先日のRolf Movement®セッションで視覚と身体の連動がうまくないというケースだった。下半身の動きに頭の動きが連動せず、下肢から腰まではつながりがあるが、そこから急に途切れる感じになるという。体験がない人には全く何のことかわからないと思うが、身体の感覚は均等に行き渡っているわけではなく、モザイク状になっていることも珍しくない。その偏差が大きいと、傍からは身体はどこにも怪我や障害がないように見えても、本人の身体感覚は著しい違和感が伴う。
今回のケースは、眼をあけていると情報量が多すぎて、動きが途絶えてしまうので、まず眼を閉じてもらって、安全が確保される状況を創り出す。その時に鍵となったのは、手に動かしたいように動いてもらったことである。
それによって、手の感覚と動きによって、身体の周囲を把握できるようになり、統合への流れができた。
視覚は、どちらかというと後期に発達するので、手の動きや触覚から情報を集めることは、より原初的といえる。手を使うという行為によって、視覚システムがバックアップされ、安定化したのではないかと考察できる。
手を使うということは、何気にすごい意味を持っているのかも知れない。