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ロルフィング – 変化の持続性 酸化ストレス動向 Part 1

何かワークを受けた時に「効果の持続性」については常に気になるところです。ロルフィングの売りの一つは、変化が持続的であること。だから、何かに依存する生活から解放されて、自由と自分の身体に自信と力を取り戻すことができるところにシフトさせたいわけです。

姿勢の変化を写真データから比較する従来の方法以外に何か、バイオマーカーのような別の指標があると、ロルフィングの捉え方や意味が変わってきます。

研究員時代に御世話になって以来、懇意にして頂いているバイ・ディジタルOリングテスト(以下BDORTと略)認定医の先生に、写真データから酸化ストレスを測定してもらう機会を得ました。酸化ストレスの指標には、8-OHdGという物質を用います。-100〜+25の間で判定され、この値が低ければ低いほど、がん、糖尿病、認知証などの生活習慣病から程遠い、つまり慢性疾患になり難い体質であるという見方ができるそうです。

BDORT認定医7段の先生に、酸化ストレスマーカーを写真判定してもらったところ、10シリーズのロルフィングによって、 +20から、−30に減少。さらに何もせずに4ヶ月経過した後、−40とむしろ改善傾向にあることがわかりました。このことは、身体構造と一致した結果となっています。

An oxidant stress marker, 8-OHdG was decreased after the 10 session of Rolfing, followed by keeping the level for 4 months.

別のケースで見てみましょう。

この方は、2009年に10シリーズRolfingを終えた方です。ロルフィング開始前に+10だった酸化ストレスマーカーのレベルが、シリーズ終了直後では、−20に減少し、6回のRolf Movementによって−60にまで減少しています。その後、6年後にオフィスに来ていただいた時には、− 30と比較的維持されており、1回の調整によって、− 50に酸化ストレスが抑えられる結果となっています。

これらの結果は、ロルフィング及びRolf Movementのセッションが、酸化ストレスを下げ、さらに、その効果に持続性があることが示唆されます。ロルフィングを受けることが、生活習慣病の予防につながる可能性が示されたことになります。

酸化ストレスが低ければ、万病の原因とされる慢性炎症も抑えられ、即ちサイトカインストームも起きにくくなることになります。このような結果は、ロルフィングが、ホメオスタシスを向上させるという一つの説明になるのかもしれません。

ちなみにこのバイ・ディジタルOリングテスト (BDORTと以下略)は、認定制度があって、スキルを日本の武道に倣って「段」で示されるそうです。人間の筋肉反射と電磁波の共鳴現象を使います。高段者の測定技術は極めて正確で、臓器の造影結果と、BDORTによるトレースはとてもよく一致することが知られ、癌の早期診断としても有効な方法として知られています。ノーベル賞選考に深く関わるカロリンスカ研究所は早くからのこのBDORTの有用性に着目し、創始者の大村博士らは、欧州統合医療学会に招聘され、たびたび基調講演を行っています。日本では、ソニーの創始者の一人、井深大氏がBDORT研究を支援していましたが、途中で岡山のバイオ企業(株)林原の旧社長の林原健氏が引き継いだという経緯があります。私は、その一時期に林原に在籍し、1995年にBDORTとの共同研究に関わらせて頂きました。

自粛の罠

はたと気がついたのだが、このムダな自粛、何かに似ている気がすると気づいた。「減反政策」である。どう考えても可笑しな考えだが、お金を渡す代わりに田んぼを減らしましょう!という農業政策によって、農家はどんどん作付け面積を減らしてしまった。労働力を減らしてお金がもらえるので、ある意味楽になった。怠けて収入が得られる味を占めてしまった。

その結果、農業自給率はどんどん低下して、日本は食料自給率が下がり、他国に食料の輸入を頼り、依存度が上がることになった。これは国力が低下したことを意味する。

お米に余剰が生じたなら、輸出したり、何らかの形で貯蔵して備えに回すとかいくらでもやり方はあったように思う。その矛楯に気がついてもすでに農地自体が開発という名の下に別の住宅や道路に変えられ、復帰することができない。

すべて、お上のいうままに従った「結果」で、日本の国力を低下させようとする「策略」に乗っかってしまったといえる。

スポーツや技巧を必要とする職人ならわかると思うが、一旦鈍らせた技術というのは、復帰させるのに相当なエネルギーを要する。中学時代に卓球をやっていたが、一日練習を休んだだけで、次の日のラケットへの球の吸い付きや細かい感覚が鈍ることを知っている。団体競技などは、リモートではフォローできない部分が大きいに違いない。

