投稿者「rolfinger」のアーカイブ

rolfinger について

米国Rolf Institute認定ロルファー&ロルフムーブメントプラクティショナー。

Rolfingの3つの側面

Advanced Rolfing Instructor のRay McCall がJRAの総会で興味深いことをシェアしてくれた。

それは,Rolf博士が,Rolf InstituteにRolfingの権利を譲渡する際に3つの学校を創ることを条件としたらしい。それぞれの特徴を有する学校の内訳は,東海岸には,Medical部門に特化した学校,中西部のBoulderには,Spiritual/Esoteric,そして西海岸には,Psychological/Emotionalに特化した学校という仕分けだったらしい。その夢は未だ実現していないが,Rolfingの特徴をよく表している。

興味深いのは,ロルファーがロルファーになろうと思った動機も,その3つのうちどれかに分かれる。

自分はというと,その3つが全部あるからこそ,ロルフィングに惹かれ続けていると思う。

 

 

股関節にトラブルがある方へのワーク

杖なしでは,歩行がままならない方が,ロルフィングのシリーズを受けにいらしています。

お話によると,ちょうど5回目が終了した次の日の朝,杖なしで家の中を歩き回っていることに途中で気づいて,”杖がない!!” どうしようと焦ってとても恥ずかしい思いをした,という微笑ましいコメントを頂きました。

外出してしばらくして,杖を忘れたことに気づいた,というところまで持って行きたいところです。

でもその兆しがみえてよかったと思います。

 

 

ピラティス講師訓練中の方への10シリーズRolfing

ピラティスインストラクターを目指している方へのRolfingが10シリーズついに完結しました。9回目には,スナック菓子を買わなくなるような味覚の変化やピラティスのエクササイズにも実感できる違いがでてきて,10シリーズ終了後には,”空間を支えにして歩く感覚”や”積極的に歩きたいと思う気持ち”が芽生えたり,あちこち身体をぶつけてアザをつくることがなくなったとのことです。

コメントを以下引用します。

“養成コース中に学ぶピラティスの動きは上級になるにつれて、接地面の少ない不安定な環境の中で身体を自分で支えながら動くというような、必然的に「統合された身体」での動きが要求されるのですが、やはり短期間ではなかなか身体がついて来ず、その原因は身体の使い方の理解の不足や、自分の身体の柔軟性や筋力の不足だと思っていました。

今回、ロルフィング10シリーズのセッションを受ける機会を頂いたことで、「自分では気づかなかった」緊張やこわばりが自分の身体の中にあり、それは優しいアプローチで自然な弾力性を取り戻すことを実感しました。(まだ変化の途中とは思いますが)それにより、エクササイズ中の無駄な力みや、「動きの気持ち良さ」に気づき、より自然に動くことができる様になっている様に思います。このタイミングで受けることができて本当に良かったです。”

体験レポート全文は,こちらに掲載しています。

 

痛みが改善していく過程

現在,以下のような状況を改善するためセッションにいらしている方がいます。

“心臓の開胸手術による胸骨の痛みが抜けず、日常生活・歌う際に支障がある。胸骨が常に固く強張っているように感じ、疲労が溜まると鎖骨に痛みが生じる。”

現在セッションを今回が3回目ですが,対症療法的処置ではない,Rolfingのようなホリスティックな働きかけによって生まれる特徴的な過程をよく表す感想を頂いたので,以下,その一部をご紹介します。

セッション後は、いつも血行が良く、元気になる。
今回は鎖骨、胸骨、首が痛い状態で体に色々な働きかけを行ったので、セッション中・直後は痛みが減少したのですが、帰り道と帰宅後に、特に首の痛みがマックスになりました。いつも安静にしていると治まっていたので、働きかけたからかなぁと思っていましたが、次の日に起きると、全く痛みはなくなっていました。昨日の痛みは、身体の中で色々調整をしていたからかもしれません。
 改めて、身体の調整能力やバランスを整える力はすごいなぁと思いました。

