”ある種の腸の細胞は,特定のタイプの細菌を認識し,この細菌を認識したことで,免疫細胞が健康に欠かせない物質を放出する。”
土と内臓 微生物がつくる世界
デイビッド・モントゴメリー+アン・ビクレー著 築地書館
非常にインパクトのある知見です。消化管内は空間的には体内にありますが,解剖学的には体の外の空間として扱われ,体内の主要な代謝や免疫とは距離がありました。が,この知見によって,腸内の菌が,積極的に体内の免疫に影響を与えているということが示唆されたわけです。
ということは,つまり想像以上に腸内環境は重要で免疫と密に関連しているということになります。
腸内環境を安定した状態に保とうと考えた時に,その菌叢の質,つまりどのような菌がどのような割合で含まれているのか? 抗生物質を服用すれば,当然全体の菌数は減少しますが,服用を止めた後に全体の菌が同じ割合で増えてくる保証はありませんし,食品添加物としての保存料の増殖抑制も細かくみれば,菌の種類によって効きやすさ,感受性が異なるはずです。増殖速度も菌によって異なることを考えると,腸内の菌叢にむやみに悪影響を与えない食生活が極力求められるような気がします。
食生活の乱れは,免疫系に直接的に影響を与えるので,食品に対する捉え方をもう少し見直してもいいかもしれません。