自粛でスズメの涙のお金をもらって慎ましく行動を狭めることで、実は失っているものが大きい。そのことに気づいておいた方がいいだろう。

だから、クライアントがオフィスに来られないのは仕方がないが、私自身がオフィスを閉めてセッションの機会を少なくすることは絶対にしない。怠けることに慣れてしまう程、怖いことはない。それを恐れるべきである。

COVID-19感染の致死率は、0.03% in California

エリクソン医師の主張  :「家に閉じこもる必要なんてない」からの引用です。 https://www.bitchute.com/video/eTYXJXvpqNMm

カリフォルニア州カーン郡5213人を検査した結果、340人がcovid-19陽性。人口の6.5%が感染していて、インフルエンザ同様に広範囲に感染がすでに広がっていることを意味します。

カリフォルニア州全体で検査数280900人のうち、 33865人がcovid-19陽性、人口の12%に感染が蔓延しているが、死亡者数は、1212人。カリフォルニア州全体の人口3900万人のうちの1212人の死亡者数ということは、0.031%がcovid-19の致死率と計算。

さらに、COVID-19に感染した96%が、重大な後遺症なしに回復しているという事実。

これらのデータが、ここ2か月間の蓄積で得られた結果とのことです。

微生物学、生化学、免疫学を学び、20年間の臨床経験を持つ、医師からの科学的データに基づいた報告です。これは、理論疫学者の机上の仮説から導き出された数字とは本質的に異なるものなので、ロックダウンを正当化する根底が覆るので、今後の方針の修正(ロックダウンの解除)を早急に図るべきです。

ではここで気になるのは、芸能人や若者の死亡の報道です。なぜ、免疫老化が進んでいないはずの人々が実際亡くなっているのか? エリクソン医師によると、上記問題なく回復した96%以外の患者には、糖尿病などの合併症があったとのことです。糖尿病などの生活習慣病は、慢性炎症、酸化ストレスの増大が関係していると考えられています。

加齢によって、獲得免疫系と自然免疫系両者の内因性の変化(免疫老化)が生じ、そこに慢性炎症が関与している可能性が示唆されています。慢性炎症は、万病の元をいわれ、つねにマクロファージなどの免疫細胞が、炎症性のサイトカイン(細胞同士のやりとりをする分子)を出し続け、活性酸素が放出され、酸化ストレスのレベルを高めている状態です。

COVID-19感染によって、問題となる重篤化の原因としてサイトカインストームと呼ばれる現象があり、それは、炎症性サイトカインの過剰放出により、活性酸素が一気に増大して肺をはじめ臓器を痛めつけてしまうことが知られています。基礎疾患、持病があるケースは、常に慢性炎症が関連していて、例えば、長期間たばこを吸い続けていると、肺に慢性炎症が起こりやすくなり、感染後サイトカインストームが起こりやすい状態になります。さらに、解熱剤等の薬剤も、その種類と服用のタイミングによって、サイトカインストームを起こしてしまう可能性が示唆されています。

一方、毎年誤嚥性も含めると、肺炎で亡くなられる方は、13万人いるそうです。肺炎を起こすウイルス、細菌、マイコプラズマは、複数存在するため、それらの複合感染と合併症、老衰が重なれば、生体は、自己解体への方向に一気に舵をとることになります。そうならないように自己組織化への方向性を維持する必要があります。

私達にできることは、せっかく習慣化してきた衛生に対する構えを、免疫が落ちている方々に配慮し続け、感染はすでに広範囲に広がっていることをまずは認めることです。家にいても感染の広がりをゆっくりにすることはできても止めることはできない。買い物も行かず、無菌ハウスで暮らしているわけではないので、ウイルスと接する機会は遅かれ早かれ訪れます。その接したタイミングで、できるだけ、慢性炎症がなく、酸化ストレスの低い健康状態でいるか、が鍵となります。いいニュースとしては、下記のエリクソン医師らが発表してくれたように、COVID-19感染の致死率は、0.03%しかないということ。しかも、感染が広範囲にすでに進んでいるということは、多くの人々が、ワクチンに頼らずに自然免疫によって、発症せずにウイルスを押さえ込んでいることです。さらには、感染したとしても、その96%が、後遺症なしに回復しているという事実から、過剰な怖れを持つ必要も、過剰な自粛にも意味がないことになります。

COVID-19に限らず、帯状疱疹の原因となるヘルペスウイルスと同様に、一旦自分の中に抗体ができても、免疫自体が落ちてくれば、ぶり返しはあるでしょう。でもそれは、ワクチンがあるないに関わらず、とにかく日頃から、基礎免疫を落とさないこと、慢性炎症を抑え、酸化ストレスを下げることが大切な備えになります。