こうして,痛みが一時的に強調されたり,場所が移動したりという過程を通して,全体性を回復していくようです。

セッション1回目から3回目までの頂いた感想の全文を開胸手術されたクラシック歌手のRolfing体験記に掲載しています。

2016年

昨年は,オフィスの移転や,USAでのRolf Movementワークショップなど,変化の多い年でしたが,今年は落ち着いて,セッションに打ち込む所存です。

オフィスの移転は,やはり出来事としては大きかったようで,セッションのペースもスローダウンして,見えないところでいろんな準備とプロセスが進んだのと同時に,いろいろこれからどうやっていくのか?などなど考えるいい転換期になったような気がします。

よくよく考えると,一番大切なのは,時間。これを大切にするには,無駄なことをやめて,絞りこんでいくことかな,と思います。

 

Rolf Instituteの季刊誌にインタビュー記事掲載

今月発行されたRolf Institute®の季刊誌Structural Integrationのコラム欄Faculty perspective(教員の視点)として,インタビュー記事が掲載されました。

聞き手となってくれたのは,今年の春にサンタクルーズで開催したワークショップに参加してくれたベイエリア在住のロルファーKathy McConellさん。実際に学んだ内容をセッションに取り入れて,効果を上げているとのこと。

彼女のクライアントは,あまりタッチが軽いのに変化するので驚いているそうです。また,ある長く通っているクライアントからは,

”ロルファーが何もしなければしないほど,私はより多く感覚が増すようだ。”

というフィードバックもあったそうです。

日本で発展した技法が,こうして海外でも使われ広がって行くのはうれしい限りです。

以下の場所から全文が閲覧できます。

The Art of Yield

 

 

 

セッション中に提供する情報について

ワーク中にこちらから受け手の方に言葉でお伝えすることは最小限でありたいと思っています。セッション中或いは後に,身体がオープンになっている状態で入ってくる内容には注意を払う必要があります。無防備な状態で入ってくるので,それが深層の意識まで影響を与える可能性があるからです。

セッションしていて,どこどこでこんなパターンを指摘されたとか,あるインストラクターにこう指導された,ということに非常に影響を受けすぎたり,それに執着していることをたまに目にします。こうした情報は的を得ている場合もあれば外れている場合もあるし,今現在はそこに拘らなくていいことがほとんどです。にも関わらず,その言葉が深層心理にこびり付いてしまっているのは,かえって害になります。表向きクライアントのサポートをしようと見せかけつつ,実はプラクティショナーの思い込みを押しつけている例も少なくないように思います。

さらに,身体や知覚を通しての働きかけが中心ですが,その入力情報によって,受け手のシステムがどんな反応を示すか?については自由であり,施術側が何かを期待して観ていることが,受け手が起こしたい変化を阻害することにもつながるからです。

言葉や説明が足らないと思われがち?かもしれない田畑のセッションですが,その姿勢を汲み取って頂けるとやはりうれしいです。

先日10回のセッションを終えた方が,メールで以下のような感想をお寄せ頂きました。ご本人の許可を得て紹介させて頂きます。

↓ ↓

”今までいくつかボディワークを受けてきましたが、終了後に施術内容や注意事項の説明を細かくしてくださる方もおられました。

しかし今回のセッションを通して、そういったことは私の“自分で感じる力”“自分で直す力”を削いでしまうのかもしれないと思うようになりました。
田畑さんがご自分から仰ることは必要最低限のことのみだった(とお見受けする)ので、ともすれば訊き過ぎてしまう・答えを他者に求めてしまいがちな私にとっては、そういったスタンスでいてくださったことはありがたいことでした。
質問すればもちろんやさしく答えて下さいましたが、それもすべてを言うのではなく、少ない言葉の中で示唆してくださるということが多かったので、そのおかげで自分の感覚を大切にすることができました。

いつも丁寧に接してくださり、ありがとうございました。とてもうれしかったです。”

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交通事故の影響のある方へのセッション

交通事故によるむち打ちの影響がある方へのセッションです。

RolfingSessionByHiro

セッション後の写真データから;

