ロルフムーブメント™
Rolf Movement® Integration
機能を扱う統合アプローチ
ロルフィングには、その働きかけ方の分類、意訳すると流儀がありますが、基本は構造。その他に、機能、エネルギー、社会心理学、幾何学、などからの局面があります。それぞれ便宜上分けることもできますが、それらは互いに関連し合っています。中でも、構造と機能はからだを考える上で、主となる両輪といえます。
動きのパターンを変えることは、その人の生き方を変えることです。
動きといっても、基本的な動作、横になって委ねる、呼吸する、立つなどの、あらゆるパフォーマンスの基盤となる動きの質に変化を与えます。
一流のパフォーマーはすでにたくさんのソフトウェアをもっているので、こうした基本動作つまり、基本ソフトのOSが変われば、当然パフォーマンスは向上します。同時に、使えないジャンクなアプリを捨てることも大切。
(バグに関しては、Somatic Experiencingが有効です)
2つの統合的アプローチ
からだの構造に歪みがあると、動き自体も制約を受け、機能的とはいえません。一方、癖や習慣によって動きがパターン化し、偏りのある負担を与える動きが繰り返されると、次第にそれが定着し、からだのかたち・構造にも歪みが生じてきます。このように身体の動きと構造は、互いに影響しあっていて切り離すことができない密接な関係にあります。
米国コロラド州ボールダーにあるRolf Instituteでは、主に手技を用いて構造に焦点を与えるRolfing® Structural Integrationと、生き生きとした自然な「動き」を引き出すRolf Movememt® Integrationのプラクティショナー養成のプログラムが提供されています。
Rolf Movement®の成り立ち
ロルフィングの創始者であるアイダ・ロルフ博士(1896-1979)は、構造の統合と同時にこの「動き」の重要性に早くから着目し、ジュディス・アストン、ヴィヴィアン・ジェイら複数のムーブメント教師とともに、ロルフムーブメントを発展させました。近年は、ウベア・ゴダールが、知覚の重要性に気づき、新たな息吹をムーブメントに与え、さらに他のムーブメントアプローチと交流しながら、今なおロルフムーブメントは進化を続けています。
ロルフ博士のStructural Integrationの流れを汲む学校は多く存在しますが、Rolf Instituteのカリキュラムの特色の一つとして、このMovementがしっかりと組み込まれていることが挙げられます。
アプローチの実際
例えば、右の股関節を痛めた方がいたとします。周辺の靱帯や筋肉群のバランスを整えることも「一時の」手助けになるかもしれません。でもそもそもを辿ると、反対側の左の足底に釘を踏んだ、或いはそれに類する経験があって、そのことが左側の支えを不十分にしてしまい、それを右でかばうことによって、右股関節に負担がのしかかってしまった可能性があります。
このケースですと、左足底の傷は数十年前に修復したとしても、からだが未だに左足を安心して地に着地するのを躊躇っている状態のままなので、それを書き換えてあげる必要があります。足底に安全な足場を提供することや、怪我をしたときに、視覚と股関節が一緒にフリーズした可能性もあるので、そのカップリングを解いて、眼球と股関節を一緒に広げてやることで、支えやすさが引き出されます。
それらに働きかけることなく、痛みの箇所を追っかけていっても、知覚のパターンを変えないことには、右の股関節への負担はまたぶり返すか、こんどは右膝に痛みがでるかもしれません。
つまり、痛みの箇所はサインを出しているだけで、悪いわけではなく、足底の知覚に働きかけるようなMovementワークが威力を発揮します。
ロルフムーブメントの意味
ロルフムーブメントは、ロルフィングのセッションで終盤に差し掛かった場面で用いられるトラッキングで効力を発揮します。マッサージテーブルから降りて、坐位から立位に移るときに、魔法の一撃のように一つのシンプルな問いかけ、或いは動作の補助によって、一気にまとまることがあります。
それはある特定の組織の制限にこだわり続け時間を費やすよりむしろ、とても意味のある働きかけになります。
また、知覚、からだが周囲をどう認識しているのか?外からの刺激をどう認識して解釈しているのか?という「知覚」が身体に与える影響はとても大きなものです。習慣化して定着している役に立たないそうした知覚のパターンを書き換えると、動きやからだの構造も大きく変わり自由を取り戻すことができます。無意識にからだが自動的、反射的に反応してしまう役に立たないパターンは上書きする必要があるのです。
Rolf Movement® プラクティショナー養成のプログラム
創世記のカリキュラムでは、ロルファーとロルフムーブメントプラクティショナー(当時の呼称:Rolfing Movement teacher)養成は、それぞれ独立していました。現在では、後者単独のスタンドアローン養成プログラムはなくなり、ロルファー認定後の認定資格となっています。
2009年からは、さらに改変が進み、それまでの18日間のコースから、内容を充実させ、30日間のプログラムになっています。国・地域によって、形式が異なりますが、日本では、テーマの異なる3〜4日間のワークショップを内容の消化に必要な間を空けながら、ゆっくりと取得できるように、クラスが提供されています。
ワークショップの例
Spine in motion 動く脊柱
Core stability コアの安定性
The way of translation of 10 recipe into the movement 10レシピの翻訳
Perception 知覚
Seeing 観るということ
Resonance 共鳴
Breath and Walk 呼吸と歩行
これらのワークショップは、認定ロルファー以外の方にも参加可能なクラスがあります。