昨年から今年にかけて,頭蓋骨癒着症と診断されたお子さんを持つ親御さんから相談されることが,複数件ありました。
私は医師ではありませんので,診断に関わるような意見を述べることはできませんが,自分の子供がもし同じような診断を下された時にどのように考えたらよいのか,という観点で情報を集めてみました。
まずは,知り合いの医師に質問してみました。 →は医師から頂いた答えです。
クライアントの生後6ヶ月のお嬢さんが,K大病院にて,頭蓋早期癒合症で三角頭蓋と診断を受けて,脳の発達が影響を受けて将来自閉症になる可能性があるといわれ,早期に手術をほのめかされています。(お嬢さんは吸引分娩で生まれています。)
以下の団体から公式見解が発表されています。
日本児童青年精神医学会理事会として2005年時点での見解
http://child-adolesc.jp/proposal/2005-12-01/
社団法人 日本自閉症協会 の見解
http://www.autism.or.jp/topixdata/sankaku20040921.pdf
これらのことを踏まえて,以下私の考察です。
↓
前頭部の縫合は,3~9ヶ月で融合するとされていますが,成人になってからも融合しない例もあって,かなりその時期についてはバラツキがあるようです。ということは,融合時期が,生体にとって極めて重要な影響を及ぼすとも考えにくいかとも思います。
冠状縫合や矢状縫合が完全に融合している場合は,確かにシビアに脳内の圧に影響すると考えられますが,前頭縫合は元々早めに融合して,他の縫合が主に関節として機能することを考えると,あくまで多様性の範囲に収まるのかもしれません。
それから,以下のように自閉症児の脳の過成長が子宮内で起こっている可能性を示すデータもあります。
http://www.afpbb.com/articles/-/2840126?pid=8064462
脳の発達を明確に示す基準が現時点で存在しないとなると,自閉症が起こる要因についても検討自体が,難しいと言えるのではないかと思います。
子を持つ親としては,最善を尽くしたいという気持ちで手術すべきか,保留にするか迷い,大変にお悩みになると思います。
上記の情報をお伝えした方の中には,診断を受けた後に,再度CTを取り直ししたところ,縫合が確認できたので,経過観察になった,というケースもありました。CTで撮影する際の体勢や状況によって,縫合の有無の判定が左右されることもあるようです。
手術するかどうかについては,困ったことに親にどうするか決断を迫られるようです。外科の先生だと手術する方向で勧められ,様々な負の可能性を提示されるので,その流れに任せてしまいがちになるのもよく理解できます。
でも決める前に,セカンドオピニオン,サードオピニオンを別の医師に求め,検査を入念に行ってもらった上で判断しても遅すぎることはないと思います。
その上で,大切なことは,最終的には,母親の身体感覚に基づく野生的な勘が頼りになると思います。
以上,参考になれば幸いです。