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注射の傷跡

注射の傷跡

以前、Rolf Movement名誉教員のMary Bond先生にイールドのタッチを用いてワークさせて頂いた時の様子が、先生の著書「Your Body mandala」の中に書かれています。注射によって、診断名がつく程度の障害※がなくとも、注射を打たれた衝撃は、何らかの形で身体に記憶されています。ただ、回復の可能性がないというわけではなく、以下のような介入によって変化をもたらす可能性があります。

傷跡

昔の予防接種の傷跡が、左腕のビクッとするしぐさと関係があるのかどうか、気になるところです。ロルフィングの同僚である田畑浩良さんにお願いしてワークしてもらうことにしました。彼のワークは非常に繊細です。まるで、遠くでギターを弾くような、軽やかで短いタッチ。その存在感は、「安全」というエッセンスを伝えてくれます。私の腕の後ろにある10セント硬貨大の痕に、彼はかすかに触れている。70年以上前、1歳か2歳のころに注射をされたのでしょう。私は一息ついて、心の中でたたみかけ、そして怒りを爆発させた。私はとてもとても幼い。医者の先生の赤い髪、ピンクの顔、メガネ、頬にかかった息、一瞬にして思い出す。先生はいつも蝶ネクタイをしていた。足を蹴りたい、腕を打ちたい。言葉はないけれど、内心、血の気の多い怒りで叫んでいる自分がいる。幼い頃の熱い非力さを感じる。もし、声や視線を通して、或いはピアスで穴を開けると、子どもの(あるいは誰かの)ペリパーソナルな空間がへこんでしまい、その結果、生涯にわたって体の組織に影響を及ぼす可能性があることを、自分の親や世話をしてくれる人が知っていたらどうしたでしょう。私は、ワークが終わって治療台から立ち上がると、背中の上部にいつもと違う広がりがあることに気づきます。肩甲骨の間がもろいと感じるのではなく、背骨のその部分が私の心臓を支えることができると感じるのです。その気になれば、Beaux医師をドアの外に押し出すこともできる。それは、とても力強い感覚です。こんな軽いタッチで、どうしてこんなに変わるのだろう。でも、その時、ファッシャの感覚神経の90パーセントは、皮膚のすぐ下にあることを思い出したんです。

Scar

I’m curious to know whether an old vaccination scar has anything to do with the wincing gesture of my left arm. I’ve asked my Rolfing colleague, Hiroyoshi Tahata, to help me investigate. Hiro’s work is exceedingly subtle. His touch is light and brief—fleeting, like the strum of a guitar in a distant room. His presence conveys the essence of safety. He barely touches the dime-sized mark on the back of my arm. I must have been given that shot when I was one or two, more than seven decades ago. For a beat or two, I fold down inside myself, then erupt in fury. I’m very, very young. In a flash, I remember the doctor’s red hair, his pink face and glasses, and his breath on my cheek. He always wore a bowtie. I want to kick my feet and beat my arms. There are no words for this, but inwardly I hear myself screaming with bloody rage. I feel the hot impotence of my infancy. What if caregivers knew about peripersonal space, knew that a piercing—of voice, of eye, or needle—could dent the space around and within a child’s (or anyone’s) body, and in so doing affect the body’s organization for a lifetime? Standing up from the treatment table, I’m aware of an unusual expansiveness in my upper back. Instead of feeling fragile between my shoulder blades, I sense that that area of my spine can support my heart. I could now, if I wanted to, push Dr. Beaux right out the door. It’s a powerful feeling. How could such a light touch have such a transformative effect, I wonder. But then I remember that up to 90 percent of the sensory nerve endings in fascia are located right beneath the skin.

—『Your Body Mandala: Posture as a Path to Presence』Mary Bond著
https://a.co/0cFTn1w

Rolfer’s NOTE: 上記の介入は、イールドによる働きかけ (Rolf Movement®のThe Art of Yield//Yielding Embodiment®)で、まず施術者と受け手との間のちょうどいい位置関係から相互に安全安心の場を創りだし、受け手の身体システムを侵害しないように空間からゆっくり働きかけ、触れたとしても触れるか触れないかの境界にあるようなタッチを多用しました。タッチよりも、触れる前と触れた後に、ちょうどいい間合いから身体システムが自動的に起こす変化を見守ることに重点があります。

※筋肉注射自体の物理的刺激と化学的刺激によって筋肉組織が壊死し、その修復過程において瘢痕が生じることがあり、これが拘縮を引き起こす。注射薬の作用だけでなく、注射薬の不適切使用という医療行為を原因とするものである点において、医療過誤の絡んだ薬害ともいわれる。

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