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ソマティック・エクスペリエンシングに対する考察

ソマティック・エクスペリエンシングに対する考察

ソマティックエクスペリエンシング®(以下SEと略記)は、トラウマ解放に有効な身体指向の技法として知られています。

トラウマを解放するという介入に対して、講師によって随分と考え方が異なるという話を複数のクラスのアシスタントを経験した方から伺いました。トラウマを熊に例えるとすると、寝ている熊を起こすやり方と、もう一方で寝ているなら熊を無理に起こそうとせず、プロセスに任せる方法論があるとのことでした。話をしてくれた方は、自分は後者が合っていると仰っていました。自分はどちらかといえば、イールドの観点から、後者を採用します。

熊が寝ているのには理由があったり、起きる準備ができていないかもしれません。だとすると、準備不足なタイミングでせっかく寝ているところを急かすのは、ちょっとまずい気がします。トラウマが渦を巻いているとすると、近づこうとするだけで巻き込まれるリスクがあります。イールドの技法では、トラウマのエネルギーを手放そうと思えばいつでも手放せる場という下地を提供するという考えです。手放すことを積極的に促進するような介入はせずに、待つというスタンスです。ただ、クライアントが自己調整にアクセスすることに迷いがある場合は、上手く案内して上げる必要もあると思います。

その見立てや見極めは、クライアントの状態を把握する、観察力が求められます。この能力に長けているなら、セッションは安全に進むでしょう。ただ、トラウマの渦が強力なエネルギーを持っている場合は注意が必要です。

イールドの技法で用いる静寂に満ちた中立な立ち位置を施術者が見つける時、その状態にクライアントが共鳴して、あたかも、台風の目に立体的に上からすっぽり入るようなイメージになります。同一平面上でアプローチしていくと、必ずトラウマの渦の近くを通ることになりますが、方向は別として、すぐさま台風の目に入ったところからセッションが経過していく、SEにイールドの間合いを用いる時のイメージはそんな感じです。

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