updated at 2017-07-20
You can see what is happening after the session with gentle touch and non-invasive approach.
The body will change itself under conditioned field without pain and pressure.

重度の膝の故障へのロルフィング


Before Rolfing :50代女性。過去にテニス歴,ウエイトリフティングが趣味。左関節に慢性的痛み。膝の可動性は,90度以上屈曲不可で,伸展は膝裏に拳大の隙間が生じる程度にしか伸ばすことができない。整形外科,スポーツ整形,膝専門医を含む5つの大病院で,X線やMRIによる解析から,どの医師も膝関節の改善は不可能との診断。歩行困難となった場合には,人工関節を勧める所見もあったとのこと。 左膝関節の可動域が極端に狭いため,左足を伸展したまま引きずるような歩行様式。消炎鎮痛剤の常用とヒアルロン酸の関節注射を高頻度で行っていた。

ワークの意図と介入:
ワークに関しては,比較的基本的な10レシピに沿って行った。 深刻な痛みが,膝と背中にあったものの,1回目 セッション後呼吸が背中に入ることで痛みはかなり軽減した。 シリーズが進むにつれ,Lumber lordosisに長さが生まれ,下肢のサポートの質に変化がでてきた。4回目で,midlineのサポートが充実し,受け手自身にその感覚がでてきたことが,重要だったと思われる。8回目以降は,下肢のコーディネイションを引き出すムーブメントワークを多用した。また,足/膝のサポートの仕方が急激に変わることにクライアントが順応して新しいバランスを見つけやすいように,膝に対して,counter rotationの動きを教育することが有効であった。つまり,膝が屈曲する際に大腿骨は外側に回転し,頸骨は内側に回転するという動き(膝にとってのnormal motion)を入力すること。その動きの教育を,まず,仰向けで受動的にそのcounter rotationの動きを数回与えてから,立って歩く動作に移ってもらうことで,転倒せずに安全に新しいバランスを見つける手助けとなったようである。クライアントは,シリーズ進行中でも,日常の中でウエイトリフティングを継続し,スポーツマッサージも受けていたが,それらが,プロセスの妨げになったという印象はなかった。また, シリーズ中に知的レベルでの理解のために解剖運動学的情報は提供していないので,タッチによるインプットのみで,変化が定着したものと考えられる。ウエイトリフティング時の身体の使い方に由来すると考えられる背中を反らせるパターンは, 10シリーズ後のロルフムーブメントにより,リセットされている(写真.参照)。Lordosis全般を包括的に捉え,膝関節への動きの教育が機能を回復する上で重要だったと考えられる。

ご本人の感想(抜粋):
どうしてももう一度テニスをやりたくて、東大病院をはじめ、日赤、JR病院など大きな病院の整形外科、スポーツ整形などを5つも受診してまわって、中には膝専門と言われる医者もいましたが、どの先生もレントゲン、MRIの画像を見て、この関節はもう改善不能で悪化の一途をたどるしかないだろうから、あとは無理をしないで大事に使って、年をとって歩けなくなったら人工関節にするしかない、と悲観的な診断ばかりでした。もちろん膝の治療のためにロルフィングのセッションを受けていたのではありませんから、膝の症状が改善されたことは、私にとっては、予想外の嬉しい結果になったと言えます。


After Rolfing: 膝の屈曲はしゃがむ程度に曲がるようになり,仰向けの状態で膝をほぼ真っ直ぐにすることが可能となった。左膝下の改善が顕著で,痛みがほとんど消失し,両脚の力を同様に使って歩行することが可能。階段も普通に下ることが可能となり,鎮痛剤の服用も不要になる。Rolfingシリーズ終了後3ヶ月経過しても効果は持続されていた。 開始前と10回目の後で比較すると顕著にサポート様式に違いがでているのが分かる(写真)。さらに10回目終了後に15週間経過した後もバランスの持続性が認められる。

Rolfer’s Note:

関節の不具合に関してのアプローチとしては,supportの充実がテーマであり,そのために関節のdecompressionとムーブメント教育が有効であった。また,変化が全体と調和するのに十分な時間を確保した。また,自己調整機能が機能しやすい環境,つまりyieldingが十分引き出されるような場を提供した。このことが,クライアントがリソースに繫がり,内側からの自発的なdecompressionを引き出すことにも繫がった。どのケースも故障や痛みが広範囲に認められるので,圧力に依存せず,特に故障箇所の変化を強要しないことに注意を払った。また,セッションの最後,立ちあがるまでに,念入りにトラッキング等,重力への適応の為に統合の時間を十分とる必要があった。

ご本人の感想にあるように,"治療のためにロルフィングセッションを受けたのではない" というスタンスに意味があるように思います。問題に執着していると,実はすでにうまく機能していることに目が向けられないばかりか,自己調整しているリソースから遠ざかってしまいます。痛みはとりあえず置いておいて,例えば呼吸のセッションのときには呼吸に集中して感じること,というような作業が大切になります。

 
10回終了後も,高頻度でお受け頂く必要のある方や18歳未満と80歳以上の方,及び研究対象として指定させて頂いた場合に限り,セッション料金を変更させて頂くことがあります。