骨は固い、筋肉も常に固い、固い身体は変わらない、ずっと変わらない、という思い込みからしか身体を捉えられないと、当然それが動きや在り方に影響する。ロルフ博士は、その”身体は変わらない”と考えられていた概念を、Body is plastic ! 身体は変わり得るもの、と言葉にして、それをロルフィングのワークによって体現した。
なんとなく大多数が思っているところには必ず盲点がある。
音は振動であるから、皮膚もまたその振動を感じている。ということは皮膚も聴いているという表現も成り立つ。”音”として認識しているかは別として、振動は細胞全体に届いている。細胞に一本づつある繊毛の揺れとして受け止めたり、細胞の中にある細胞骨格の揺れもあるだろう。細胞はたえず内側の動的なダイナミクス、つまり”動いている”必要がある。そのために細胞外マトリックスや隣接の細胞と相互作用することで動きを生み出し、その物理刺激が生存と成長にとって必須となる。
だから、すべての組織や器官は、物理的な動きとしての振動を受け容れ、そして外側に伝えたり双方向にやり取りをしていることになる。この全体の振動板・振動子としてより響きあうことができれば、それがつながりや連携を生む。
恐らく、ある種のサウンドが癒しをもたらすという原理は、音波を使って、身体の組織が固まってフリーズしているところに振動が伝わることで、動きが生まれると共に活性化されることが、回復へのプロセスを進めることになるのではないと推測する。
耳だけが聴いているのではなく、身体の皮膚も聴いていると思うだけで、音に対しての認識や皮膚で聴こうとするだけで、身体の音への反応も変わり、そうすると空間認識も変わってくる。
その器官が習った通りの機能しかしていないという狭い捉え方をしている限り、可能性は広がらない。だが、様々な可能性と共に身体を捉えるてみると、知覚が変わり、世界も違った感じに見えてくる。