慢性炎症・酸化ストレスを抑えるためには、抗酸化作用のある食品を摂ることが有効です。実際に、生物工学が専門のシヴァ博士はビタミンCやビタミンDの摂取を勧めています。

自粛が命を救うとか、犬に対して使うステイ(待て)という言葉には違和感を感じます。感染リスクは低い方がいいですが、ウイルスと接することは避けられないものとして、感染しても発症しないだけの適応力をつける方向に自分を向け、酸化ストレスをできるだけ減らす工夫をしながら、自分が自分らしく人間として生きるための生活を取り戻すことです。

いずれにしても、人との距離を取ることや自粛に馴らされ、他者や世界との関係性に隔たりが生じています。その回復には、タッチを介した身体学的なアプローチがとても意味を持ってくることは間違いないと思います。

Rolf Institute機関誌最新号の掲載記事

Rolf Instituteの機関誌Structural Integrationの最新号に、Ask Faculty-教員に聞くに記事が掲載されました。

Q: (a) Why do you think arms and hands didn’t seem to have a big place in Dr. Rolf’s original conceptualization of the Rolfing Structural Integration (SI) Ten Series or the work we hear about her doing? (b) When you are teaching the Ten Series, how do you consider arms and hands in your strategic planning? (c) In the Ten Series or otherwise, how do you work with hands and arms as a part of fascial interventions that are intended for global change? (d) How do you invite clients’ attention into their hands and arms? (e) For clients who come to you for hand and arm symptoms, how do you meet their goals? (f) Finally, for the self-care of your own hands and arms, what habits do you have to maintain comfort with your fingers, hands, and arms? 

Q: (a) ロルフ博士がロルフィング構造統合(SI)10シリーズの当初の概念化や、私たちが耳にするワークの中で、腕と手が大きな位置を占めていないように思われたのはなぜですか?(b)10シリーズを指導するとき、戦略の中で腕と手をどのように考えていますか?(c) 「10シリーズ」或いはそれ以外の場面で、広範囲な変化を意図した筋膜への介入の一環として、手と腕をどのように使っていますか?(d) どのようにしてクライアントの注意を手と腕に誘いますか?(e) 手や腕の症状で来院するクライエントに対して、どのようにしてクライエントの目標を達成していますか?(f) 最後に、自分自身の手や腕のセルフケアのために、指や手、腕の快適さを維持するためにどのような習慣を持っていますか?

Hiroyoshi Tahata 

Rolf Movement Instructor 

Working with the hand, forearm, and upper arm has great potential for the integration of structure and function. The barriers to integration can be minute or gross insults. On the minute scale, I sometimes find that scar tissue has formed in the deltoid from immunization injections. On the gross scale, an obvious example is impact from sports, whether inherent to the activity or injury. For example, a volleyball player will experience repeated impact to the distal forearm and fingertips just playing the sport. In kendo, a Japanese martial art using bamboo swords, it is common to receive blows to the forearms and hands from the opponents bamboo sword, and this will have an effect, even if the hands were protected by the traditional splints. 

We should not ignore these restrictions, minute or gross, as they affect spatial perception as well as joint mobility. The upper limbs play an important role in sensing space. In my workshops, it is common for participants to note that when they, as the practitioner, consciously sense through an upper limb, their partner in the client role notes that his/ her perception becomes more open and s/he senses more space. The mapping of the hand in the sensory and motor cortex is huge, which means that as we work with hands we may also be stimulating a broad area of the cortex with afferent input. When our work is able to facilitate more ‘rest’ in the hand, it can greatly calm the client, inducing parasympathetic rest. 

As described elsewhere (Tahata 2019), vaccinations can cause muscle contractures at the injection site. For these cases, it is efficient to work with the ‘damaged’ area, checking for tissue tone, reduced motility, or a lack of congruence. It should be useful to restore the affinity to space (i.e., restore the kinesphere) around any traumatized area. 

Each component of the hand and arm is related and resonant, especially to analogous structures. For example, I have observed in some clients that as the tissue around an injection site in the arm was able to ‘yield’ to space, the client’s hip joint would also become more spacious. Here are some correspondences: 

1. Upper limb 

lower limb through the interosseous membranes. 

2. Shoulder girdle 

pelvic girdle through limbs. 

