大手術を受けられて,10回のセッションを提供したところですが,心身が楽になってきたことに加え,手術後常用していた睡眠導入剤を使わなくとも,眠れるようになったとの感想をいただきました。
医療的な介入はときとして必要ですが,その後十分な回復に持って行くには,安静と時間の経過だけでは不十分といえます。
医療処置による影響はどうしても身体に残るので,ソマティックな働きかけを是非活用してもらいたいと思います。
様々な深い気づきの伴うレポートをお寄せ頂きました。
【ロルフィングレポート①】
●セッションを受ける前の主訴
・表面的には痛みをとりたい(首、肩、頭痛)。
・すぐに緊張して硬くなる体をコントロールできるようになりたい。
・すぐ疲れてしまうので、できることに制限をかけてしまう。
・頭を使うと疲れてしまうのが自覚しているのに、自分の想像以上のスピードで思考が先走るため体と調和がとれない。
・気候、気圧の変化に敏感すぎてしんどい。
・刺激の閾値が低い、感受性が高いと感じるがそれでいつも疲れる。
・体が先にノーと言ってくるので、何がストレスかがわからなくなる。
●初めてお会いした際
平然を装ってはいたと思いますが、知らない人に会うのはあまり得意なことではないので、緊張していたと思います。
田畑さんがあまり、言葉が多くなく、距離があって入り込まれないことで逆に安心をしました。
後で振り返ると、初めて会う人、行く場所、見るもの、意図的にではなくてもかなりの早さで目で情報を集めに行き、主観的に何かしらの評価をしようしていることに気がつきました。
●受けている間
・呼吸に意識を向けることが、強い力を使わないと向かないことに気がついた。
→いつも呼吸が浅いという認識あるが、なかなか変えられないのはそういうわけかと感じれた。
・施術者の位置だけで違和感のレベルが変わり、自分の身体の感覚がとても変化したことに驚いた。
・聴覚や、視覚、空気感などに対して体が不随意(自分が意識していると思っているよりも更に)に働いていることを非常に感じた。
・痛みや違和感などがなくならないと、呼吸の変化が解りずらかった。
・常に症状(痛い、違和感)に意識が向いてしまうことがわかった。
・心地が良いより、心地悪いに意識がむく。
→普段から問題をみつけて、それを解決しなければいけないという仕事のやり方、考え方にとらわれている気がする。(本来はそうすることがベストではないというのは気がついているのに)
・左手を伸ばすイメージで、体幹、下肢のいつもチカラが入りずらいところに力が入る。イメージするだけで体の準備はできるということを感じる。
・逆に如何にいつも手先、足先などわかりやすい所だけで身体を使おうとしているかを感じる。
・いつも不調がある左側は何かに頼る余裕がないことを感じる。感覚かない、支えられないから独りでに頑張って辛くなってるんだなと感じる。
●セッション後帰り
・歩くのが楽、背中が丸くならない。
・気持ちも軽くなる。
・足の裏で地面を捉える感じがある。
・帰り本屋に寄って本を読もうとしたが、くらくらしてぼーっとするのですぐに止めて帰る。
・座ると置き場所がわからない。立つ方が楽。(いつもと反対)
・本や携帯を見るといつもの距離感だとくらくらしてしまうので見るのを止める。
・だらだらと引きずらない。体が変化していることを認めてできないことを止める。体を守る意識が働きやすかった。
●次の日〜2日後
・朝すっきりと目がさめる。こんなに爽快におきれたのは記憶がないくらい。驚いた。
・朝ご飯、弁当を準備をする余裕がいつもよりある。頑張らなくても動ける。朝辛くてぐうたらしてる自分にいつも嫌気がさすので、自己嫌悪にならない。
・午前中は仕事をするときに普段よりすっきりしていた。
・仕事に対する意識も軽くなる。タッチも明確になる。
・余計な事をやらない。余計な場所を触らない。他者との距離がとりやすかった。
・午後は3時頃に疲れて頭痛が起きそうだったので薬を飲む。ロキソニン一錠。
●3〜4日後あたりの出来事
・横になって呼吸に任せる時間を意識的に作るようになった。
