越えてはいけない線

治療、カウンセリングなど人を援助する仕事はすばらしい。だけど、それに付け入る悪者もいる。食や医療、すべて命に関わることなので、需要は常にある。となるとそのサービスを受ける側になると、立場的に供給側より弱い立場になりやすい。治療などの援助職の人間に何らかの形で助けられた場合、当然恩義や感謝も感じるが、その治療の結果によって、施術者との関係が微妙に変化する。その効果だけではなく、一旦プライパシーに関わるような情報を施術者に託していることになるので、もし、万が一施術者にモラルがないとすると、その観点から弱みを握られていることになる。 治療を提供する側と受ける側の対等性は、あくまで、施術者に倫理感がその責任と共に備わっているということが前提になる。

悪人や詐欺師というのは、常に存在するもので、何か立場を利用して人の隙につけこんでくる。治療家として腕はいいが、クライアントをプライベートで誘ったり、次々に関係を結ぶようになったら、プロフェッショナルではない。アウトである。人格や品格がないとしても、難病をちょっと治したりするようなことは、ブラックマジックである程度可能だ。詐欺やブラックマジックは、普遍性のある癒しとは異なるので、何かその前後で問題が生じたり、治った人の周囲が何らかの犠牲を伴ったりと、全体としての統合ではなく、覚めてわかるのだが、周囲も取り込んでの集団催眠のようなもの。いずれにしても、自然の摂理に反しているので、後からボロがでてきて、矛盾点も浮き上がる。

病気を治すような力があるとしても、真の癒し手であれば、プロとしてのモラルが伴っている。成果が上がってきても、その力は受け手にあると理解していれば、自惚れることもないし、自分以外のやり方を排他的に吹聴する必要もない。

成果を上げているとしても、施術者自らの欲を見つめ、行為の動機をチェックする必要がある。