個別に観る

今年93歳になる親父に、シニア向け住居に引っ越してもらった。保険証には、後期高齢者というなんとも失礼なラベリングがなされ、巷のコロナウイルス騒ぎでは、感染が重症化するリスクが高いと、建前上、命を大切にされているような位置付けになっている。

確かに感染後65歳以上であれば、重症化のリスクは高まるけれども、持病を持っているか?もともとの免疫力が高いかどうかが問題で、状況はそれぞれである。その年齢だから、一律に重症化リスクが高いという見方は間違いである。個々に状況が違うという見方をしない限り、救える命も救えず、必要のない医療介入で病棟を埋めてしまう事態になりかねない。

親父、一人暮らし後半の数ヶ月間、コロナ騒ぎの中、つい先日までいつも通り焼き肉屋さんや鰻屋さんやカフェで過ごしたりもした。家でじっとしてるより、スタミナをつけた方がいい場合だってある。

話に聞くと、老人介護施設は、家族の面会も許されず、訪問ヘルパーなどのサービスも停止しているらしい。障害がある方々にも大変な負荷がかかっているとのこと。十分配慮すれば、家族くらい面会させてあげたいし、サポートによって人間らしい暮らしがなりたっている人々にサービスが行き渡らなくなるのは、間違いなく弊害を生むし、弱者は元々声を上げずらい立場にある。生きることの意味は、生きていればそれでいいわけはない。日々をどう生きるか、どう過ごすか、その質を低下させてまで、何かを我慢する理由に十分な説得力と整合性はあるのか?

ぶっちゃけ、人間の寿命とは、外的要因に左右されることはあっても、それが必要十分条件ではなく、もっと何か大きな運命といったものに支配されているように思う。それが、単なるウイルスごときで大きく変更されることはないと思う。

そもそも、自粛を要請したり、戦争を始める側の人間は、それを発したとしても、何のリスクも負わない。自粛させられた側や戦地に趣く人々にだけ負荷とリスクが伴う。従って、よほど説得力を持った筋の通った政策でなければ、他者にそれを強要してはいけない。過剰自粛による間接的な国民被害:自殺者の増加のリスクも十分考慮する必要がある。これについては、京都大学大学院レジリアンス実践ユニットの提案が参考になる。

満員電車やテレビ局のロケバスは問題がなく、カラオケや小規模のライブイベントがだめで、プロ野球の無観客試合の選手がベンチでぎっしりしているのはOKで、屋形船がだめな理由はどこにあるのか? 政治献金したり、TVのスポンサーになっている企業に不利な報道ができず、それが政策にも反映しているとしたら、到底納得できない。TVがいっているからとか、専門家や権威がある人間が言っているかどうかではなく、まず信頼できるデータを観て、個々に自分で考える必要がある。この辺りは、武田邦彦先生の考えに同意する。

感染による死亡者や重症者をクローズアップして、患者数ではなく感染者数をカウントして、不安を煽るようなニュースばかり見ていると、気分のみならず免疫も下がってくるはず。数字のトリックとして、仮に薬の有効率が7割だったとしたら、人々は喜んでその薬を服用するだろう。一方、ウイルス感染により2割が重症化するとしても、実際には8割の人は回復していることにちゃんと目を向ければ、そんなにテンパることもないんじゃないのか? 高齢者の命ぐわっ! と目くじら立てる人ほど、お年寄りに普段優しく接していますか?と問いたい。それを名目に利用しているだけなんじゃないだろうか?

ちなみに、現在父と毎日3,4時間は接する機会があるが、自分の衛生管理がそのまま父の命に直結しているので、自分の外における行動には責任とリスクが常にある。年齢的には、重症化リスクグループに属しているかもしれないが、2月と3月結構外出しても、ウイルス関連の症状も関係なく普通に過ごしている。

若年層であっても、持病があったり元々の健康状態には大きなばらつきがある。年齢や体重で薬の量を一律決めてしまうような設定ではなく、高齢であっても免疫が高い人もいる。若くても何らかの原因で自然免疫が低い人もいる。とにかく、一律ではないのだ。

感染が急激に広まろうとも、ゆっくり広まろうとも、個別にみれば、伝染るか伝染らないかの二択である。そもそもウイルスは、調べられることなく、自然感染して、自然に押さえ込まれながら、広まっていくものである。ウイルスとコンタクトした、その時にできるだけ健康体で自然免疫が機能する状態にあるかないかにかかっている。

権威ある賞や機関に所属している学者の意見が常に正しいわけではない。先日、権威ある学者が、コロナウイルスは、人類が初めて出会った新しいウイルスだから、全く免疫を持っていないため云々、、とコメントしていたが、それは誤りである。抗体を利用する液性免疫を獲得まで至らないことはあっても、そもそも常に自然免疫は働いていて、押さえ込むことができる。その証拠として、特定の薬やワクチンがない現時点であっても、現に感染後回復する人の方が圧倒的に多い事実がそれを裏付けている。元WHOの専門家委員に至っては、名指しでカラオケに行くなといっていたが、カラオケやさんに潰れろといっているようなものである。感染対策のプロであるなら、いくらでも助言ややり方はあるはず。例えば、家族や共同生活者間での利用に限定したり、客の入れ換え時にエアコンや座席の消毒や換気を徹底して、空気清浄器を導入するとか等々。自分は何のリスクも負わない無責任な発言の中に、人間らしい共感や想像力のかけらもない。そのような輩の言うことを鵜呑みにして従って、小規模経営のお店がお店を畳むようなことがあってはいけない。

生きるとは、不安に怯え、周りの目を気にして死なないように死んだ生活をすることではない。

冷静に何が起きているかを観ていくためには、判断するためのデータを入手して、専門家などの意見を鵜呑みにして思考停止になるのではなく、自分で考え、腑に落ちるかどうかをチェックして行動する必要がある。イラク戦争の時の大量破壊兵器のように、政府は常に嘘をつくことを忘れてはいけない。