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変化の受け皿

最近、セラピーを受けて調子をくずした、つまりセラピートラウマからの回復を意図したセッションを行っている。

どのような意図であれ、介入すれば、それによって身体のシステムが、別の平衡状態への移行する。見落としがちなのは、元の状態はそれなりにシステムを稼働させてバランスを取っている完全性がある。何か、例えばトラウマの解放が起こるとすると、それによって起こる変化はポジティブなものが都合よく削除されるだけではなく、その変化の受け皿がしっかりしていないと、かえってバランスを欠くこともあり得る。また、別の平衡状態に移行するためにはプロセスの時間が必要になる。しかし、治療家が陥りがちな罠として、症状の改善に対して、酔ってしまうことがある。特に急激な改善が起きた場合には、むしろスローダウンして様子を見る余裕が必要である。

統合的な観点からは、あるレベルでの急激な変化は、他のレベルがそれにうまくかみ合っているかどうかも観察する必要がある。

技法的にトラウマの解放は難しいことではないが、ただ闇雲に解放すると、エネルギーや感覚は戻ってくるが、感覚は開けばいいわけではなく、鈍くすることでバランスしている場合もある。エネルギーが急激に戻ってきた場合、それをうまく消費する方向性が定まっていないと、理性的なコントロールが難しくなる。コントロールのための抑制は必要であり、アクセルとブレーキは、ドライブにとって不可欠で、それらの微妙な均衡を通常保っていることを忘れてはいけない。

リソースは、この世界に自分をつなぎ止める役割がある。自分をつなぎ止めるためのアンカーとして働いている最も確かなものは、身体というリソースである。自分という存在が身体とくに肚に収まることが、安定するということである。

そこが定まっていない上での、解放は時に危険が伴う。変化とは、別の平衡状態に移行することで、その状態の受け皿がしっかりしているのか?適切な介入であっても、受け手が許容できる範囲とタイミングなのか? プラクティショナーは、それをしっかり観察して、肚で感じる身体的共鳴をつかって、躊躇する感覚を大切にしなければならない。

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