・頭で考えないようにするようにと考える。
・脊髄レベルでまず体を整えることを意識する。
・自分の体の置き場所がいいところを探すようになった。関節の角度、位置、頭、体、足の向きなど。動きやすいところ、体に任せるように意識をして動かす。
・脳の中で起きていることを整理すること。心、からだ、頭、感情、理論といった言葉になると分かりやすいようで曖昧にみえる表現でごまかすことをすこしやめてみること。
・仕事するときに一人になる環境をより選択するようになった。余計な会話に加わらない、余計な情報を耳に目に入れない。
●5〜7日後の出来事
・やりたくない仕事(今までならば嫌でも未来の自分のためや、相手のために引き受けていたもの)を断ることができた。
・自信とは、自分の本能的な感覚だけをそっと受け入れてを信じることだという感じがすっとわかったような気がした。
・諦めることが出来るようになってきた。思うように行かないときは、それを手放しすしかない、しょうがないという思考が出てきた。
・まだ起こっていないことに期待を抱かなくなった感じがする。
・感情を出すけど、それを無防備に相手に言葉としてひょいと出してしまう前に、少し待つことが出来るようになった気がする。
・反応する刺激は人の感情や、表情や、空気感や、言葉など。思っていたよりも入り込んでくるんだと納得する。心構えがあるので、まえより落ち込まない。
・ならば自分のために意図的に環境を変えなければいけないということも理解する。
・座ることが心地が悪いことがおおい。座るということは、人間(今の私だけ?)には思っているより難しい事だと感じる。人間は立って歩くように出来た生き物みたいだ。
・体が落ち着くためには関節が求心位にあると楽で、その方向に筋肉は勝手に持って行きたがることをより実感する。きゅーっと引きつけられる感じ。
●それ以降
・首から下は比較的楽になり、左下肢にも意識して体重をかけられるようになった。
・首、頭は痛みや重さなど違和感が強くて、疲れるとすぐ横になりたくなる。
・前は体が辛くなると思い通りにならないことにいらいらして、自分の体を憎んでいた気がするが、今は大事にするようになっていることに気がついた。思っていたよりも答えは近くにあるのかもしれないと思う。
・前よりも少し感情を出すようになった気がする。パートナーに対して怒ったりできるようになってきたこと。まだ人前では泣けないが、1人のときに涙がちゃんと出るようになった。
・体に合わないと感じるもの甘いもの、小麦粉を食べるのを止めれるようになってきた。以前は具合が悪くなるとわかっても疲れると食べてしまっていた。
●その他
・体が辛くなると、セッションのときに手を当ててもらった感覚を思い出して働きかけてみた。
・セッション後の自分の感覚を書きだす、書きながら自分の内側を探るということをしていると、それにさえ力が向きすぎてしまうことを感じる。ちょこちょこ。これは書いておこうとふと思うくらいがちょうど良い。
・いままでセラピストとして何かを与えなければということばかりを考えてきたが、それは自分を予想以上に消耗させ、お互いにとって良いやり取りではないのではないかと考えたりする。
・自分の感情と、相手の感情を混ぜないようにすることの大切さを時折意識するようになった。
★自分の今の精神状態
・実はこれはセッションを受ける理由ではありませんでしたが、9月の頭に実の母を亡くしました。そういうタイミングでした。
それは想像していたよりも理解のできないことで、今自分がどこで何をやっているのかわからなくなることがまだまだよくあります。
考えていたよりも母と私の心の中での繋がりはとても大きかったことを実感しています。
認識したいことと、したくないことがありまだ自分の思考にシャットダウンをします。
でも以前より空想の中に自分を置かなくもなったような気がします。
Hさんからのレポートです。
↓
2回目のセッションでは、主に下半身に対して働きかけてもらいました。
田畑さんの誘導に沿って、足先から臀部にひとつづつ意識を向けて、身体をベッドに預けていきました。最初、私は胸だけで呼吸していたかもしれませんが、徐々に、呼吸が臀部や足のほうまで伝わるようになっていきました。