3. G′ with shoulder girdle to upper limb G with pelvic girdle to lower limb 

Another client comes to mind, a woman who experienced repeated needle punctures to her arms for chemotherapy, dialysis, and blood samples during and after a long-term chemotherapy program to treat breast cancer. This trauma to the vascular tissue affected her whole system, both the needle trauma and the stress from the infusion of chemotherapy agents. So, when I think about arms, I also think about the cardiovascular system and how it is a network from capillary to heart with seamless continuity, like fascia. This client had vasculitis from the peripheral intravenous infusions. She was told that if she could not bear the successive infusions into the arm due to inflammation, then the drugs would have to be administered through central venous 

cannulation. For quality of life reasons, she did not want this more invasive method, so she sought work with me to calm the peripheral tissues. My approach was gentle movement intervention with ‘yielding’ touch to the infusion site on her right arm. My intention was to give safe space so the tissue could let its guard down, followed by focusing on connection of the whole cardiovascular network through the arm. 

Her reflections are as follows: 

When touched on my right arm, the arm and leg on my right side were not quiet at first. As these were getting settled in, I felt my internal organs winding down. Then the right arm was open like a fish opened and dried. I had a feeling of being exposed, a little vulnerable, but I felt gradually calmed down and my back was moving. When I was asked by Hiro to have a sense of the blood vessels, I felt a warm sensation from the base of the collarbone to the middle finger, and felt comfortably the blood vessels through blood circulation rather than through pain. 

When first touched around the lower edge of the ribs,I could not feel the ribs expand well. Later, after the touch disengaged, I felt like breathing deeply, and like an amoeba, the feeling that the body was swelling and shrinking. 

When my breathing calmed down and my body and thoughts became quiet, my sense of Hiro as a distinct presence shifted [that is, the practitioner’s presence became neutral in the ma of the room], and I felt as if everything in the surrounding space was united. Feeling that my body is warm and united. Something strange, like being wrapped in a cocoon. 

Even after returning home, my right arm was soft and warm, and my vascular pain became lighter. I feel like my palpitations have calmed down and my mind and body have returned to calm. 

I feel like I am going to be comfortable for a while.” 

Since this time, the client has three times had chemotherapy administered through peripheral veins without provoking blood vessel inflammation. Thus gentle interventions like yielding touch may help clients undergo ongoing medical treatment in a way that maintains their quality of life. 

Most of us have had needles in our arms for medical treatment at one time or another. How the body perceived that past phenomenon and responded to it may indicate that there’s a missing link to attend to for finding congruency by working with the hand and arm. 

Tahata, H. 2019 July. “The Superficial Layer as Sensory Envelope.” Structure, Function, Integration: The Journal of the Dr. Ida Rolf Institute® 47(2):37–42. 

田畑 浩良(たはた ひろよし )
ロルフムーブメントインストラクター

手、前腕、上腕を使ったワークは、構造と機能の統合に大きな可能性を秘めています。統合を妨げるものは、微小なものから重大なものまであります。微細なスケールでは、予防接種の注射で三角筋に瘢痕組織が形成されていることを時々見つけます。大きなスケールでは、明らかな例として、スポーツの影響が挙げられます。例えば、バレーボール選手は、スポーツをしているだけで、前腕と指先に繰り返し衝撃を受けます。また、竹刀を使った日本の武道である剣道では、相手の竹刀から前腕や手に打撃を受けるのが一般的であり、伝統的な防具で手を保護していたとしても、その影響が出てきます。

空間認識だけでなく、関節の可動性にも影響を与えるため、これらの制限を無視してはいけません。上肢は空間を感知する上で重要な役割を果たしています。私のワークショップでは、プラクティショナーが意識的に上肢を通して空間を感じると、クライアント役のパートナーが、自分の知覚がよりオープンになり、より多くの空間を感じるようになることに気づくことがよくあります。感覚野と運動野における手のマッピングは非常に大きく、手を使って作業をするときには、求心性の入力で大脳皮質の広い領域を刺激していることになります。私たちのワークが手のより多くの「休息」を促進することができるとき、それは非常に副交感神経の休息を誘発し、クライアントを落ち着かせることができます。
別のところでも述べましたが(田畑2019)、予防接種は注射部位の筋収縮を引き起こすことがあります。このような場合には、組織の緊張、運動性の低下、または一致性の欠如を確認しながら、「損傷した」部位に働きかけるのが効率的である。外傷を受けた部位の周囲の空間への親和性を回復させる(すなわち、キネスフィアを回復させる)ことが有用であるはずである。
手や腕の各構成要素は、特に類推される構造物に関連し、共鳴しています。例えば、私は、腕の注射部位の周りの組織が空間に「イールド」することができたように、クライアントの股関節もより広々としたものになることを何人かのクライアントで観察してきました。ここにいくつかの対応関係があります。

