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メカノバイオロジー〜足場

物理的/力学的刺激が加わるとどのようにそれを生体が受け取って、生化学的な反応に変換するかという学問、メカノバイオロジーの発展が進んでいる。ここ10年くらいでかなり進展しているようである。

細胞は、体表ではケラチノサイトが直接刺激を受け取っているが、少し中に入ると、細胞外マトリックスや組織液を介してか、あるいは隣接する細胞から情報を受け取る。とくに、細胞外マトリックスの物性、硬さや材質によって、細胞がどの細胞に分化するのか、という運命に関わる影響がある。再生医療のために、細胞の足場となる細胞外マトリックスの性質に関する研究や、運動性に関係するタンパク質や遺伝子が同定され解析が進んでいるようである。細胞にとって、力学的な刺激は、これまで想像していたより、ずっと重要な役割があるようである。万病の元とされる、慢性炎症も、細胞と細胞外マトリックスの秩序ある関係性の破綻に由来するようである。

タッチによる介入によって、外界が安全であると認識するような、振動やリズムが手を通して伝達されると、オキシトシンや炎症を抑えるようなシグナル分子が放出され、関係性の下地ができる。タッチの有効性は、今後のメカノバイオロジーの研究が進展されるにつれ、その意義がますます明らかになっていくであろう。

タッチは相当な情報量をもっている。もし、施術者のタッチのクオリティが安全性に乏しく、身体システムが、その刺激を侵害刺激と認識してしまうと、コルチゾールや炎症メディエーターが産生され、炎症反応が起きてしまう。よく効くということは、害になることも認識しておく必要がある。

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