西洋医療処置との違い

ロルフィングで行うこととオーセンティックな医療処置との違いは大雑把にいうとこんなところです。

1.固定するのではなく,空間と動きを与える。

2.感覚を鈍くするのではなく,感覚を上げる。

3.薬や療法に依存した状況から,責任をとれるように促す。

 

  1. どこか痛めた場合,なるべく動かさないようにする処置が初期の医療処置には必要ですが,回復のためには,傷の治癒と経過に応じて,損傷した場所と周辺の関係性を取り戻すためには,少しづつ動かしていくことが必要です。医師はあまり責任をとりたくないので,永遠に動かすのはだめという脅しをかけるケースもあります。セカンドオピニオンを求めつつ,自分の責任のもとにリハビリする選択もあるでしょう。その場所に動きがあれば,血液やリンパなどの体液の循環も促されますし,動きがあることで感覚も出てきます。
  2. 耐えられない痛みを一時的に回避するのに,鎮痛剤を処方するのは必要かもしれません。しかし,大元のことを考えると,無理に仕事をするより,身体は休息を必要としているからその痛みを表現しているかもしれない,と考えてみるのも悪くない想像です。そのサインを神経細胞を死滅させる薬剤を注入する神経ブロック注射でごまかし続けるのは,いかがなものでしょう。痛みを感じる感度は落ちます。当然ですが,そのセンサーをなくしてしまうわけですから。痛みをないものとしてしまうと,そのツケはどこかにでてくる可能性は大です。ロルフィングは全体性を回復するのにつながりをつくっていきます。その過程で様々な感覚が戻ってくることが多く観察されます。また,痛みや負担が掛かっている箇所の負荷を減らすには,負荷をかけなくていいような繋がりのある状態や動きができるように働きかけます。
  3. 痛みや違和感に没入したり,圧倒されていると,そのことに対して責任をとることを忘れがちです。その状況になっている様々な要因を作りだしているのは,まず自分であって,それを少しづつでも変えられる可能性を持っているのも自分です。この状況では仕方がない,変えられることなど一個もないと思い込んでいる場合は,とことんそれを味わうことも大切です。でも,可能性は常にあります。どんな状況でも少しずつ違いを作っていけば,全体も少しずつ変わりはじめます。ロルフィングで目指しているのは,シリーズが終了するころには,とりあえずバランスを自分の責任でとれるようにすること。依存するようにマッサージや整体に通っていた状況から抜け出すと,そのことによって,自分への信頼が高まってくるのを感じる方は少なくありません。一時的なほぐしを否定はしませんが,依存からそれを楽しみとして受けるスタンスでは意味が異なります。これは体験からしか感じることができないので,お伝えするのは難しいでしょう。