  1. 上肢
    骨膜間膜を介して下肢。
  2. 肩甲帯
    手足を通した骨盤帯。
  3. 肩甲帯を上肢Gに通したG′と骨盤帯を下肢に通したG

別のクライアントは、乳がんを治療するための長期的な化学療法プログラムの間および後に化学療法、透析、血液サンプルのために彼女の腕に繰り返される針の穿刺を経験した女性が心に浮かぶ。この血管組織への外傷は、針による外傷と化学療法剤の注入によるストレスの両方で、彼女の全システムに影響を与えました。ですから、腕のことを考えるときには、心血管系についても考えますし、筋膜のように毛細血管から心臓までシームレスな連続性を持ったネットワークであることも考えます。このクライアントさんは末梢の点滴で血管炎を起こしていました。炎症のために腕への連続注入に耐えられない場合は、中心静脈から薬剤を投与しなければならないと言われました。
カニューレーションについては、生活の質の理由から、彼女はこのより侵襲的な方法を望んでいなかったので、彼女は末梢組織を落ち着かせるために私とのセッションを希望されました。私のアプローチは、彼女の右腕の輸液部位に「ゆだねる」タッチで穏やかな動きの介入でした。私の意図は、組織が腕を介して全体の心血管ネットワークの接続に焦点を当てたことに続いて、その警戒を解除させることができるように安全な空間を与えることでした。

セッション後の彼女の感想は以下の通りです。

“右腕を触られたとき、右側の腕と脚は最初ざわざわしていました。これらが馴染んでくると、内臓が巻いていくのを感じました。すると、右腕は魚の干物が開いているような感じでした。むき出しになっている感じがして、少し無防備な感じがしましたが、だんだんと落ち着いてきて、背中に動いてきました。田畑さんに血管の感覚を教えてもらうと、鎖骨の付け根から中指にかけて温かい感覚があり、痛みよりも血行で血管を心地よく感じました。
最初に肋骨の下端あたりを触ったときは、肋骨がよく膨らむのが感じられませんでした。その後、タッチが外れた後、深く呼吸をしているような感覚と、アメーバのように体が膨らんだり縮んだりしている感覚がありました。
呼吸が落ち着き、身体も思考も静かになると、田畑さんの存在感がはっきりしてきて(つまり、部屋の間Maの中ではプラクティショナーの存在がニュートラルになった)、周囲の空間のすべてが一体化したように感じられました。自分の体が温かく一体化しているような感覚。繭に包まれているような不思議な感覚。
帰宅後も右腕が柔らかく温かく、血管の痛みが軽くなり、動悸が落ち着き、心も体も落ち着いてきたような気がします。
しばらくは快適に過ごせそうな気がします。”

この時以来、クライアントは3回、血管の炎症を誘発することなく末梢静脈を介して化学療法を行っています。このように、イールドの優しい介入は、クライアントが生活の質を維持する方法で継続的な治療を受けるのに役立つかもしれません。
私たちの多くは、治療のために腕に針を刺された経験があります。その過去の現象を身体がどのように知覚し、それに反応したかは、手と腕を使ったワークでよりつながりを見つけるために注意を向けるべきミッシングリンクがあることを示しているのかもしれません。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。


個人セッション提供について – パンデミック状況下での考え

COVID-19感染のパンデミックが宣言され、政府から自粛要請が出されている状況下で、個人セッションの提供についての田畑の考えを述べたいと思います。

プラクティショナー自身及びクライアントの健康に不安がないことを条件として、個人セッションは、これまで通り実施することとします。

その根拠になるのが、京都大学レジリエンス実践ユニットによる報告です。それによると、

国内感染者数が仮に5000人のとき 一人当たりの感染率 0.0040%

(2020年4月2日時点で感染者数2500人)

したがって、2人でワークを行う場合の感染率は0.008%ということになります。マスメディアにより自覚がなくともウイルスを放出する可能性が伝えられていますが、その可能性があったとしても、個人セッションによる感染率が0.008%であるなら、クライアントが持病がなく高齢者でもない場合には、ほとんど心配する必要はなくなります。上記報告では、50歳未満で感染した場合の死亡リスクは、0.3%と算出されています。

