肺内の菌叢

腸内細菌叢が、免疫と深く関わっていることは最近知られてきた。腸内の菌によって、腸管免疫が適度に刺激され、免疫系がうまく機能することになる。したがって、抗生物質は服用することは、腸内の菌叢のバランスを崩すことになり、むやみに使用すべきでないことは自明の理である。自明の理である。

パンデミックにより、除菌、殺菌、消毒などが過度に行われるなら、当然菌との関係性が変わり、バランスも変わる。常在する菌が皮膚には存在し、菌や表皮の細胞が分泌するDNAやRNA分解酵素が、バリアとして防御に関わっている。

さて、最近店舗で目にするのが、次亜塩素酸水による空中除菌である。この次亜塩素酸水にもいろんなグレードのものが存在し、すでに病院や歯科医院で使用されているものから、安価にネット販売され水に食塩を入れて電気分解して手頃に作れるレベルのものもある。塩素はハロゲン、つまり酸化力が極めて強いことが知られている。市販のものに急性毒性はなく、食品添加物としても使用されているとあるが、さて、慢性毒性については記述がない。

長期的に次亜塩素酸水を、加湿器で噴霧するのは、元々感染リスクの高い人々が集団として存在するので、病院等では利用するメリットは高いと考えられるが、そこまでのリスクがない場合に、長期に渡って、それを吸引した場合どうなるのか?

直接肺組織に害がないとしても、肺内には常在する菌が存在することを考えると、肺内の菌叢のバランスが崩れることは予想される。

https://www.yukoji.com/IntestinalFlora/News/copd.html

Covid-19による肺炎リスクを下げるために、空中除菌を実施するのは理解できるが、肺内の菌自体の量が減少してしまうのは、それはそれでリスクがある。肺組織には、多くの単球が存在し、単球は分化するとマクロファージになり、非特異的な免疫に深く関わっている。

そう考えると、むやみに次亜塩素酸水を過剰に使用することには、注意が必要だと考えられる。

そのような観点から、私のセッションルームでは、フルボ酸を主成分とするMK水(海洋性珪藻土抽出液)というpH2.8の酸性水をセッションとセッションとの間に噴霧して、常時噴霧はしない方針です。