月別アーカイブ: 2016年11月

Dr. Ken Kobayashi

ニューヨーク在住の医師,小林健先生の2日間のセミナーに参加してきました。

薬で何かを治すという発想や,取り急ぎ症状を抑えることを最優先する直線的な考え,病気と生き方の関係性,癒しにつながる大元の力などなど,製薬系の会社の研究員を経てロルフィングを通して,様々なことを考えてきました。

そうすると大抵の場合,何らかの矛盾が必ず内包されています。その考え方に表れている場合や,それを主張している人に一貫性がなかったりする場合がほとんどです。

書籍でいいことを言っていても,実際に会ってみるとあれ?一致していないと感じたり,その見方からするとそうかもしれないけど,他から見ると重要な部分がつながらないから,結局その人特有の知覚システムで,他に応用が利かないケース,だいたいそうです。

でも,この小林先生の言うことには要のところで全く矛盾がなくて,驚きました。また,自分が追求してきたこととも矛盾なく,すっと入ってきました。

本物は少ないけど,ちゃんといる,その存在を知っただけでも希望が湧いてきました。

お子さんが頭蓋早期癒合症と診断された場合

昨年から今年にかけて,頭蓋骨癒着症と診断されたお子さんを持つ親御さんから相談されることが,複数件ありました。

私は医師ではありませんので,診断に関わるような意見を述べることはできませんが,自分の子供がもし同じような診断を下された時にどのように考えたらよいのか,という観点で情報を集めてみました。

まずは,知り合いの医師に質問してみました。 →は医師から頂いた答えです。

クライアントの生後6ヶ月のお嬢さんが,K大病院にて,頭蓋早期癒合症で三角頭蓋と診断を受けて,脳の発達が影響を受けて将来自閉症になる可能性があるといわれ,早期に手術をほのめかされています。(お嬢さんは吸引分娩で生まれています。)
→ 私が療育センター時代(約20年前)に、この問題はすでに持ち上がっていて、小児センターの脳外科医で積極的にこの手術をおこなっていた先生がいました。その先生は、その後、より侵襲の少ない、後頭部頭蓋骨下部の骨切術を開発され、発達障害的な子どもさんに施術されていました。
→ その先生は患者思いの人気のある先生で、のちにTVにも取材され漫画の主人公にもなりました。
→ 当時、なぜ発達が促されるかについてその先生と話したことがあるのですが、おそらく頭蓋内圧の除圧による脳血流の増加が原因だ等と話していました。
→ 大抵の患者さんは小さいときに手術を受けるので、術前後の比較を目の当たりにする機会は、児童精神科の私の場合には少なかったのですが、私が見ていた発達障害の子どもたちの何人かは効果があったと母親から聞いています。
→ その当時も、手術に対する批判があり、沖縄の先生の三角頭の子どもの手術が問題になっていた記憶があります。その後、小児センターの先生は他院に移られ、私も療育センターを出てしまい、その手術のことはすっかり忘れていました。今の場所にきてからはそのような手術を受けられた子どもにあったことがありません。
→ 当時の知識しかないのですが、早期縫合閉鎖に伴い頭蓋骨内面に脳圧痕ができている場合には、手術の適応だと聞いた覚えがあります。頭蓋頭頂部の骨切りは範囲も広く傷もめだつため、その先生は避けるようになったと聞いたような気がします。
→ その後、舌短縮症による無呼吸症候群の子どもの舌手術で発達の遅れ(特に社会性)が改善するという舌癒着症手術に私は関わったことがあるのですが、その場合にも生まれてすぐからごく小さい時期に舌小体切除をおこないます。
→ この場合にも、脳の無呼吸時の酸素不足を改善することが効果の原因だとろうと考えられていますが、脳の基本骨格が出来上がる3歳までの脳の血流障害や低酸素状態は、脳の発達特に社会性に大きな影響を与えることが推測されます。
→ 現在、自閉症、統合失調症、認知症など様々な脳機能障害の原因としてデフォルトモードネットワークなどの脳内ネットワークの障害があることがわかり、それは、脳の白質にある神経線維の伝達障害だと考えられています。
→ ですから、頭蓋骨骨切り手術は、自閉症の根本的な治療なのではなく、発達障害全般の発達に影響する二次的原因の治療と考えてよいと思います。
→ 精神科医学会も自閉症協会も、自閉症の根本的治療と思われたら危険だとして警戒したのではないかと思われます。
→ あれから20年が過ぎ、これらの骨切り術がどのように広がったのか、収束したのか私にはわかりません。なので、その医師の経験や論文や評判を見て判断されるのが良いと思われます。
以上が,医師から直接もらった回答です。
(その他の情報として)

以下の団体から公式見解が発表されています。

日本児童青年精神医学会理事会として2005年時点での見解

http://child-adolesc.jp/proposal/2005-12-01/

社団法人 日本自閉症協会 の見解

http://www.autism.or.jp/topixdata/sankaku20040921.pdf

これらのことを踏まえて,以下私の考察です。

前頭部の縫合は,3~9ヶ月で融合するとされていますが,成人になってからも融合しない例もあって,かなりその時期についてはバラツキがあるようです。ということは,融合時期が,生体にとって極めて重要な影響を及ぼすとも考えにくいかとも思います。

冠状縫合や矢状縫合が完全に融合している場合は,確かにシビアに脳内の圧に影響すると考えられますが,前頭縫合は元々早めに融合して,他の縫合が主に関節として機能することを考えると,あくまで多様性の範囲に収まるのかもしれません。

それから,以下のように自閉症児の脳の過成長が子宮内で起こっている可能性を示すデータもあります。

http://www.afpbb.com/articles/-/2840126?pid=8064462

脳の発達を明確に示す基準が現時点で存在しないとなると,自閉症が起こる要因についても検討自体が,難しいと言えるのではないかと思います。

子を持つ親としては,最善を尽くしたいという気持ちで手術すべきか,保留にするか迷い,大変にお悩みになると思います。

上記の情報をお伝えした方の中には,診断を受けた後に,再度CTを取り直ししたところ,縫合が確認できたので,経過観察になった,というケースもありました。CTで撮影する際の体勢や状況によって,縫合の有無の判定が左右されることもあるようです。

手術するかどうかについては,困ったことに親にどうするか決断を迫られるようです。外科の先生だと手術する方向で勧められ,様々な負の可能性を提示されるので,その流れに任せてしまいがちになるのもよく理解できます。

でも決める前に,セカンドオピニオン,サードオピニオンを別の医師に求め,検査を入念に行ってもらった上で判断しても遅すぎることはないと思います。

その上で,大切なことは,最終的には,母親の身体感覚に基づく野生的な勘が頼りになると思います。

以上,参考になれば幸いです。