今回のセッション後の変化は、お腹が伸びるようになったことです。私はいつも、腰が反っていたと思うのですが、立位や歩行の時に感じていた腰の痛みをあまり感じなくなりました。たくさん歩いても、以前ほど疲れを感じないようになった気がします。前回は、セッション直後に大きな変化を感じ、その感覚は数日間続きました。今回は、セッション直後には前回ほど大きな変化は感じなかったですが、6日経った今日も、感覚が残っています。
以下,お送り頂いたレポートを転載します。
レポート no.1
第一回目のセッションを受けて。
率直な感想を申しますと、「これしかされないのか!?」という印象でした。
でも確実に体は変化していて、すごく不思議な感じでした。
最近、体の使い方や感覚について、よく意識するようにはしていたのですが、セッション中になかなか変化に気づかなかったのがもどかしかったです。
これから、もっと感覚を研ぎ澄まして、変化に気づけるようになりたいと感じました。
写真を見て、先生のご指摘の通り、体の歪みが改善されてて、驚きました。
特に、お尻が上がっていたのは、はっきりとわかって、骨盤を意識してみると、しゃがんだときに楽さを感じたり、座ったときに腰が軽く感じました。
一番驚いたのは、
翌日、仕事で実施した射撃訓練での出来事です。
自衛官といえど私は、職種上あまり銃を触れることがなく、その日使った9ミリ拳銃に至っては、7年ぶりに使うものであり、周りの隊員より不慣れさを隠せませんでした。
それでも、なんとなく前日施術を受けた呼吸を意識したりして、リラックスしながら、射撃を実施した結果、80人中3位に入り、自分にこんなに射撃のセンスがあると思いもよりませんでした。
好結果が、一概にロルフィングの効果かは判断しかねますが、なにか不思議なパワーが宿ったようで、次回以降のセッションが楽しみになりました。
セッション翌日、翌々日に体がだるくなるようなことがあると忠告を頂いてましたが、そのような感覚なく、むしろ、体が調子よく、疲れにくいです。
次回もよろしくお願いします。
モニタープログラムに参加された方のセッション7直後の身体より,4日経過した後の身体の方が左右のバランスが整う結果となっています。
セッション直後にバランスさせようとするのではなく,身体の自己構成力に任せて,変化を引き出すのが,このワークの目指すところです。
これが,処置ではなく,プロセスとして大局的にとらえるロルフィングの特徴といえます。
比較の写真を以下の場所にアップしています。
肺癌と診断された方がセッションにいらしています。治療ではなく,日々の暮らしの活動の質を高めるのが目的ですが,ご感想を拝見すると,痛みや違和感が主に気がつく主要な感覚でしたが,セッションが進むごとに,レポートの内容も変わってきていて,さまざまな感覚や在り方に変化が出てきているようです。
体験記の全文は,以下のページに掲載中です。
http://rolfing.asia/pg216.html
病気をきっかけにして,生活を見直し,全体性を回復するために,ロルフィングなどのソマティックなプラクティスを利用するのは,いい選択だと思います。ただでさえ,不安で大変な思いをしている中,その選択をして頂いた方々に対して,応えられるだけの質の高いものを提供しなければ,と思います。
古くからロルフィングに従事しているレイ・マッコール先生のデモセッションをアドバンストトレーニングで間近に観るのははじめて。
人間とは,ラインの周りに形作られるもの,というロルフ博士の洞察をそのままセッションで見せてくれた。ラインとの関係性を知覚しながらワークをしたことはこれまで経験していなかったが,近くで観察していて,それがよく解った。
さらに,レイが,第3の手 つまり知覚を使って,そとからは明らかに触れていないけれども,リアルに仙骨に触れていることが解った。何となく感じているんだろうな,というレベルとは全く異なるリアリティにちょっと驚くと共に,彼のワークが効果的な裏付けがよく理解できた。