第1回目のセッション直後より,一ヶ月経過後の方が,より身体の統合が進んでいることが観察できます。首は頭部をより垂直に支えています。

以下,お寄せ頂いた体験レポートの抜粋です。

〇第1回目のセッション当日

自分の元の体にもどるという所に魅力を感じて施術を受けることにしました。

背中の下に手を置かれ、それを抜くと体が開いてマットに背中のつく面積が多くなる感覚がしました。それが、もっと呼吸が深くなり楽になる助けになってくれている感じがしました。

感じること、感覚を考えようとすると呼吸が浅くなるような感じがしました。

 

終わった後は胸が開いて、楽になった感じと肩が軽くなりました。

〇3週間後

生理前後で頭痛、眼痛がありました。意識しないと肩が内側に入ってしまうことがありました。意識して、深呼吸をすると体が覚えているような感じがして、以前よりも深く呼吸ができました。

〇第2回目のセッション当日

施術が進むと、体がどんどん緩み、マットへの体の接地面が多くなる感じがしました。

左足首に何かないか?と言われた時に、そういえば左足の股関節を痛めていたことを思い出しました。(病院では異常がわからず、遺伝?重いものを持つ、歩きすぎると痛む。)その影響か、足首は回すとボキボキ音がするのですが、慣れてしまって忘れていました。

施術後、足の裏がしっかり地についているのがすごいなと思いました。体も軽いし、呼吸もとても楽でした。終了後、今回は眠くならず、動かしたい感じでたくさん歩いてから帰りました。足の裏がしっかり地面についている感じがして、歩くのがスムーズで、楽でした。左肩にはコリがあるのを感じました。体の感覚に集中するのは簡単ではないですが、気持ちがいいものだなと思いました。

〇4日後

とにかく、歩くのが楽。右膝の痛みがない。左の肩にコリがあるのを感じるが、重かったり、痛みがあるわけではない。

〇1週間後

右肩は軽いが、左肩、背中にはコリがあるのを感じる。歩くことが楽になった。足が地面にしっかり付く感じがして、今まではもっと不安定だったと気付く。

〇10日間後

肩も開いているのを感じる。歩くのもやはり楽に感じる。右膝の痛みがない。

体験記の全文

120分Rolfingセッションの体験記

レポートとしては初となる,Rolfing120分コースの体験記です。 クライアントは,イールドワークに興味があってお申込みになりました。痛みと施術,セッションで得た体験を生活にどう活かすか?についての考察を含む深い内容です。

以下転載します。

第一回目

田畑さんのロルフィングは非常に繊細なタッチで、触っているか触らないか微妙な感じの時もあり、痛みとはほど遠かった。 それでいて、身体がとても楽になって、呼吸も深くなった。

(一回目は呼吸に焦点をあてた。)

ちょうど、数日前、整体を習っている友人が、痛いのはいいのだと整体の先生から教わっていると言って、とても痛い施術をしてくれたばかりだったので、とても助かった。(その時の痛みは2週間も尾を引いた。)

はっきり言って、痛いのが効くという施術者は、田畑さんの効果的な施術を受けた後では、なにかヒーリングをするのとは別の要求が隠されているのではないかと思ってしまった。

痛いと、肉体的だけでなく、精神的な苦痛もおこる。もし、誰かが以前に整体というのではなく、DVなどの体験を受けていたとしたら、逆にその嫌な体験を思い起こさせてしまっていたのではないかとも思った。

物質的な力を、施術者という権威によって正当化するけれども、それが、相手とのヒエラルキーに立って、相手の身体や精神的な反応を一方的に無視するようであれば、なにか違うのではないか、、、。

こんな風に思えたのも、田畑さんが、施術をしながら、私の身体の反応をよく見ているのがわかるからである。

触っては一呼吸置いて、ある反応が起きるのを待ち、無理はせず、まるで私の身体と対話しているようで、そこでは、対話と調和があり、ヒエラルキーや正当化のような無言の力関係を感じなかった。

また、反応を待ち、時間をおいてから、次のステップに進むという作業には、私自身も、自分の身体の反応の意味や感覚を感じ取る時間を与えてくれる。自分が自分の身体と対話し、考え、感じる時間である。

