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Spatial Somatic workshop with Tensegrity

Spatial Somatic workshop with Tensegrity

2023年10月20-22, 24-26日の計6日間、米国カリフォルニア州サンタクルーズにおいて、ワークショップの講師を務めた。招聘してくれたのは、ロルフィングの恩師Carol Agneessens先生で、それ以外にロルファーを中心に13名が参加してくれた。ちょうど一年前にも企画されていたが、完全にはパンデミックによる規制が解除されていなかったため、その時にはオンラインで3日間のワークショップとなった。遠隔でもセッションが成り立ったり、ちょうどいい間合いとなる位置を見つけることで、セッションの場が変わり、身体にも変化が生まれることをほとんどの参加者が体験した。その体験を深めるべく、今年の対面によるクラスを申し込んだロルファーもいれば、新規で申し込んだロルファーもいる。昨年は、Jon MartenというRolfing講師が参加してくれたのだが、その代わりに?今年は、Ray McCallというlegendary な講師が含まれていた。両者とも上級トレーニングを教えることができる先達である。

Day 1

会場は、宿泊先のRio Sands Motelから車で10分程度のところに位置する恩師の友人の広い自宅でSanta Cruzのダウンタウンの高台に位置している。


クラス開始前

朝は、Carol先生のMovement瞑想から入り、チェックイン。パンデミック期間中に、カリフォルニアの火災で家を失った2名、親しい人を複数亡くしたり、ストームによって家が浸水したり、様々な出来事があったことを一人一人の口から聴く。中にはかなりシビアなトラウマを幼少期に体験した参加者もいる。トラウマは比較できないというけれども、かなり悲惨なことを体験しても、ロルフィングの技法を高め、それをクライアントに還元している「まっすぐな生き方」をみると清々しい。そうではないものには、できるだけ近づかない方がいいに決まっている。

さまざまな出来事がどのような形でどのように身体に影響を与えているのか、そしてそれを、このクラスで創り出される場によって、どのような解放が起きるのかは未知だ。しかし起きてしまうことは必然的に起こる。それを期待もしないが、身体システムが許せば、場のクオリティに応じて、ごく自然に解放が起きてしまうのは誰にもコントロールできない。個々の身体システムが決めることだ。

レビューを兼ねて、最初にデモンストレーションのセッションから入る。モデルクライアントとしてPJが手を挙げてくれた。感受性が高い彼は、すぐさまお互いにちょうどいい場所の感覚をフィードバックしてくれたので、そこからは順調にイールドと空間的広がりが身体に引き出された。肚へのセンタリングの感覚を掴んでもらうため、2人にプラクティショナー役とクライアント役になってもらい、どのように最初の立ち位置となる第一ポジションを見つけるのかをこちらでサポートする。Jamesには、このセンスがあるようだ。はじめてにしては、受け手となってくれたJennyも、位置決めとそれに関連する感覚の把握が早い。午後はペアを組んで交換セッションの実習。それぞれの第一ポジションのチェックをするが、今回強調しようと思っていた低重心のセンタリングの感覚をほとんどの参加生が掴んでいて、昨年のオンラインクラスが下地になっている面もあるかもしれないし、それぞれがロルファーとして積んできた修練も関係しているように思えた。

Day 2

先日は、仰向けでのワークだったが、2日の今日は、横向きで行う。モデルクライアントとなってくれた彼は、全体が昨日の実習で広がったものの胸に圧迫感があってそれがより強調される形になっているという。セッションが開始すると、感情が解放されると同時に胸の圧迫感が無くなっていったというフィードバック。その間、第一ポジションに留まり、ひたすら肚のセンタリングに意識を向けていた。感情解放を意図したわけではないが、変容の場が提供されると、身体システムは必要なプロセスを起こす。それはコントロールできないが、もっとスローダウンできた可能性もある。全体がそれぞれにプロセスを開始しているのを感じる。全体に創り出している安全場がプロセスが進むきっかけと母胎を提供したのだろう。


Day 3

3日目はうつ伏せでシリンダーのコアラインを感じるデモンストレーション。じっくり触れるのではなく、きっかけを与える程度の触れ方で、すぐさま第一ポジションに戻り、ひたすら見守る。モデルクライアントとなってくれたJも、見守られている内にイールドをゆっくり進めて、どんどん台上でフラットになっていった。結果として、両シリンダーを感じたとのこと。また、後日便通にも変化があって興味深かったそうだ。

翌日は、一日day off。

Day 4

一人一人メンタリングして、低重心の肚感覚をチェックしたいところだが、それを一辺にできないだろうか?ということで、グループ全体で順番に場に入ってそれぞれの位置を見つけてもらうワークを実施。これまで数回日本では行ってきたが、米国で試すのははじめてだった。新たな人間が加わるたびに場が落ち着いていく。石庭のワーク(Japanse rock gardening work)と名付けることにしよう。場の安全が深まったところで、デモンストレーションに移る。モデルクライアントは希望者を募る方式ではなく、私が直感に従って浮かんだ人物に声がけした。

セッションは横向きで、行う。途中激しく咳き込む反応が出てきた。後から聞いたところによると、幼少時のトラウマが関係した反応だったようだ。テンセグリティモデルに、反応が収束する方向に向かうのを手伝ってもらう。

今回のクラスは、日本人で米国在住ロルファーのCokoさんとTomokoさんが参加されているので、通訳も手伝ってもらえるということでとても気分的に楽であった。

Day 5

デモはセッション6に関係する領域を扱う。モデルクライアントは、Mを指名。彼は講師養成課程中で、Rayのアシストに入ったこともあるとのこと。テーブルワークの前にモーションテストをして骨盤の可動性を観る。デモセッションは結局触れたところは3カ所で、骨盤内テンセグリティの張力と背部と頭部ドーム構造のresiliencyを扱った。テーブルワーク後に再びモーションテストにより、骨盤の可動性が均一になったことを確認。ただし、そうなるように介入したわけではなく、結果としてだ。それを観ていた参加生の一人のMiraが、WOWを連発していた。このワークが構造統合を促すことを目の当たりにした衝撃が大きかったようだ。私も含めて、このワークの有効性とポテンシャルを確認した。

Day 6

Closureを意識したセッションで、反応がすでに亢進されているパターンを鎮静化する方に方向づけるには、プラクティショナー自身が一定の張力を保つ必要がある。これは、反応が暴走しやすいクライアントへのセッションに役立つが、このことを米国で紹介できたのは自分にとて大きい意味を持っているような気がした。最終セッションは、希望したTさんになり、鎮静化する方向付けのワークが役立つことを検証する結果ともなった。

集合写真

実に素晴らしいワークショップ体験だった。参加生の一人Aliceがまた来年も来て教えて欲しいといってくれた。

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