さらに、感染の可能性を回避するための衛生に留意するのであれば、さらに感染リスクも下がります。

このような状況では、感染者への差別や、生活に対する不安が増大し、場合によっては孤立し、本来の自然免疫も低下する傾向が強くなります。したがって、このような状況だからこそ、身体を通して、周囲との関係性や身体内部の連携を思い出し、エンパワーメントにつながるワークが生活の向上に役立ちます。個人セッションによる感染のリスクは、全くゼロではないとしても、それは過剰に怖れ、漠然と何かを控えることより、セッションを受けることで、ホメオスタシスを向上させ、少しでもクオリティの高い状態に持っていくこと、そのメリットは計り知れないと思います。ウイルスと接する機会はゼロにできない現状では、いかに自然免疫を高めることができるかにかかってくるわけで、セッションはそこに役立ちます。

自粛により、何となく見えない不安に覆われている今こそ、セッションを通して、本来の自分を思い出すお手伝いをしたいと考えています。

衛生について)

当セッションルームで衛生への配慮として取り組んできたことは、以下の通りです。クリーニングされたシーツをセッションごとに変える、皮膚に直接接したバランスボールやダイセムシート等に、逆性石けん液(塩化ベンザルコニウム(商品名オスバン)または、クロルヘキシジングルコン酸塩液(商品名ヒビテン)による消毒。これらは、ウイルス粒子を包んでいる膜タンパク質を変性させ、ウイルスを不活性化する働きがあります。換気については、セッションごとに行っていますが、常時行うと室温が低下してしまうため、空気清浄機:HEPAフィルターによる空気中微粒子の除去に有効なDyson空気清浄機とイオン放出型のLightAirの2機をセッション中に稼働させています。

追記)

プラクティショナーとして、田畑は現在月に一度、バイ-ディジタルO-リングテストの下津浦医師にビデオ診断により、コロナウイルス感染の有無をチェックしてもらっています。

骨の強度と骨密度を維持するために

骨への適度な物理刺激が組織液の流動性を高め、炎症に関わるタンパクNF-κBの活性を抑制して、骨の強度・密度を維持するメカニズムが解明されたそうです。

間質液の流動によって細胞が力学刺激受けることが、運動によって促されるためには、組織液が滞りなく円滑に流れるルートが整備されていないといけません。

ということは、身体全体の運動も大切ですが、それに加えて、強度や骨密度が落ちている骨の周辺の組織液の通りを改善できれば、骨組織の正常化の手助けができる可能性があるということになります。

骨に関しては、Sharon wheelerというロルファーのBone workが知られていますが、その圧力をかなり使うアプローチではなく、振動を使いつつ骨膜からも働きかける手法をとっています。

予備)食品としては、トレハロースが、閉経後骨密度が減少する骨粗鬆症のモデルとなる卵巣摘出マウスにおいて、骨密度を上げることが示されています。

https://research-er.jp/articles/view/82521

心の問題と重力

ロルフ博士の残した言葉:

“… no situation exists in a human which a psychologist would diagnose as a feeling of insecurity or inadequacy unless it is accompanied by a physical situation which bears witness to the fact that the gravitational support is inadequate.”

もし、重力のサポートが十分に得られていないという肉体的な状況がなければ、精神分析医が、不安感や無力感と診断する人間は存在しない。

さらに意訳すると、

精神分析的診断としての、不安感や無力感は、必ずといっていいほど、重力のサポートが適切に得られていないことに起因している。

つまり、身体が重力のサポートを得られるようになりさえすれば、精神的な問題の多くは解決する可能性を示した言葉です。

Somatic Experiencingなどによって、蓄積したトラウマのエネルギーを解放したとしても、元々の身体が重力のサポートが得られる身体状況でないとすれば、元の身体という土壌が変わっていないので、手放したものを別の形で引き寄せてしまうかもしれないし、いずれにしても、重力波が身体をうまく通り抜けないのであれば、エネルギーが滞りやすいということには変わりないわけです。

私自身が、ロルフィングをセッションの中心に位置付けるのは、ロルフィングのプロセスには、重力のサポートが得られるような身体に再構築する力があるからです。

セッションで得た体験を仕事に活かす

ヨーロッパ留学後、日本で就職され、人事を担当されているクライアントの方が、身体状況の改善に伴って、セッションが思いのほか役立っているという。

会社で何かと頼られ寄りかかられることが多いが、そんな時にもそのことが負担にならず、あまり気にならなくなったという。さらに、相談に乗るときにも、こちらでのセッションのように最小限のちょっとの介入を心がけていたら、それで仕事がうまく円滑に回るようになっているという。

