CS60は、生体に蓄積している有害な迷走電流を排出するのに効果的な施術器具です。
ロルフィングは、基本的に手で行う技法ですが、コールドレーザーやアクティベーターと呼ばれる器具などなど,D.O.やD.C.が使うような器具をロルファーが用いることもあります。しかしながら、私自身は、何かの器具を用いることは避けてきましたが、このCS60には、確かに意味があると感じました。
経験上、ロルフィングをしていると、足の支えや骨盤の支えがしっかりしてくることによって、肩の緊張が解消されることはよく観察されます。しかしながら、支えの充実だけで解決できないケースも多く、それが長年自分の中で謎でした。特に肩甲帯には、何か蓄積しやすい性質のようなものがあるということです。
そこにCS60で施術、実際にはある程度の圧力を加えるのですが、かなり圧されても大丈夫なところと、逆に触れている程度なのにすごく痛く感じるところがあると思います。この時の痛みは、余剰の電流が急激に脱けていく時に起こると西村先生は解釈しています。
ここで思い出されるのは、ロルフ博士の痛みに対する考え、”痛みは変化に対する抵抗である。”(うろ覚えなので正確なフレーズではないかもしれません)
そもそも神経が集まっていてそこ強く押したらそりゃ痛いでしょ、ってところをぐいぐい圧したときや、下手なマッサージを受けた時の痛みは論外として、圧も大して加えてないのに、鋭い痛みやなんとも言えない違和感を感じるような場所を誰しも持っていると思います。そこにCS60を当てられた時の痛みは、ひょっとすると、変化への抵抗なのかもしれない、と思ったのです。
ただし、No pain , No gain. 痛みを伴わなければ、何も得られない。という言葉がありますが、とても注意しなければいけないことを含んでいます。つまり、施術者との信頼関係があって、安全と安心が確保されていること、そして、施術者もそれに応えるだけの技能が伴っていることが大前提での言葉です。その上での、CS60がまさにその場所に置かれて、その痛みを通過した時に、確かに解放が起こるようです。
さらに注意しなければいけないのは、受け手がその時に受ける痛みという感覚を、意味づけなく単なる痛みとして体験できれば、問題はないのですが、痛みによって想起される事柄が多い場合 ( – トラウマが再体験されそうになる等) は、慎重に行う必要があります。例えば、痛みによって、自分が粗末に扱われているという感覚に打ちのめされてしまうようなケースなどです。そこに、施術者が、これはいいことだという思い込みが強く、受け手のフィードバックや様子を無視して、ごり押ししてしまうと、いい結果が生まれるどころか、逆効果になってしまいます。
“痛みの体験はそれ自体が目的ではなく、解放や感覚が戻ってくる途中で出てくるもの。”ということを忘れてはいけません。そして施術側が、自分の攻撃性にどれだけ気づいているか?受け手の受容性や反応を無視して一方的に”良いことをしている”という類の治療信念を押しつけていないかどうか? などなど。
それらを踏まえた上で、CS60を使用するのであれば、極めて意味のある施術体験となるでしょう。
ロルフ博士の施術を受けた人の話を聞いたことがあります。痛いには痛かったが、電磁波様の感覚だったと。恐らくそれは、強い圧力で生じる痛みというより、電気的な何かが同時に脱けていくような痛みだったのではないかと想像します。
じゃあ余分な電気さえ抜いてしまえば、身体は統合されるのか?という疑問が生じます。
たまたま、ロルフィング10シリーズを受けている最中に、CS60を専門にやっている方から受けたクライアントの方がいたのですが、写真で比較すると構造(姿勢)にはほとんど変化は認められませんでした。
ということは、迷走電気を抜くだけでは、統合への変化は促されないようです。
さらに、痛みはいつも伴うのか?という疑問ですが、ロルフィングの10シリーズと5回のムーブメントを終えたにCS60で3回ワークしたのですが、この方は、全く痛みを感じなかったにも関わらず、身体はより統合へと向かいました。
ということは、高度に連携して統合された状態であれば、余計な電流を溜めることないため、CS60によって痛みを感じることもなくワークを受けることができ、自立的なバランスを確立しているということもでき、それが目指すところだと確信しました。
イールドワークをする上でも、イールドを妨げるところにCS60を使うとより反応が促されます。
ただ、私のスタンスとしては、余分なものを排出する力は、本来備わっているので、その能力が発揮されることもまた重要だと考えています。その蓄積度合いと、受け手の方の容量を観察して、方向付けするのに最低限の介入に留めたいと思っています。
CS60に関しては、そのようなスタンスで使用していこうと考えています。
発明者である西村光久氏のビジョンは、寝たきり老人をなくすということにあり、とても共感できます。