は動くこともままならなかったそうです。

転倒は,予想以上に生体のダメージを与えます。問題は,傷が完治して炎症が収まっていても,身体が転ばなないように常に身構えている,つまり警戒モードが未だに解除されない場合が非常に多いことに気づきます。

その制限は,組織も含め,むしろ知覚に由来しています。過去は大変な危険があったにせよ,今はとりあえず,足場は確保されていて,支えることもしっかりできることを,頭ではなく,身体として納得しなおすことが大切です。

イールドの技法は,安全な場と支えられるという状態を再認識する助けになり,囚われた身体に,もう一度快適さを取り戻す機会を与えてくれます。

セッション後,視野が広がり,慢性的な首の痛みも軽減し,気分も落ち着きを取り戻したとコメントされていました。

Less is more !

ロルフィングには,「Less is more」という言葉があります。

介入が少なければ少ない程,得られるものが大きい,という例えです。

なるべく多くのことを長くサービスすれば,提供する側の「何かをしてあげた感」を満たすことはできるかもしれません。

受け手としてのリクエストもあるでしょう。

全体性を捉えた流れに沿っていれば,外からの介入が少ない程,受け手の自発的な変化を邪魔せず,必要なプロセスを必要なだけ完結できるのです。

経過を見守る

ロルフィング®は,特定のテクニックを指すわけではなく,全体性の回復に向かうプロセス全体を指しています。

例えば先日のワークの例ですが,第1回目のセッションで全体の圧縮が解放された結果でしたが,全体に伸びたことによって,骨盤の左右差がより顕著になっています。こうした内在性の傾向は,圧縮されたままだと表現されません。

この方は仕事の都合で6週間空いてしまったのですが,2回目のセッション前に撮影したのが一番右の写真です。首が伸びた変化は保持されていて,セッション直後と骨盤のバランスが変わって水平性が得られています。

矯正的な考えの元に行う施術だと1回目直後の結果を正そうとして,左右差がなくなるようにさらにワークするかもしれません。しかし,そんな必要はないのです。身体が次にどう変わるか見守る時間があれば,より自分でバランスを探そうとするので,邪魔をしないのが一番です。

RolfingProcess6weeks