医師の方が少し前にセッションを終えたが、自分の診察に対する構えがとても変わった仰っていた。

患者に対して、どこまで介入して、どこまでで止めるかは、セオリー化、公式化できない。介入し過ぎれば、受け手の主体性や自力・底力を奪ってしまうことになるし、必要なことが足りなければ、自然治癒の流れに乗ってもらうお膳立てにならない。患者をつぶさに観察する力が求められる。この方は留学経験もあるため、真面目に医療に取り組もうとすればするほど、日本の旧態依然たる管理社会に馴染めず悩んでいらっしゃる様子だったが、身体の解放と共に、患者との間合いの取り方や、介入のタイミングについてとてもセッションの体験が参考になったと感動されていた。

トレーニング形式やワークショップでなくとも、個人セッションの体験を通して、実際の仕事にそれを応用、活用して頂けるのはとてもうれしい。

ロルフィングを体験して、それまでの生活や人間関係、仕事をリセットするケースもある。時にはそのような大変革も必要だが、それまでの自分や状況と向き合うことなく、準備もなく、投げ出すように止めてしまうのは、「統合」ではなく逃亡である。

実生活に活かしてこそのロルフィング体験であってほしい。

お通じの改善

排泄はいうまでもなくとても大切。身体が変化して、代謝が向上しても、要らないものを身体の外に出せなければ、自己調整や自己組織化がスムーズに進まないでしょう。

身体で摂取する栄養物のほとんどは利用されず、実際はすでに持っている資源を再利用してホメオスタシスが保たれているというオートファジーの事実からしても、ホントに要らないものは外に出しておかないと、生命維持のためのリサイクルは効率よく回らないことが容易にイメージできます。

腸内菌叢の重要性が、昨今叫ばれるようになりました。腸内の菌叢が身体の免疫に積極的に関わっているというデータが示され、乳製品会社はこぞって、プロバイオティクスの新商品を開発して、特定保健用食品の認可を取り付けています。一方、外部からのその生体にとっての外来種を入れても、実際にはそれほど根付かないということも分かってきたようです。

外から摂取した菌が、いくら有用とわかっていても、それを受け取る側の腸という土壌との相性、そしてすでに在来している菌叢との相性があります。大腸菌の研究では、不和合性という現象が知られていて、組合せによってAとBという大腸菌は共存せず、Aが細菌毒を分泌して、Bの生育を抑制して、縄張りを荒らされないようにする防衛策をとっていることになります。ですから、実際にその菌が根付くかどうか?或いは元々の菌叢を荒らさないかどうか?は実際に摂取してみないと分かりません。

自分の経験ですと、ヨーグルトに入っているロイテリ菌は比較的私の身体は受け容れるのだけれど、L8020は便通が滞りがちになります。特許取得の経過を見ると、L8020を応援したい気持ちはあるのですが、身体の反応なので仕方ありません。ただ、タブレット化したものを一錠服用する程度だとL8020も大丈夫です。

ということでとれあえず、飲んで確かめてみないと何ともいえないのが、プロバイオティクスの難点ですが、一方、菌叢の餌を供給するという考え方のプレバイオティクスには、そういって相性問題が起こり難い。元々在来する菌が増えるのを助けるわけなので。もちろん、人間の頭が考える都合のいい菌だけが、選択的に増えるような餌があるとは考えにくいですね。

消化管は口腔から直腸まで一つながりのチューブとして機能していますから、菌によって、ある部位にシビアに特異的にその場所だけということはないかもしれませんが、それでも、ビフィズス菌に関しては、大腸で主に生えるとされています。つまり、最も便通に影響しやすいことになります。ビフィズス菌のためのプレバイオティクスで大切なことは、口から摂取するため、大腸まで届くまでに、分解されてしまって、肝腎のビフィズス菌にものが届かないと意味ないわけです。

プレバイオティクスとしての乳糖果糖オリゴ糖(乳果オリゴ;商品名オリゴワン)は、難消化性、つまり胃などで分解されずに大腸まで届くことが分かっています。で、実際に7g(スプーン一杯)づつ、毎日摂取してみたところ、確かに便通や便の質に変化が生まれ、快便になりました。

ヨーグルトだと、含まれている乳酸菌以外に、牛乳由来のタンパクやホルモン、クリーム成分が体質に合わないこともあります。その点、オリゴワンだとそれらの影響もなく、非常にマイルドにお通じの改善が促進されました。

そもそも定着しないような菌を継続的に摂取するのは、元々の菌叢や腸にも負担をかけることになる可能性があるでしょうし、何よりこのオリゴワンは安価で、所定の一日7gは、約20円で、巷の健康食品の比較にならないほど、リーズナブルといえます。

