Rolf Movement™ Integration

動きを通して,人間の知覚や可能性を広げる
Rolf Movement™ Integration can expand the possibility of Rolfing®. It can improve the quality of integration. The client will get fluidity, responsiveness, continuity and more presence through Yielding.

ロルフ・ムーブメント™は,Rolfing®の可能性をさらに広げるためのアプローチです。身体の流動性,応答性,連続性といった高い統合状態を引き出します。ショックやストレスを受けた後に滞ったりフリーズした動きを快復させるように促進したり,空間認識の偏りに働きかけることで,持続的バランスと,身体の自由度を回復する手助けをします。Rolfingのその先に進めるためには,構造だけでなく,知覚・認識のパターンや動きに働きかける必要があるのです。

Carol Agneessens女史とともに10年以上かけて発展させてきた"Yielding"を用いたユニークなMovementワークを展開しています。

在り方と生き方を変える

からだの構造に歪みがあると,動き自体も制約を受け,機能性を発揮することができません。一方,習慣等の癖によって,動きがパターン化し,偏りのある無理な負荷が断続的に繰り返されると,次第にそれが定着して,構造にも歪みが生じてきます。このように,身体の動きと構造は,相互に影響し合っていて,切り離すことができない密接な関係にあります。

米国コロラド州ボールダーにあるThe Rolf Instituteでは,手技を用いて構造に焦点を当てるRolfing SIと,生き生きとした自然な動きを引き出すRolf Movement (ロルフ・ムーブメント)のプラクティショナーを養成するトレーニングが提供されています。

両者とも治療とは異なり,からだの統合を目指す技法です。焦点の当て方に違いはありますが,どちらか一方の働きかけによって,構造と機能の両方に実質的な変化をもたらすことが可能です。

Rolfingが,身体の重力に対する”在り方”を学びとするなら,Rolf Movementは,無意識にしている振る舞いや仕草を変える,つまり"生き方" を再教育するプロセスともいえます。

Rolf Movementの実際


Rolfing® S.I.は,主に身体構造の調整に重点があり,Rolf Movementは,機能面を引き出すことに主眼があります。
例えば,脱臼経験のある肩を例にとると,肩関節がより自然な位置にくるように関節周辺の結合組織のつり合いを調整できれば,自然に肩が楽に回せるようになります。あるいは,肩関節に対して,関節面に沿った自然な動きを入力することによって,関節が自然な位置に収まる変化も引き出せるのです。また動きには,空間に対する認識や知覚のシステムが影響しています。辺縁系や大脳基底核といった本能的なところに染みついたパターンを書き換えることが,ムーブメントワークでは可能です。

例えば左足で画鋲を踏んだ怪我をした経験があるとします。炎症が治まって傷が治り痛みもなくなったとしても,身体は左足に対する信頼を薄い場合があります。そうすると,左足に体重をしっかりかけることに億劫になったまま,右足重心で支える様式が定着していきます。するとそれに合わせて,骨盤も左に傾き,脊柱は少しづつ側湾して順応することになります。この場合の側湾傾向は,脊柱自体に問題があって生じたわけではなく,補正の結果なので脊柱を矯正するやり方は見当違いということになります。
知覚に働きかけるとは,まず左足裏が安心して地を捉えられるように,ゆっくり時間をかけて預ける感覚を引き出します。そうすると,足底筋膜などの組織も微細な動きと共に床に対しての方向性が引き出されます。左全体の支えも充実して,左右のバランスも水平性がでてくる,,といった一連の変化が起こることは珍しくありません。

また,Rolf Movementでは,プレムーブメントといった実際に動きを起こす直前の小さな動きに着目します。動きは,実は,動かす前に神経伝達が起こっています。動かす前にすでにパターン化していることになります。しぐさ,ふるまい,これらは,その人を特徴づけるものですが,ここにも働きかけることができます。

Rolf Movementとの出会い

ソマティックな身体技法を一生の仕事にしたいと決めた時には,ロルファーになろうとする気持ちは強いものの,はっきりとどの技法にするのかは決め手に欠けていました。解剖と生理学を徹底して学べるという理由で,Rolf Instituteの最初のトレーニング,Foundations of Bodywork (現在のPhase 1クラス)を受講することだけ決めてボールダーを訪れたのです。基礎的なタッチを学ぶ中,習うタッチは自分が受けるにしても施術するにしても,”強すぎる”と感じていました。 そんな中,滞在中にRolf Movementの個人セッションを受ける機会があったのですが,やさしいタッチにも関わらず,自分の身体が面白いように変化していくのを体感しました。このMovementこそ,自分の指向と合致していたのです。このRolf Movement の認定を受けるには,まずロルファー認定が必須だということを知り,認定後,ワシントンDCで開催されるムーブメントトレーニングに参加しました。そこで,師であるCarol Agneessens とRebecca Carli と出会い,さらに恩師の勧めから,講師になる道が開かれたのです。

Rolf Movement はどんなときに?

10シリーズロルフィングで得た体験を発展させたい。
震災後,調子を崩したままになっている。
ある出来事を境に,変調が続いている。
交通事故や手術の経験
慢性的疲労
様々な医療処置を試したが改善が見られない
トラウマのエネルギーが関与している可能性のある各種症候群 などなど

セッションは,治療を代替するものではありませんが,自己の元々ある調整力や再構成能を引き出すことは,快復力を発揮しやすくなる環境を整えることはできると考えています。

継続した学び

10シリーズRolfingで,扱えなかった制約や,時間をかけて取り組むべき課題が浮上してくることもあります。
たとえば,極めて初期に受けたダメージ,出産時の吸引・鉗子分娩の影響や,幼少期に受けた手術や怪我の影響などなど,これらの課題に取り組むには,それなりの時間と回数がどうしても必要になってきます。もし,あなたがセッションに興味があって,回復の手助けになるような感じがあれば,セッションを活用してみてはいかがでしょうか。

それなりの時間と回数,私自身,16才の時の交通事故の経験があるので,そこからいかにセッションが役立ち,そして時間と回数が必要かを身をもって知っています。回復の過程でいろんな気づきが伴い,そのプロセス全体が自分の貴重な体験となっています。それは自分のロルファーとして,交通事故の経験を持つクライアントの方への働きかけにとってのリソースになってますし,人はスタートラインはどうあれ,回復する可能性がある,と信じられる礎にもなっています。

参考文献) aromatopia pp72-73,Vol.9/No.1/2000