特に貴重だと思ったのは、その部分で、とても痛い施術を一方的に、何も私の身体の反応を待たずに次々とされた場合、自分で考え、感じるという作業が痛みのために麻痺して、凍り付いてしまい、なにか暴力めいた感じさえ受けてしまうからだ。

一時的に痛みを起こす施術でも、それが対話のうちであり、自分と施術者に、その反応について考える時間を与える場合は違うと思う。自分は尊重されていると感じるし、痛みをある程度、解読できる。

身体の痛みが、ある精神的なストレスや、抑圧し、忘れていたストレスを思い出すきっかけとなってくれることがある。

心と体は繋がっているのだ。

何が問題で、何を自分は手放さなければならないのか、、、。

何が痛みを引き起こしているのか。

その鍵を、たとえ痛みであっても、反応を味わう時間を与えられていることで考え、施術者との信頼関係のうちに、良い方向にかえることができたりもする。

自分の身体を通して、自分自身を知ることはとても大切なことだと思う。

自分は最終的には自分でしか変えられないのだから。

第一回目は呼吸についてだったが、自分がいかに今まで身体を緊張させて、浅い呼吸でいたのか、施術を受けたあとの状態と比較して痛感した。

そして、深い呼吸ができるようになった自分でいると、いかに精神的にも安定して、リラックスして世界に向き合えるようになるのか気づいた。

すると、人や世界に対する見方や感じ方が変わる。

驚きの瞬間だ。

だが、いつもの日常生活に戻ると、この新しい私、深い呼吸で、堂々と話し、自分に自信と誇りを漲らせて話す私に人々はどう反応するのかと不安になりだす。

いつもの、弱弱しく、頼りなさそうに話す、ある意味、”扱いやすい”人から、自分の思っていることを堂々と言う私を周囲の人々は受け入れるだろうか、、という疑念が頭をもたげだす。

逆に言うと、呼吸が深くなり、落ち着いて、胸も張って、身体の重心も良い位置に変わるということが、どれだけ、自分を尊重し、自分を愛し、ありのままの自分でいて、人の言いなりではなく、自分の意見をはっきりと言いたいと思わせるまでに自分の生きるあり方を変えてしまうということは驚くべきことだった。

自分が深い呼吸で、深い声で話したとき、長年抑圧されてきた素直な自分でいたいという欲求が現れたり、自分のもっと自然な姿のありようや美しさや心地よさに自分自身で感動し始めた。

そして、いったん気づくと、もう後戻りしたくないという気持でいっぱいになった。

過去の自分との闘いによって、第一回目の施術の成果も変わってくる。

その成果をどのくらい維持したいかは、自分の過去の人間関係や生活をどのように変え、あるいは抜け出したいかということでもあった。

私の場合、特殊な事情により、第一回目の施術と、二回目との間が空いたので、闘いと、表現してしまうほど、いろいろな観察ができたのだろうと思う。

身体の在り方が変わると、気持ちの持ちようや自分の自尊心まで変わる。本当の自分が素直に表現されるような環境、人間関係、生き方まで求めたいという強い欲求にまで高まる。これに気づいたのは驚きだった。

肺癌の疑いがある方へのワーク

セッション開始当初は,身体を意識してもらうと,感じる感覚のほとんどが痛みに焦点があっていましたが,セッションが進むにつれ,少しづつ,身体の様々な場所に感覚が蘇ってくるとともに,痛み以外の例えば,楽な感覚や動きやすさ,軽さなどの感覚も出てきたようです。

身体の辛さ以外に注意が行き始めると,知覚が広がり,そのことによって,目に入ってくる情報も広がり,質も変わってきます。動きや知覚が変わることによって,パターン化し,囚われた状態から自由になり,前向きに生活する”きっかけ”が生まれます。

それは,思考からではなく,身体の動きが変わることが実のある根本からの改善につながります。

何かが治る治らない,痛い,痛くないというような身体状況の改善より,むしろ意義のある変化だと思います。

http://rolfing.asia/pg216.html