便通の改善のために、薬剤を常用したり、腸にやたらと外から負荷をかけて、「治療する」のではなく、一日20円で元々住んでいる菌を育んだ結果として便通が改善できるなら、試してみる価値はあると思います。昔の古巣(株)林原を退社して25年経っているので、オリゴワンを勧めたからといって何のマージンも得られませんが、製品は間違いなくいいのでご紹介しておきます。

オリゴワン(乳糖果糖オリゴ糖の商品名)のAmazonからの購入先 ↓

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07F1MS59S/rolfinger-22/ref=nosim

以下、乳糖果糖オリゴ糖の有用性を動物実験結果を元に、私の敬愛する林原元上司の福田教授が、わかりやすく説明しています。

吉備国際大学福田恵温教授(元林原生物化学研究所所長)

注:私自身、外から乳酸菌を補うことを否定しているわけではありません。風邪を引いたときに服用する抗生物質や、食中毒防止のために添加されている、お弁当やお惣菜などに含まれる保存料としての防腐剤は、選択毒性があるわけではないので、当然のことながら、腸内に元々いる菌がダメージを受け、有用な菌が減ったりして、菌叢が乱れる機会は何度も腸は経験しているはずです。

したがって、たまに外から何らかの菌を補う必要性はあると思いますが、菌の多様性と定着の相性問題を考えると、同じメーカーの同じ菌種を継続的に摂取するより、様々な菌種を含むような製品をちょっと試してみるようなやり方が、理に叶っているのかもしれません。加えて、特に生野菜や果物など天然に含まれている乳酸菌が存在することも忘れてはいけないでしょう。結局、古来から続いているような発酵食品を常用する食生活には科学的な意味と根拠があって、その意味を再発見することになるだけなのかもしれません。

Rolfing(ロルフィング)を受けにくるクライアントの中にも、お通じの悩みを抱えている方は少なくないです。食生活を変えなくとも、第4や第5セッション後、骨盤底が広がり骨盤が内臓を支え易くなって、さらに腸腰筋が機能を取り戻し、腸菅に適度な刺激を与えるようになると、便通が改善することも珍しくありません。ということは、菌の餌だけでなく、適度な物理刺激、つまり動きだとか、腸にとって好ましい環境が整うと、菌が腸内の細胞に良い刺激を与えたように、腸もまた、菌にとっていい影響を与える相互関係があるに違いないと思うのです。腸内が活性されていない、動きがなく停滞している状態だと、腸内も溶存酸素が少ない状況になり、食中毒の原因になるような毒素を出す、嫌気性のウォルシュ菌やボツリヌス菌などが生育しやすい環境になる可能性も高まるでしょう。

Rolf Institute機関誌最新号の掲載記事

Rolf Instituteの機関誌Structural Integrationの最新号 (2019年夏)に掲載された記事を以下の場所にアップしました。ロルファーである私田畑浩良が、細胞生物学の知見で、ソマティックな領域で使えそうな情報を盛り込んで、体表の捉え方ががらっと変わるような内容になるといいなあと思って書いた記事です。それと、これまでも謎とされてきた、イールドワークの仕組みについても多少なりともの説明になるのではないかと思います。

それと、一次繊毛については以前より注目していて、何らかの形で書いてみたかったので、今回いい機会となりました。

片山洋次郎先生によると、身がまま整体では、
体表からの「気の発散」
を重視するそうです。体表、みなさん思っているより重要に違いありません。

The Superficial Layer as Sensory Envelope: New Perspectives from the Art of Yield About the ‘Superficial’ Sessions of the Rolfing® Series, is available for downloading the PDF.

上記題名をクリックするとPDF化された記事がダウンロードできます。


用語解説

Yielding ゆだねる、あずける動き。発達段階で最初に起こす動きと考えられている。

Keratinocyte 角化細胞 ケラチン生成細胞

Quasi-electrostatic field

準静電界Superficial layer

表層:ロルフィングで用いられる層(Sleeve)より、さらにもっと表層を指しています。

ECM extracellular matrix 細胞外基質:大雑把にいうとfascia筋膜、interstitium間質と同じ。細胞と細胞の間に介在している結合組織のこと。

Anchorage/ scaffoldings 足場、拠り所。細胞培養では、接着できる土台のことを指す。

Naked mole-rat ハダカデバネズミ

Anchorage dependent 足場依存性 正常な細胞は栄養がいくら足りていても、細胞が接着できる足場がないと生存・成長できない性質を持つ。

Contact inhibition 接触阻害 単層培養の場合、細胞が増えて隙間がなくなると、正常な細胞は生育を止める。ガン細胞には上記2つの性質がない。

Kinesphere 身体感覚によって把握できる身体外の空間。気配として感知できる身体外境界。