それ以外に,キネスフィアをバブルと呼んでいたが,普段通常は,知覚できないものをしっかり捉えていることがひしひしと感じられて,いってしまうと,百聞は一見にしかず,ということでしょうか。インスパイアされました。
ロルフィングシリーズの第4回目のセッションを終えた後で,クライアントの方がご自分で気がついたことですが,
”ふと思ったのが「私は、悪いところにしか意識がいってないな」ということです。調子のよいところ、痛みがなくなったところもあるはずです。だけどいつも痛みや苦しみを感じるところばかりを探しているような気がします。それでは、自分を痛みで包み込んでしまうのではないかと。”
身体の違和感に注意が向かう傾向の強い方ですが,ソマティック・エクスペリエンスでよく行うように違和感以外のリソースに気がついてもらうような促しは一切行っていませんでした。クライアントの方が,ご自分でそれに気がついたことはとても大きなことだと思います。
違和感やトラウマを追跡している状態では,自己調整能とつながることは難しいですが,痛みをとことん感じる時間も全くムダとは言い切れない大切なプロセスだと思います。
違和感以外の感覚にも注意が向くようになれば,可能性が広がり,生きていく姿勢にも違いが出てくるはずです。
より詳細なレポートは,こちらにアップしてます。
ロルフィングは,Well-beingを追求するものです。よりよく在るということには,広い意味が含まれます。思いっきりQOLが低い状態から0を目指すものが,一般の医療的な介入とすると,0よりもさらに+に誘うのがロルフィングといえます。
低 ← QOL → 高
-3 -2 -1 0 +1 +2 +3
<治療的介入> < ロルフィング>
例えば,大怪我や大手術をするとQOLはかなり低いレベルまで下がりますが,傷が時間とともに癒えてくるとかなり持ち直してくるものの,以前と同等のレベルに病院に通うだけで回復するのは難しい。それは医療措置が不可欠だったにせよ,医療的介入がどうしても身体にダメージを与えてしまうものだからです。
患者側としては,元の状態に復帰したい,以前行っていた運動や活動をするまで回復したいと思っても,病院側で提供するものにそれらは含まれていません。しかも,困ったことに,命が助かっただけでも有り難いと思いなさいと言わんばかりのドクターも存在します。
非科学的で非論理的な他人の意見に耳を傾け,諦めてしまう前に,何か” できること “があります。人間が本来持っている自己調整する潜在力を使えば,QOLを低下させているものの多くの原因である,解放されていない余剰のエネルギーだったり,術後の結合組織の癒着などを手放すことができます。
全く,元通りと同じではなくとも,支障のないレベルに回復する可能性は手放さなくていい。
むしろ,それをきっかけにして,全体性を回復する旅に入ったと思えればしめたものです。
ただ,その時大切なのは,すべてを見直すことです。都合よく一部だけをよくすることはできません。それらは関連性の中に存在し,その背景にあるものが変わることが大切だったりします。
癌を切除せずに温存する立場の方が,最近数名セッションを受けにいらしています。病気になられたことをきっかけに,生活を見直し,化学療法や侵襲的な処置を避ける選択です。 QOLを向上させ,一日一日を大切に快適に過ごすためには,セッションは大きな手助けになります。
まず,神経系の安定化や調整は,免疫を高める可能性がありますし,身体の血液循環が改善すれば,体温や免疫細胞がより活動しやすくなることにもつながるはずです。病気がある無しに関わらず,私達には,どんな段階であっても,健やかに快適に生活するポテンシャルとそれを追求する権利があるはずです。
イールドやムーブメントで組み立てられたワークは,非常に繊細なタッチで行うので,腫瘍を機械的に強い圧力で直接刺激することはありません。ロルフィングの主旨をよく理解された上で,セッションを希望される方には喜んでワークを提供しています。
医療診断データを提供頂ける,モニターも募集しています。