Rolfing及び、The Art of Yieldには、癌、心臓病、認知症などの生活習慣病を遠ざける可能性がある

COVID-19感染拡大の影響で、中止となった2020年のBi-Digital O-Ring Test国際学会で発表予定だった抄録です。

Title: ロルフィングによって身体構造が重力への適応性を向上させることは、バ イ・ディジタルO-リングテスト上どんな意味を持つのか?

1.田畑浩良 Certified Advanced RolferTM, International Rolf Movement faculty of Dr.Ida Rolf Institute.
2.下津浦康裕 M.D.,F.I.C.A.E., Cert. ORT-MD (7 Dan) (日本 BDORT 協会会長;下津浦内科医院院長)

はじめに
Rolfing® Structural Integration(以下ロルフィング®)は、軟部組織のマニピュレーション と動きの教育を用いて身体構造を統合するための教育プロセスである。この技法は、身体 が重力への適応性を上げることで、生活の質を向上させ、身体パフォーマンスを上げるこ とが知られている。ロルフィングは、症状の改善を目的としたいわゆる治療ではないが、 身体のバランスが整うにしたがって、何らかの症状が改善することが例が報告されてい る。重力への適応能を向上させることが、どのようにして症状改善につながるのか、その メカニズムについてはよくわかっていない。
一方、大村と下津浦は、彼等がFoot Gravitation Center(FGC)と呼ぶ、足の甲の特定の ポイントを刺激することが治療効果を有し、いくつかの生活習慣病の指標となる検査用物 質を減少させることを報告している。FGCへの刺激は、足のアーチを強化すると考えら れ、ロルフィング同様、身体の重力への適応能を上げると考えられる。我々は、ロルフィ ングのセッションの前後で、酸化ストレスマーカーの一つ、8-OHdGのレベルがどのよう に変化するのかを、高感度かつ非侵襲的に評価可能なバイ・ディジタルO-リングテスト を用いて測定した。

方法
ロルフィング10シリーズは、Ida P. Rolfの10回のプロトコールに従って進められた。その 際、田畑とAgneessensが発展させたThe Art of Yieldを導入して、セッションを提供し た。何らかの既往歴があり、写真データの使用許可が得られているケースを対象とし、8-OHdGのレベルは、ロルフィング前後の写真から、下津浦ORT-MD (7 Dan)が測定した。 +25 ~ -100の間での測定値で、値が低い程、疾病から遠い状態にあると判断される。

表1. ロルフィングの酸化ストレスマーカー, 8-OHdGのレベルに与える影響

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結果 : ロルフィング10セッションによって、2ケース以外の10ケースにおいて、8-OHdGの値が 減少していた。ケースJにおいては、8-OHdGが10シリーズ後+5から-70にまで減少 し、さらにメンテナンスのセッションをうけることにより、最終的に-90まで減少してい た。ケースKにおいても継続的にセッションを受けることにより、最初の+25から最終的 に-20まで下がっていた。一方、ケースLに関しては、10セッション前後で数値が+25 と変わらず、乳癌除去後-20にまで減少し、さらにセッションすることで、-30まで減少 するという反応性に違いが認められた。このケースに関しては、その後化学療法を行って いるが、それに対応して8-OHdGの値も上昇していた。

Fig.1 Case J Fig.2 Case K Fig.3 Case G Fig.4 Case E

結論: 一部のケースを除き、ロルフィングのプロセスによって、酸化ストレスマーカーで ある8-OHdGのレベルが減少する可能性が示唆された。8-OHdGが低レベルで抑えられ ることは、がんや心臓病、認知症などの生活習慣病になり難い、つまり健康レベルが高い ことを意味する。ロルフィングによって身体構造が重力への適応性を向上させることは、 身体のパフォーマンスだけでなく、健康のレベルをより高め、病気の予後の再発防止にも 役立つ可能性があると推測される。

参考文献:

Agneessens, C. and H. Tahata 2012 Jun. “Yielding: Engaging Touch, Presence, and the Physiology of Wholeness.” Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute® 40(1):10–16.

Tahata, H. 2018 Mar. “Working with Ma: Further Refinement of the Yielding Approach through Time, Space, and Intersubjectivity.” Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute® 46(1):44–51.

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